「絆」 〜ホワイトバースデー〜



今日は底冷えがすると思っていたら、ちらちらと雪が降ってきた。

思えば、美羽が生まれた8年前の今日も、こんなふうに羽のような雪が
降っていたな。
美しい羽のような・・・それで美羽と名づけたのだった。


「ママ。なにしてるの?おこたでトランプしようよ」

美羽が私を呼びに来た。

「ゆきだー!!」
「やっと気づいた?」
「だってずっとおこたに入ってたんだもん」
「子供のくせに寒がりだねー、美羽は」
「だってさむいじゃん!!」

口をとがらせながら美羽は言った。


短いようで長い、長いようで短い日々だった。

廊下で二人並んで、窓の外を見ていたら、また美羽の背が伸びているのに
気づいた。

「美羽、また大きくなったね」
「うん。でもたいじゅうもふえちゃった」
「おこたでゴロゴロしてるからだよー。お外で遊びなさい」
「だってさむすぎるんだもん」
「子供らしくない!!」
「いーじゃん」


ピンポン。ドアのベルが鳴った。

出てみると、ほっぺを少し赤くして、ゆーくんが立っていた。

「みうちゃんいますか?」
「ちょっと待ってね」

呼ぶまでもなく、とことこと玄関にやってきた美羽。

「あ、ゆーくん」
「ゆきであそぼーよ、みうちゃん」
「まだつもってないよー」
「ゆきの中であそぼー!!ねー?」
「しょーがないなー、もぅ」

ぷっ!!生意気な言い方。

玄関にかけてあったコートを羽織って、クツをつっかけて
出ようとしていた美羽。

「待って。長靴はいて行きなさい」
「ながぐつ?あ!!このあいだかった、かわいいの出して!!」

こういうとこは、このままずっと続いていくんだろうな。(^_^;)


「いってきまーす」
「気をつけてね」

美羽はゆーくんと出て行った。


いつの間にか、少しずつ親の手の中から外に出て行く子供。
そんなことを感じた雪の日。

美羽、ハッピーホワイトバースデー♪





なんとなくBGM : aiko 「スター」