「絆」 〜オヤジサンタのプレゼント〜



美羽のお誕生日&クリスマスイヴも終わった。

「4さいになったんだもん、おねえさんだもん。いいこにしてないと
 サンタさんからプレゼントもらえないし!」

そんなことを言いながら、美羽はコテッと寝た。


「まだ起きてるんか?」

成之パパが私にたずねた。

「うん、このへん片づけてから寝る」
「じゃ、先寝るわ。おやすみ」
「おやすみー」


私は、片づけをしているうちに眠気に襲われて、寝てしまったらしい。
ポンポンと肩を叩かれて、ようやく目が覚めた。

(メリークリスマス)

?私はまだ寝ぼけているの?

(メリークリスマス、夏菜)

私の横には、サンタのカッコをしたおじさんが立っていた。

「誰?!ま、まさかどろぼう?!」

(どろぼう扱いはひどいな、夏菜)

「さっきから私の名前を呼んでるけど、どうして知ってるの?」

(いつもそばにおるんだが、わからんのかなぁ?)

「誰?!」

(わからんでもいい。ただ、いつも見守っているから)

「ちょっと誰?!わからないじゃない?!」

おじさんの姿がだんだん薄くなり、そして消えた。
夢?!・・・ううん、今私はちゃんと起きてる。夢じゃない。

ふと気がつくと、クリスマスカードがテーブルの上に置かれていた。

「夏菜へ。メリークリスマス!!これからもそっと見守っているよ。
 いつもおまえのそばで。          夏菜のオヤジより」


・・・・・オヤジって・・・まさか死んだオヤジ?!

私はあたりを見回した。姿はもうどこにもない。
もう一度あのおじさんの顔を思い出してみた。けど、私は死んだオヤジの
顔を知らないんだもの、確かめようがないじゃない?

でも・・・来てくれたんだね、オヤジ。
なんにもいらない。来てくれただけでうれしい。

「これからも見守っててよ、オヤジ。私も頑張るから」

どこかで見ていてくれるオヤジに向かって、ひとこと告げて
私も静かに眠りにつこう。


あ。いけない。美羽のサンタにもならなきゃいけなかった。
これはパパママサンタからのプレゼントね、美羽。