「絆」 〜ライバル〜



美羽が小学生になってから始めてのGW。パパはお仕事あるし、特にどこに行くとかの
予定もなく。

美羽は翔太くんとほとんど毎日、一緒に遊んで過ごすものだと思っていた。

すると美羽が・・・意外なことを言い出した。

「あのねぇ、みう、ナオキくんにおうちにあそびにこない?っていわれたの」

「ナオキー?!ナオキ?!て誰やねん?!」

こういうことには地獄耳のパパが、歯ブラシをくわえたまま、洗面所から飛び出した。

「ナオキくんはがっきゅういいん。それとジャイアンもくるんだって」

「なんでジャイアンなの?」私はたずねた。

「なまえがたけしだから、ジャイアン。となりのせきのゆーくんもくるの。
 でもね、となりのせきのゆーくんが・・・」

「ゆーくんて誰やねん?!」

パパ、うるさい。早く仕事に行って。(=_=)

「ゆーくんが・・・みう、どーしよー・・・」

「ゆーくんが何か言ったの?」私は、心配半分期待(?!)半分で訊いていた。

「ゆーくんが・・・みうちゃんってかわいいね(*^_^*)って・・・にこってわらうの。
 みう、なんだかはずかしい・・・」


(@_@)

翔太!!翔太は何してんだ?!ライバル出現だぞ?!この一大事に何してるんだ?!


「翔太くんは?いつもどーしてんの?!」私は身を乗り出して訊いた。

「うん・・・しょうたくんは、となりのせきのゆきなちゃんとかとおはなししてる」


翔太!!それでいいのか?!小学校という新しい環境下で生まれる、様々な人間模様。

いや、新しい環境で、新しいお友達を作るのは大切って教えるのが、ふつうの親。

なのに、私たちは動揺している。((+_+))


「みーうーちゃん☆あーそーぼー!!\(~o~)/」

「あ、誰か来たよ」私がドアを開けると、無邪気ににこにこ笑う少年が立っていた。

「ママ・・・ゆーくんだよ・・・」美羽は私の陰に隠れている。

「みちわかんなくなっちゃって、くるのおそくなっちゃった!!ごめんねー(^_^)」

「ナオキくんとやらは?」

「あ、ぼくがつれていくからまっててねっていったの」


こやつ、なかなかやるな。美羽と二人でいる時間を他の子より長くしようと
している。(-_-;)


「美羽、翔太くんは何してるのー?」平然を装い、私はたずねた。

「しょうたくんは、おばーちゃんのおうちにママとおとまりにいってるの」


うわー、ライバル優位!!どーする美羽?!


「ママ、ちょっとだけナオキくんのおうちにあそびにいってくるね」

「うん!!いこう!!みうちゃん☆(^_^)」


ゆーくんと手をつないだ美羽が遠ざかる・・・。パパ、出勤前に固まる。


「翔太より、あのゆーくん・・・イケメンとちゃうか」

「そうね・・・」


しばしパパと二人で、美羽たちの後ろ姿をながめていた。


「美羽、幼稚園の時、翔太まっしぐらやったやないか?いつの間にこんな・・・
 いったい誰に似たんや?」

「あら、私に似たとでも言いたいの?私はそんなんじゃないわよ?あ、パパって
 ナルシストだから、いろんな女の子にモテたい心理が美羽に遺伝したのよ!!」

「オマエこそ、イケメン好きなんとちゃうんかい?!」

「イケメン好きやないから、今ここにおるんとちゃうんかい?!」

「そらどーゆー意味やねんな?!?」


美羽のモテモテ事件は、予想外の夫婦喧嘩に発展した。


春の嵐のように、ライバル現る。翔太には頑張ってもらわなきゃ!!o(>_<)o