「絆 〜シンガポーる?〜」



最近はカラフルなステテコ売ってるんやな〜。夏菜が買ーてきたこれ、快適やわ〜と
ステテコ一丁で、横になってテレビを見てると、ピンポンが鳴った。

「はい?どちらさま?」とインターフォンに出ると、
「山丘様、お休みのところ申し訳ございません。お隣の影山でございます」との声。

影山さん・・・・・こらあかん!こんなカッコで出られへん!!(>_<)
あわててTシャツを着て、ステテコ・・・これはええか・・・でドアを開けた。

「山丘様、お休みのところ申し訳ございません」
それはさっき聞いたで?(^_^;)

「毎日お暑うございますね〜」
「はぁ。影山さんはようきっちりしたカッコしてはりますなぁ」
「わたくしは慣れておりますゆえ・・・おや、そちらのパンツ、とても涼しそうで
 いらっしゃる」
「これ?夏菜が買ーてきたんですわ。影山さんもどうです?」
「いえ、わたくしは・・・」
「ストライプ柄なんか似合いそうですけど?」
「さようでございますか?」
「今度夏菜に買ーてきてもらいましょか?」
「ありがたき幸せ・・・と申し上げたいところですが、どうかお気遣いなさらず」
「そうですか?」

一瞬の間が流れる。影山さん、何しにきはったんかいな?

は!と気がついたように影山さんが袋を差し出した。

「本日は・・・こちら・・・先日シンガポールに参りましたので、少しばかりのお品を
 お届けに上がりました」
「それはそれはご丁寧に・・・・・シンガポール、ですか?」
「はい、シンガポーる、でございます」
「シンガポールにはご観光で行かれはったんですか?」
「いえ、お嬢様のお仕事&バカンスにご一緒いたしました次第で」
「シンガポー」
「る?あ、失礼いたしました・・・・・ちなみにこちらは、お酒をよくお召し上がりになると
 お聞きいたしましたので、山丘様に・・・ラッフルズホテル、シンガポールスリングの
 原液でございます」
「あのラッフルズホテルですか??」

「はい、あの文豪サマセット・モームも愛してやまなかったと言われておりますカクテル・
 シンガポールスリングの発祥の地、村上龍作品にもございます、あのラッフルズホテル
 でございます。一般的なバーにおけるシンガポールスリングの処方とは異なりまして、
 昨今のラッフルズホテルのシンガポールスリングは、トロピカルなカクテルと
 なっております。ちなみに、世界一美しいと囁かれるシンガポールの夕焼けを
 イメージしたと言われておりますが、わたくし思いますに、夕焼けというよりは朝焼けと
 申しますか、真紅の薔薇と申しますか・・・ご参考までに申し上げますと、
 シンガポールスリングは、ドライ・ジン、チェリー・ブランデー、パイナップルジュース、
 ライムジュース、コアントロー、ベネディクティン、グレナデン・シロップなど、
 あらゆる・・・」

「・・・影山さんはよう知ってはりますなぁ・・・」

「あ・・・これはたいへん失礼いたしました・・・わたくしつい夢中になってしまい
 まして(^^ゞ。こちらの原液は、いわゆるそれらの処方がミックスされており、
 100%パイナップルジュースを加えるだけで簡単に!シンガポールスリングが
 出来上がるという、画期的な原液なのでございます」

「はぁ、それはえらい貴重なものを・・・」
「こちらのラッフルズホテルシンガポールスリンググラスに注いでお召し上がり
 くださいませ」
「グラスまで?!」
「本日は、山丘様の奥様と美羽様は?」
「ふたりで出かけとります。もうすぐ戻ると思いますが、何かご用でも?」
「いえ、おふたりにもよろしくお伝えいただければ、と」
「はい、伝えときますわ」

「山丘様の奥様はお紅茶をお召し上がりになるとお聞きいたしましたので、こちら
 ラッフルズホテルのダージリンティーでございます。美羽様にはハードロックカフェの
 Tシャツを。美羽様にお似合いになられますお色ではないかと。
 プラナカンビーズ刺繍のミュールもとてもかわいらしく、お似合いになられると思った
 のですが、如何せんヒールがちょっとばかり高うございますゆえ、お怪我なさったら
 たいへん!!と思いまして」

「そこまでのお気遣いありがとうございます・・・(^_^;)」

はぁ・・・息つぎ忘れそうになっとったわ。(@_@;)

あ、夏菜と美羽が帰ってきた!

「ただいまー!あ、ひつじの影山さんだ!!」
「これはこれは山丘様の奥様と美羽様におかれましては、ご機嫌麗しゅう。
 美羽様、ひつじではなく、執事の影山でございます(^_^;) 」
「影山さん、こんにちは。お暑いでしょう?お上がりになって麦茶でも?」
「ありがたき幸せでございますが、もったいのうございます!どうぞお気遣いなさらず。
 本日お伺いいたしましたのは、先日シンガポールに参りました折・・・・・・(中略)
 そうそう、こちら、みなさまでお召し上がりください」
「なぁに?これ」
「マーライオン焼きでございます」
「まーらいおんやき??」

「シンガポールのシンボルでございますマーライオンの形をした、中にあずきや
 チョコレート、キャラメルフレーバーなどが入った、いわゆる人形焼でございますね。
 ちなみにマーライオンとは、伝説の動物である「白いたてがみをもった獅子に似た
 動物」と、海を象徴するマーメイドをあわせたもので、昔から世界三大がっかりの
 一つと言われておりますが、このマーライオン、今年40歳を迎えるとのことで、
 ただ今工事中でございまして・・・フェンスで見えないという珍しいマーライオンを
 拝見することができ、この影山、若干おいしいと思ってしまいました次第で
 ございます(^^ゞ」

影山さん、あちこちにインテリなうんちくとミニ情報をありがとうございます〜(^_^;)。

「これはこれはまた長居してしまいました。申し訳ございません。
 山丘様、山丘様の奥様、美羽様、残りわずかとなってまいりました夏を、
 ご存分にお楽しみくださいませ」
「たくさんのお土産をいただいてしまいまして、かえって申し訳ないです」
「いえいえ」
「ありがとー♪ひつじの影山さん☆また来てね〜♪」
「はい(^_^;)、またお伺いさせていただきます」

影山さんは汗一つ流さず、キリッとした姿で帰って行かはった。
ぐだーってすることないんかいな?あの人は・・・。
いっぺん見てみたいわ、ぐだーっとして「あー、やってらんねー!!」とか
言うてはるとこ。

「パパ!」
「なんや?」
「影山さんはパパとは違うのよ?」
「なんも言うてへんで??」
「ふふ、私にはあなたの心の声だってなんでも聴こえるのよ」
「夏菜の地獄耳、こわっ(>_<)」
「パパ、まーらいおんやき食べよ〜?」

はいはい、今行きますがな。







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                  旅行.Info


参考文献 : 稲 保幸 著 「カクテル」(新星出版社)
         上田 和男 著・川部紘太郎 写真 「カクテル」(西東社)