再開準備

 9月23日も休日だ。 快い日々が続く。 シルバーウィークと呼ぶ。 店を休業している者にとってゴールドもシルバーもない。 余分に休日をいただいても、使い道のない小遣銭をもらってなすすべもなくジャラつかしている半ベソの子供だ。

 あと10日もたてば、もう10月だ。 彼岸花も散って菊の大輪大会の始まりだ。 ならばついでに、宣言も解除され、いよいよ営業再開かな? “妄言はつつしめ! 願望で物事を判ずるな。 すべきは再開準備大作戦だ。

    ではその1
 店のトイレの蛇口は、ひねる出る方式の旧来型の定番でありましたが、お客さんの安心安全、防止策を考え最先端蛇口に取替えました。 もちろん、その性能を検証すべく自分の右手をかざし力のかぎり手をふってみました。 運わるく蛇口そのものに手が衝突してしまい青アザをこしらえてしまいましたが、性能は充分に確認されました。 どうか安心してお使い下さい。
 そして次なる準備にとりかかろうとしていたら、思いがけなかった恒例、徳島の石井町からのスダチが登場したのです。 秋の味覚の代表選手「カキ」には不可欠なポン酢の仕込みであります。 通常に店が営業されていれば季節ごとの仕事として普段に行われるべきなのに、うっかり忘れてしまうところでした。 ありがたき徳島、ありがたき石井町!  準備仕事

    再開準備大作戦 その2
 コロナ禍の中での店内の空気の流れは大きな問題です。 絶えず新鮮な空気が流れ、店のどこかに淀んだ空気がただよっては、感染を助長するようなもんだ! 保健所、東京都からいっぱいの指摘が来ていた。 幸いにバサラは窓を全開放できる方式だ。 淀みに問題はなかったが、古くなった換気扇が不安でありました。
すでに20年を経過、若干の回転むらとそれに伴う雑音が気になるところでした。
 よし、店内の換気扇3台、すべて高級、新品、性能、ええい! 金にいとめはつけぬ。 いっぺんに取り替えてしまえ。 2段階変速の美しいスマートな換気扇をとりつけました。 スピードが増しているはずなのに回転音が殆んどしない。 「俺、聴覚障害 はじまったの?」 と自問した次第です。 コロナ対策的店内の状況はととのった。 油汚れのないプロペラをむなしく磨いている。 何事も無駄はない。 いつかきっと役立つのだ。 エライ人は必ず言う。

    再開準備大作戦 その3
 先進蛇口の水のいきおい、高級換気扇の風の力、いくら改良されたからと言ったって、そこの場に立つ者の丈夫が最もとわれるのです。
 ささやかな飲屋商売、まことに頼るべきは己が肉体なのです。 年とともに細くなり、力強い筋力がたよりないものに、飛びはねる足、腰の弾力はしぼみ、秋とともに体格の貧しきを思う。

    彼岸の日の夕暮、だれもいない店の片すみに一匹のコオロギ。 俺の体格をあわれむかのよう背後でコロコロコロコロ美しくも悲しげに、だが、おどけてけたたましくもあった。 時にそのコロコロはあざけるようにゴロゴロに変調していた。 秋の夜の虫の声の乱調にそそのかされた。 感傷に浸る間もすて、トレーニング・ジムへと向ったのであります。

 そうです、再開準備大作戦の重要課題は感染の防御体制であります。 そして、何事につけ体力、しぼむ知力も胆力もなんとか延命だ。

 秋の夜長、ジムの黒いマシーンと格闘しながら、あのふざけたコオロギ また会えたら礼をいってやろう。
 「心がけるよ 丈夫」


                      2021.9.23
         10月にお会いできたらいいですね
                       大澤 伸雄

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