General Endurance Training

一般持続系トレーニング



はじめに
 
一般持続系のトレーニングは、無酸素系の運動が多いスプリントトレーニングの中では、数少ない有酸素系の運動です。トレーニングの中で有酸素系の運動を行うことで、体内に蓄積された乳酸を速やかに処理し、運動を継続することができます。冬季トレーニングにおいてはトレーニング量が増え、乳酸の蓄積する機会も多くなりますが、乳酸の処理能力が高いと楽に量をこなせるようになります。
また、競技会では、1つのレース毎にウォーミングアップやクーリングダウンも含めた運動を行い、長時間運動することになりますので、乳酸処理能力を高めておく必要があります。
 
運動継続時間
 
「エネルギー生成とスプリント」のファイルでも述べてありますが、有酸素運動は3分以上継続できるレベルの運動です。しかし、実際に有酸素運動の効果は、15分以上継続して運動しないと得られません。体力トレーニングとして位置づけるのであれば、運動時間は30分程度は必要になります。
 
一般持続系トレーニングの分類
 
一般持続系のトレーニングは、種目によって単に体力(スタミナ)や運動持続性だけでなく、筋力・敏捷性・スピード・巧緻性などの体力要素も兼ね合わせたトレーニングを行うことができます。
 
トレーニングの種類と体力要素
運動の種類 持続性 運動量 筋 力 柔軟性 敏捷性 スピード 巧緻性
ジョギング
サーキット
エアロビクス
ウォータートレーニング
ゴール型球技
ネット型球技
 
 
1.ジョギング(ロングジョッグ)
 
ジョギングは最も手軽でポピュラーな有酸素運動です。呼吸を整えながら、2呼2吸(2回はいて2回吸う)のリズムでリラックスして走ります。ジョギングは有酸素運動により乳酸の速やかな処理を行うとともに、接地のしかたや重心移動などの技術的なチェックをするよい機会でもあります。ジョギングはは1日のトレーニングの最後にじっくりと汗をかくように15分程度行いますが、鍛錬期など体力づくりの時期には20分〜30分と長めにすることがあります。
 
2.サーキット・トレーニング
 
運動を継続しながら筋力トレーニング(筋持久力)をしていくのがサーキット・トレーニングです。サーキット・トレーニングでは全身の筋をバランスよく鍛えるため、一定の時間内に種目数と種目の回数(負荷)を設定して行います。種目間はジョギングでつなぎますが、この距離(時間が短いほど回復時間がとれないので負荷は大きくなります。)
スプリンターがサーキットトレーニングを行う場合は、一つ一つの種目をすばやく行うようにします。
以下にあるものは、サーキット・トレーニングの一例です。
 
サーキットトレーニングの組み合わせ例
ローテーション 部 位 種 目 対象筋 回 数
1 大腿  Bench Stepping Jump  大腿四頭筋・大殿筋 20
2 胸・腕  Push-up  大胸筋・上腕三頭筋 20
3  Barbell Curl  上腕二頭筋 20
4 胴・下腿  Hurdle Jump  腸腰筋・下腿三頭筋 10
5  Back Extension  広背筋・ハムストリング 20
6 腕・肩  Upright Rowing  三角筋・肩甲挙筋・脊柱起立筋 15
7 大腿  Half Squat  大腿四頭筋・大殿筋 15
8  Bent Knee Sit-up  腹直筋・腹斜筋 20
9 腕・肩  Chinning  三角筋・上腕二頭筋 5
 
 
3.エアロビクス
 
エアロビクスは運動を継続していくなかで、様々な動きを取り入れたトレーニングです。BGMを用いてリズミカルに動きます。
エアロビクスは動きのなかで関節の可動域や筋の伸展が求められますから、動的柔軟性を高めることにも使われます。
体力的な要素を求める場合は30分以上継続して行います。
 
4.ウォーター・トレーニング
  
ここでいうウォーター・トレーニングは、スイミング・アクアビクス(水中エアロビクス)などを指します。
スイミングは全身運動による持久性のトレーニングになります。
水中エアロビクスは水の抵抗下で動きますから、筋力トレーニングにもなります。
激しい運動を行った翌日に、疲労回復の目的でも行われます。
 
5.ゴール型の球技
 
ゴール型の球技は行動範囲が広いので、楽しみながら運動量を確保することができます。ここではトレーニングの一環として球技を取り入れていますから、動き続けることが大切です。なにもルール通り行う必要はなく、自分たちがトレーニングの成果を得られるように工夫して行っても構いません。ボールに対する人数が少ないほど、運動量が要求されるようになります。
また、ゴール型の種目を行うときには、接触プレーが増えますので、怪我には十分注意して行う必要があります。
インターバルトレーニングの形式で、1セットあたりの時間は7分程度(セット間は任意)で複数セットを行います。
  
ゴール型の球技種目
種 目 実 施 方 法
バスケットボール 3〜4人で行うのが最適。
ミニサッカー フィールドプレーヤーのみでミニゴールを用いるのが最適。1チーム3〜4人が最適。
トレーニング効果を得るためには、サッカーコートの半分は必要。
ハンドボール ゴールキーパーは短時間で交代制で行う。1チーム4〜5人が最適。
アルティメット フリスビーを使ってゴールに入れる。トレーニングとしては1チーム3〜4人が最適。
トレーニング効果を得るためには、サッカーコートの半分以上は必要。
 
 
6.ネット型の球技
 
ネット型の球技は、エリアが区切られている分、運動量が少なくなりますので、できるだけ動き続ける意識で行うことが大切です。ネット型の種目を行うときも、ルールや運用方法を工夫して行うことが望ましいと思います。
ネット型の球技の場合、運動量の確保はラリーがどれだけ続くかが大きく関わりますから、技術的に難しいもの(テニスなど)は上級者でない限りトレーニングとしては不向きです。
 
ネット型の球技種目
種 目 実 施 方 法
バレーボール トレーニングとしては1チーム4人が最適。2人だとビーチバレー形式になりかなりの運動量になる。
バドミントン 場所的な余裕があればシングルスで行ったほうがトレーニング効果は上がる。
インディアカ お手玉に羽根がついたようなものをバレーボールと同様に相手コートに落とす。
バドミントンコートで行い、1チーム3人が最適。