「絆」 〜仲睦まじく〜 「せやから誤解やって!」 「最近、帰りが遅いなと思ったら、飲み歩いてたのね。へーそぅー、いろいろと お楽しみだったわけだ。そりゃ若い子の方がいいもんねぇ〜?」 「ちゃうて!」 「しばらく家出させていただきます!ほな!」 「おかーちゃーーーーん!!」 私が山丘様の御宅にお伺いした時には、このような光景が繰り広げられておりました。 申し遅れました、私、山丘様のお隣に住んでおります影山と申します。 「山丘様」 「あ、影山さん・・・お母ちゃんが出てってもーて・・・」 「これはこれは、お取り込み中のところたいへん失礼いたしました」 「誤解やっちゅーのに、信じてもらえへん」 「身から出た錆とでも申しましょうか・・・火のない所に煙は立たず・・・」 「影山さーん!!(T_T)」 「山丘様の奥様に限って案ずることはないとは思いますが、万が一長期に渡る ようでしたら、家事等お困りでしょう。その折には、私の知り合いの家政夫に ミタゾノという者がおりますので、ご紹介いたしましょうか?」 「いや、家政婦っちゅーったら、それはそれでまたこじれそうな・・・?」 「山丘様、どうかご心配なく。家政婦ではございません、家政夫でございます」 「???」 「(ひそひそひそ←耳打ち)」 「おっ、おとこーーーーーっ?!」 「はい、ご用命の際にはぜひ」 「は、はぁ・・・・・・(-_-;)」 「ただいまー」 山丘様のお嬢様、美羽様がお帰りになりました。 「こら、美羽、受験生やのに何遊び回ってんねや?!」 「あたしの誕生日パーティーとクリスマスと転校してきたダイキくんの歓迎会も 兼ねて、カラオケ行ってきただけだよ!」 「ダイキって誰やねん?!おまえ、翔太がおるのにダイキって」 「ほら、そこの平成コーポに越してきた子。たまたまクラスも同じだから」 「ったく、どいつもこいつも」 「お父ちゃんに言われたないわ!自分だって飲み歩いてるクセして」 「・・・・・・。それよりお母ちゃん見かけんかったか?」 「ママなら、駅前のカフェで、最近お友達になったっていうミタゾノさんと お茶してたよ?」 「ミタゾノ?!」 血相を変えて、山丘様は飛び出して行かれました。仲がおよろしいご夫婦、 なによりでございます。 「影山さん、来てたんだ」 「はい、すっかりご無沙汰しておりまして失礼いたしました。ところで美羽様、 ダイキ様とも仲がおよろしいのですね?」 「あの子、おもしろいの。転校してきて日が浅いのに、みんなのムードメーカーに なってる」 「さようでございますか。翔太様とは相変わらず・・・?」 「うん・・・・・」 おや?美羽様のお顔が少し赤らんだような気が。私の個人的感想なのですが、 お顔がぽっと赤らむ女性はキュートで好みでございます。 私事で失礼いたしました。m(_ _)m 「今は受験のことで精一杯だけど、無事合格したら・・・付き合ってほしいって 翔太に言われたの・・・」 「それはよろしゅうございました。では・・・これはもはや必要ではございません でしたね」 私は、美羽様に恋愛成就のお守りを差し出しました。 「影山さん・・・(照)」 「それとこちらは、お誕生日プレゼントと言っては申し訳ないのですが、合格祈願の お守りでございます」 「ありがとう、影山さん☆」 「もっとも、合格祈願にいちばん効き目がございますのは、翔太様と初詣に行かれる ことだと私は思っておりますが」 「・・・うん。影山さん、ありがとう。第一志望、絶対合格するから!だって翔太と 同じ高校行きたいもん!!」 「はい、心よりお祈りしておりますm(_ _)m。それでは失礼いたします・・・」 「バイバイ、影山さん。また来てね。何もおかまいできずにごめんね」 「いえ、どうかお気になさらず・・・」 恋というものは、実に素晴らしい。今流行りの胸キュンラブストーリー・・・ ナオトインティライミ様の歌が聴こえてくるような気がいたしますね。 山丘様のご夫婦も、喧嘩するほど仲睦まじく、なによりでございます。 勝手にすぺしゃるさんくす : 影山☆ & 茂さん & ミタゾノ |