Tempo Endurance Training

テンポ持続系トレーニング



はじめに
 
テンポ持続力のトレーニングは、走トレーニングのなかでも一定のレベル以上のスピードで何本も走ることで、走力のベースをアップしようというトレーニングです。この点においては、トレーニングの効果は筋力トレーニングの負荷曲線と似ています。スピードレベルや間のレストの設定を変えていくことで、目的に応じたトレーニングをすることができます。

なお、各種目の設定タイムや1本ごとのREST時間は、トレーニングロードのファイル  100m&200m系  200m&400m系  を参照してください。
 
テンポ持続系トレーニングの体系
 
  1.テンポ持続力のトレーニング 一定のタイムをクリアし続けることで走力のベースをアップします
  2.アクセントをつけたトレーニング 走リズムの確立や加速技術などのトレーニングです
  3.特殊負荷によるトレーニング 特殊負荷をかけることで主に酸素負債・筋持久力を向上させます。
 
1.テンポ持続力のトレーニング
 
 @テンポ走
 
テンポ走は同じ距離でも専門種目によって、トレーニングの目的が異なります。トレーニングを行う上で、目的を明確にして、フィットしたものを行うようにしましょう。
 
距 離 対 象 選 手 トレーニングの目的と実施方法
200m 100m&200m系 100mを加速区間とし、残り100mをスピード維持区間とします。
特に後半は上体が前に突っ込んで脚が後方に流れないようにします。
200m&400m系 100m系と同様、前半加速・後半スピード維持区間とします。
300m 100m&200m系 スピード維持能力と耐酸素負債能力の養成になります。
200m&400m系 スピード持続力の養成になります。
400m選手にとっては、スタートから300mまでの想定で走ります。

400m 100m&200m系 マイルリレーを走るためのトレーニングになります。
200m&400m系 最後までスピードダウンしないように走ります。400m走力の指標となります。
450m 200m&400m系 耐酸素負債能力の向上のためのトレーニングです。400m以降の粘りが大切です。
500m 200m&400m系 耐酸素負債能力の向上のためのトレーニングです。400m以降の粘りが大切です。
 
 
テンポ走のセッティング方法
 
  1.セパレート方式 1つの距離を1本ごと分けて考えて行う方法です。
シーズン中に1本1本集中してトレーニングを行います。
複数で走るよりも1人ずつ走ったほうが効果的です。
  2.セットアップ方式 複数の本数や異なる距離を組み合わせて行う方法です。
鍛錬期に負荷をかけて行うトレーニングです。
距離の組み立てよりも体力向上に比重を置きますから、複数で一緒に走ったほうが効果的です。
  3.伴走方式 走る選手のそれぞれのスタートとゴールの位置をずらすことで、自分が他の選手に引っ張られる区間と自分が他の選手を引っ張る区間をつくります。
例えば300mを行うとすると、最初の100mを、それまで200mを走ってきた選手のラスト100mを引っ張り、次の100mは自分だけで走り、ラスト100mを次の選手に引っ張ってもらうものです。
目標物を置くことで実力プラスアルファを引き出すトレーニングができます。

 
 
 A分割走
 
ある距離を通して走るのではなく、いくつかの区間に分割して走り、合わせてその距離を走ったことにするものです。体力的に弱い選手やスピード持続力が不足している選手には適しているトレーニングです。区間の間は100mウォークでつなぎます。
 
距 離 対 象 選 手 トレーニングの目的と実施方法
100+100 100m&200m系 200mの前半部分と後半部分を想定して走ります。
200m&400m系 200mの前半部分と後半部分を想定して走ります。
100+100+100 100m&200m系 200mの前半部分を1本と後半部分を2本走ります。
200m&400m系 400mの100m・200m・300mまでを100mずつを想定して走ります。
200+100+100 100m&200m系 マイルのための400mを200mまで300mまで400mまでを想定して走ります。
200m&400m系 400mの200mまで300mまで400mまでを想定して走ります。
300+100 200m&400m系 400mの300mまでとラスト100mを想定して走ります。
300+150 200m&400m系 400mの300mまでと250mからゴールまでを想定して走ります。
  
距離をつないで走るトレーニングを行うときによく見られる思い違いは、例えば、300+200+100というトレーニングをしたときに、300m・200mはスピード持続・100mはスピードという目的で行っている場合です。100mを走る前に、既に300mと200mを走っているわけですから、身体的には最大スピードを追求できる状態ではありません。従って、100mをスピードトレーニングとしての位置づけをするならば、酸素負債の少ない状態で行うようにトレーニングを組み立てるべきです。このケースでは300m・200mを走った後なので、ここでの100mは特殊持続力(耐酸素負債やトップレベルではないスピード持続力)の養成になってしまいます。同じ距離を走るにも、トレーニングの組み立て方で、まったく異なるトレーニング効果になりますから十分な考慮が必要です。
 
 B1分間隔走
 
100mを1分単位でスタートするものです。スピード設定は選手の能力に応じて行いますが、速く走れば次の1本までのレストは長くなります。
酸素負債下でのトレーニングになりますから、400mの選手向けのトレーニングになります。
 
2.アクセントをつけたトレーニング
 
 @加速ドリル
 
ここでいう加速ドリルは、200m以上のレースを想定して行うものです。
 
距 離 対 象 選 手 トレーニングの目的と実施方法
150+50 100m&200m 150mをポイント走的に走り、ラスト50mは減速しないことが絶対条件です。
200m&400m 400mレースの前半部分を想定して走ります。
スピード型の400mでは200mのスピードを活かしたレースになりますから、150m地点でレースのトップスピードに到達するようにします。
 
 Aミニハードル走
 
テンポ走を走るだけでは単調な動きになりがちです。途中にミニハードルを置くことで、走りにアクセントをつけてリズムよく走ることができます。ハードルのインターバルは、200mHと同じ17.5mとします。
 
3.特殊負荷のトレーニング
 
 @折り返し走
 
テンポ走を1本走り、ゴール後10mほど減速区間を設定し、すぐに折り返して10m加速した上で、50m〜100m走ります。
テンポ走はリラックスして走り、折り返した後は、余力の100%スピードで走ります。
このトレーニングは、酸素負債の状態でどれだけ走ることができるかの耐酸素負債能力を高めるものです。
 
距 離 対 象 選 手 トレーニングの目的と実施方法
200+50 100m&200m 200mレースのラストのスピード持続力の養成を目的とします。
200mを走った後の酸素負債状態で50mをオールアウトします。
300+100 200m&400m 400mレースのラストのスピード持続力の養成を目的とします。
300mまでをスピードを落とすことなく走った上で折り返し後をオールアウトします。
400+50 200m&400m 400mレースのラストのスピード持続力の養成を目的とします。
400mを走った後の酸素負債状態で50mをオールアウトします。
 
 A起伏走
 
これはヒルトレーニングの一種で、アップダウンのあるところで行います。
アップダウンがあることで、筋力負荷やチェンジペースによる負荷がかけられるので、総合的な体力アップを図ることができます。