Introduction to 4x100mR

4×100mR概論



 
 
4×100mRの技術
 
1.バトンパスのポイント
 
 @バトンを渡す走者の注意点
 
バトンを渡す側の走者(以下前走者とする)が最初にすることは、バトンを貰う側の走者(以下次走者とする)のスタートのタイミングが早いか遅いかを判断することです。次走者のスタートが早すぎた場合は、すぐに「早い」と大声を出して次走者を減速させてオーバーゾーンになるのを防ぎます。反対に、次走者のスタートが遅れた場合は、自分からは絶対に減速しないように走ります。これは、次走者は加速していくのに対して、前走者は既に100mを走っているので、一旦減速してバトンが渡せなかったときに次走者は離れていってしまうからです。ですから、たとえ詰まっても自分から減速せずに、腕を折りたたんで渡すなどの工夫をすればよいと思います。

次にバトンを渡す動作ですが、前走者が「ハイ」と声をかけ、それに反応して次走者が手を後方に出してからバトンを渡す動作をします。よく「ハイ」という合図と同時に、まだ次走者が手を出していないにもかかわらず自分から腕を伸ばしてバトンを前に出す選手を見ますが、目標物もないのにどうしてバトンが渡せるというのでしょうか。だいいち、次走者の手が自分が出したバトンの位置に出るとは限りません。また、バトンを前に出しているときはバトンを持っている側の腕は振れないので、前走者は必然的に減速してしまいます。ですから、次走者の手が後方へ出るのを確認してからバトンを渡す動作をしましょう。

バトンを渡すときには、バトンを持っている側の腕を前に振って前方で腕振りが一旦止まったときに肘を伸ばし、最後は手首を動かして立ったバトンを寝かせるように相手の手の中に置くようにします。そして、次走者がしっかりバトンを握るのを確認してからバトンを前方に押してやります。バトンパスでやってはいけない動作は、ナタを振り下ろすように上から切ったり、「押し出せ」という指示をあまりにも真に受けて、ストレートパンチを繰り出すように次走者の手にぶつけてしまうことです。バトンを渡す速さよりも確実に渡すことを優先させないと、バトンを落とす危険度が大きくなります。
 
 Aバトンを貰う走者の注意点
 
4×100mRにおいては、第1・第3走者は曲走路を走りますからレーンの内側を走ります。これにともなって、第2・第4走者はレーンの外側を走ってバトンを貰います。これをふまえて、レーン幅での待ち位置とテイクオーバーゾーン内でバトンを貰えるようなスタート位置を決めます。特に第3走者は内側を走っていきますので、スタート直後に外側に出てしまうと第2走者と前後がかぶってしまいますから第1歩目からレーンの内側に向って走るようにしましょう。

バトンを貰う走者(以下次走者とする)が最も気をつけなくてはならないことは、自分が定めたマークの位置に前走者が来るまでスタートしないことです。特に、自分のチームが他のチームにリードされているときなどは、焦ってしまい早く出がちになりますから注意しましょう。

バトンを貰う動作は、前走者から声がかかったらバトンを貰う側と反対側の肩を前方に出して上半身を前走者が走ってくる側に向けながらバトンを貰う側の手を出します。そして、肩関節を固定させて腕がぶれないようにします。このときの手は手関節を背屈(腕立て伏せをするときの手首の角度)させて、手掌を大きく開いて前走者に向けます。バトンが手に置かれたら、しっかり握ってから腕を前方に振るようにします。
 
2.区間の走り方
 
リレーにおける走りがフラットレースと異なるところは、リレーでは走区間の最後にバトンパスが絡みますから、最後まで減速しないようなペース配分で走ることです。オーバーゾーンをしてしまうチームのなかに、 「練習と同じ位置にマークをしているのに、何で? と首をかしげているところを見かけますが、練習においては渡すまでの加速距離が短ためにバトンを渡すときには前走者が最高速度で渡すことができるのでが、本番のレースにおいては100mを走ってきているので最高速度よりも減速した状態で渡すことになり、必然的に次走者には追いつかないのです。このケースは特に女子選手に多く見られます。ですから、リレーでは区間における最高速度のレベルを高めるよりも、最高速度を持続するようにレースを組み立てていくことが大切です。

また、第2・第3・第4走者はバトンを貰ってから走っていきます。このバトンパスにおいて、タイムロスを極力少なくするには、最高速度に近い状態でバトンを貰わなくてはなりません。ですから、スピードの立ち上がりを早めにして、その後のスピードの維持に努めるように走ります。

それから、「バトンを持つと人が変る」 という選手はたしかにいますが、リレーということで入れ込みすぎて力んでしまって最後に失速、結果オーバーゾーンというパターンにならないようにしましょう。
 
100mレースとリレーの走りのちがい
種 目 スタートからの速度の立ち上げ 最高速度レベル 最終地点
100mレース 40〜60mで最高速度に到達 レース途中で100% 減速を抑える走り
リレー 第1走者 フラットレース同様 後半に100% 最後まで速度維持
第2〜第4 バトンをもらうときにはほぼ到達 中間は抑えて後半に100%
 
 
3.オーダーの組み方
 
4×100mRのオーダーはそのチームの事情もありますので絶対にこうでなければならないというものはありません。しかし、一般的には先行逃げ切り型のレースをしたほうが有利です。ここがマイルリレーと大きく異なるところです。それでは一般的なオーダーの組み方を紹介することにします。
 
第1走者 スタートが得意・コーナーリングが得意な選手を起用します。
第2走者 メンバー4人の能力が平均しているときには2番手、能力差があるときにはエースを起用します。
加速は苦手だがスピード持続力はある選手(200mが得意)なども適しています。
第2走者は向風で走るときにはラストで失速しないように走ります。
第3走者 第1走者同様にコーナーリングが得意な選手を起用します。
最近のレースでは第3走者の果たす役割が大きく、チームの戦力差が最も表れる区間です。
第2〜第3走者のところは最もオーバーゾーンが発生します。特に、2人の走力差があるときには、「線」ではなく「点」で合わせることになりますから、危険度は大きくなります。
第2・第3走者にチームの2枚看板を配置するチームも多く見られます。
第4走者 基本的には第2走者同様にエース級を起用しますが、先行逃げ切り型のオーダーを組むときは必ずしもこの限りではありません。
インターハイ路線では、新1年を新たにメンバーに入れるときに、前年の形を崩したくないという場合には、ここに1年生を配置することがあります。第4走者はレースの最終順位を決めますから冷静に走らなくてはなりません。
 



(以下工事中)