「絆」 〜マドンナ?〜



「今日もお別れの時間になってしまいました。新コーナーまで、みんな〜、
 どしどし!!メールください、待ってまーす!!それでは・・・
 堀木たまきの『ほいきた、堀木た』、来週までぇ〜、バイバ〜〜イ☆」

このところ時々、たまきちゃんのラジオ番組を聴いてる美羽。

「美羽、たまきちゃん好きなの?」
私はたずねてみた。

「うんっ!!」
力強く美羽はうなずいた。

そういえば、先日のドラマも、ちゃっかり最後まで見てたっけ。

「みう、たまきちゃんみたいに、ぜーったいかわいくなりたいんだもん!!」
やたら鼻息が荒い。

「美羽は、じゅーぶんかわいいやろ?」
パパは美羽にでろでろだから、甘い、気づいてない。
ま、気づいてないからほっとこかー。

美羽が頭に描いているヴィジョンはたぶん・・・・・(=_=)
イケメンの中にただ一人いた、ドラマのあの、たまきちゃん像、だろう・・・。


縁側に座って空を眺めてる美羽。
「まんまるなおつきさま、くもっててみえないねぇ・・・」
なんてつぶやいてる。

私は隣に座って、空を眺めるふりして、美羽にきいてみた。

「ねーねー、美羽のクラスのイケメン君たちはどうなの?」
「えー?」
「美羽、モッテモテだったじゃん?」
「う・・ん」
ん?なんか覇気がないな?

「だって、おんなじクラスには、フリフリのスカートとか、ピンクのおりぼんとか
 にあう子、たーくさんいるんだよ・・・」
そやなー、最近の親は子供にお洋服代かけるし。
て、私も最近の親やないかい!!(^_^;)

「たまきちゃんみたいにかわいくないとダメなのっ!!」
さっきから、どーもそれが気になる。

「なんで?たまきちゃんみたいじゃないとダメなの?」
「だって・・・」
「うん?」
「りかちゃんもあきなちゃんも、みーんなゆーくんのことがすきなんだモン!!」
「はー・・・それでか・・・」
頭一つ出てないと、勝ち目ないぞ、と・・・。

イケメンゆーくん、やってくれるでないかい?(^_^;)

「ほら、他にもいたじゃない、ナオキくんとか。てか、翔太はどした?!」
「しょうたくんとは、いまけんかちゅう」
「なんでー?!」
「ゆーくんとなかよしすると、しょうたくんブツブツいうから」
「そりゃーそーだ!!翔太、頑張れ!!」
「ママはだれのみかたなの?!」
「うーん、これからのなりゆきを見守る人」
「いみわかんなーい!!」
「ま、美羽、たまきちゃん目指して、めいっぱい女を磨いて、
 マドンナになるのだ!!ハハハッ!!!」
思わず力をこめて言ってしまった・・・。

へー、そんなに人気もんなんだ?あのゆーくん。
でも、授業参観行ったら、翔太はイチオシだし、ナオキくんもジャイアンもだし、
シュンくんとか、ヒロくんとか、とーまにゆーまに、たっくさんいるじゃないの。
(て、どこ見てんだ??(^^ゞ)

私の横で、小さな声で、美羽が言った。
「ゆーくんといっしょにいるとたのしいんだ・・・。だから・・・。
 これ、みんなにないしょだよ?ひみつだからね?」
「わかったわかった」

「なんやてー?なんやゆーくんとか言うたー?」
パパの地獄耳。娘のボーイフレンドには厳しいチェック。でもツメが甘い。フフン。

「別になーんも?」
私はすっとボケた。

いつか、♪ラヴ・E・メール・フロム・ゆーくんなんて素敵ねぇぇ〜♪

あ、私はあくまで翔太を応援しておりますが。(^^ゞ





BGM : ポルノグラフィティ 「アポロ」 & Happy Birthday dear 昭仁〜♪