「絆」 〜よつばのクローバー〜

「美羽ー、ママちょっと買い物行ってくるね」

玄関でクツをつっかけながら私が言うと、

「美羽も行く!!」と走ってきた。

途中通る公園の緑は青々と茂っていて、風が吹くたびわさわさ揺れる。
季節はすっかり夏らしくなり、蒸し暑い空気が漂う中、吹いてくる風は
本当に心地いい。

今日は公園を横切って行くことにした。
広場の一角に、緑のじゅうたんのように生えるクローバー。
ふと目をやると、四つ葉のクローバーが目に止まった。

「ほら、美羽、四つ葉だよ?これ!!」

私が指さすと、

「ホントだ!そういえば、ママ、四つ葉見つけるの得意だったよね?」

そうだった。日々に追われて、そんなことも忘れてた。

「ママって、ぱっと四つ葉見つけることがあるでしょ?今日みたいに。
 それってなんでかなぁ?」

美羽にたずねてみると、

「それはね、小人さんが、ここだよ!!って教えてくれてるからだよ」

思わぬお答え!

「小人さん・・・ね」

笑いながら答える私。

でもその通りだったりして。何かに呼ばれる気がして振り向くと、
そこにあったりする。

最近、自分の書いた文章に絵をつけて、童話っぽいものを作り始めた美羽。
そうか、美羽の思い描いてる世界には、小人さんも登場するんだね、きっと。

四つ葉を見つけられた日は、ラッキーな日と決めている。
まだまだ頑張れるって言われてる気がするのだ。

「ママ、一人で何ぶつぶつ言ってんの?キモいよ」
「そういうこと言わないの!」

美羽はますます生意気な口をきくようになった。
それも成長のひとつなのだから、と頭ではわかっているけれど。(^_^;)

ほのぼのと小さな幸せをかみしめた瞬間。





すぺしゃるさんくす:苺田アンさん(小沢真理「苺田さんの話」より)