「絆」 〜鍋の季節〜 「ひつじのかーげやーまさ〜ん♪」 フェンス越しにお声をかけてこられたのは、お隣・山丘家の美羽様。 わたくしを「ひつじ」とお呼びになるところは、相変わらず。(^_^;) 「影山さん、何やってたの?」 「はい、クリスマスも間近になってまいりましたので、お庭にデコレーションを、 と思いまして」 「うわぁ、すごいたくさん!これ全部飾るの?ゴーカだねぇ♪」 「こちらは、宝生家に代々伝わるクリスマスデコレーションでして・・・。 サンタクロース様がお住まいになっておられますフィンランドにて、 旦那様がお買い求めになられたものもございますが」 「えーーー?!宝生のおじさん、サンタさんと知り合いなの?!」 「まぁ、知り合いと申しますか・・・(^_^;)」 旦那様を「宝生のおじさん」と呼んでしまわれる美羽様、まさに「佐々木のじいさん」 と呼ぶちびまる子ちゃんのような天真爛漫さ。 「かれこれ1年でございますねぇ」 「え、何が?」 「宝生家が山丘様のお隣に越してまいりましてから、でございます」 「そうだねぇー。びっくりしたよ、そんなカッコしてる人、近所で見たこと なかったから」 「さようでございましたか(^_^;)」 「結婚式の花むこさんみたい。(笑)でもすごくカッコいいよ!(~o~)b 美羽、影山さんみたいな人のお嫁さんになりたいなぁ」 「美羽様には、とてもお似合いの翔太様がいらっしゃるではありませんか」 「えーーーー、翔太ーーーーー?!まだまだ子供だよーーーーーー!!!(>_<)」 そうおっしゃる美羽様も、翔太様と同い年のお子様では・・・?(=_=) 「でもね、翔太はね、美羽が初めて好きになった男の子なんだ。公園や幼稚園で 一緒にならなかったら、翔太のこと一生知らずに過ごしてたかもしれない」 「美羽様は、大切なかたに出逢われたのですね」 「そっかぁ・・・(^^ゞ」 「美羽様、ふだんは気にしていらっしゃらないかもしれませんが、美羽様を 大切に想われている方々がたくさんいらっしゃるということを、どうか お忘れなきよう・・・」 「影山さんも?」 「もちろんでございます!」 「ありがとう、影山さん。(^_^)お隣に越してきてくれて。美羽も影山さんに 出会えてよかった!これからもよろしくね☆」 「こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m」 「美羽〜」 「あ、ママが帰ってきた」 「山丘様の奥様、おかえりなさいませm(_ _)m」 「あら、美羽ったら、また影山さんとお話してたの?お仕事の邪魔しちゃダメ じゃない」 「いえいえ、美羽様と楽しいお話をさせていただきまして、わたくしの方こそ ありがたき幸せでございます」 「そう・・ですか?(^_^;)」 「ママ、今夜はなに?」 「お鍋よ。シメはうどん」 「やったぁ♪おうどん大好き☆」 「・・・今夜はお鍋でございますか・・・・・」 「あら、影山さんもお好き?どうぞ上がって食べていらして・・・と言いたい とこだけど、ディナーをサーブするお仕事がありますものね」 「・・・はい・・・・・」 「むさくるしいところで申し訳ないけど、よろしかったら今度、お嬢様と ご一緒にごはん食べにいらっしゃってね?」 「はい!!ぜひ!!」 「影山さん、お鍋お好きなの?」 「はい!!モチモチギョーザキムチ鍋とか・・・・・・あ、つい・・・」 「わかりました、それじゃ近いうちに・・・」 「ありがたき幸せ・・・それではこれにて失礼いたしますm(_ _)m」 「かっげやっまさ〜ん、またねぇ〜♪(~o~)/」 「それじゃ影山さん、失礼します」 美羽様と山丘様の奥様が家に入られるまで、立ったまま手を振っておりました。 今夜のディナー、鍋に変更できないだろうか?!厨房にかけあえばまだ間に合う かもしれない。 と、わたくしとしたことがつい・・・ディナーのメニューは厳守!でございます。 いつか山丘様の食卓にお呼ばれされるのを楽しみにしつつ、残り少ない今日を きっちりと、それでいて楽しく毒舌を交えながら過ごすことにいたしましょう。 勝手にすぺしゃるさんくす : 「謎解きはディナーのあとで」の影山さん。 2013年夏・映画公開決定!! みなさま、お見逃しなきよう・・・。(^^ゞ |