ラガーマンふたり

 サッカーの人気はすごい。 それは、選手のプレーがわかりやすく エレガントである。 ルールが単純明快で 誰にでも理解しやすい。 ファッショナブルで 若者の心をとらえる。 レベルの違いはあるけれど 素人でもプレーができる。 ポピュラーゆえに人々の心をつかむ。 
 さて、ラグビーはどうか。 苦しい、きたない、きつい、の3K をいまだに引きずっているイメージがある。 しっかりトレーニングつんで、体力も要求され、誰もがすぐに参加できるスポーツではない。 だから、ポピュラーではないのだ。 子供や若者の人気をつかみきれない。 ルールが沢山あるから なぜ いまのプレーが反則なのか解らない、など 色々な理由があるが ラグビーは格闘技である。 それ故に、色々なルールで 選手を束縛しておかないと ただの喧嘩 殴り合いになってしまうからである。 
 2月のある夜 ふたりの若者がやって来た。 慶応大学ラグビー部 主将の広瀬君 副将の高木君のふたりである。
 主要な公式戦の殆んどを観ている 私には この二人の顔はなじんでいて 遠いものではなかった。 試合の最中の表情はいかめしく きびしく きつい。 その夜の二人は柔和な笑みに満ちていた。 もっとも、のべつまくなしに戦闘面していたら人から 疎まれ きらわれ ちかよれない。
 ロック(No、4)の高木君はやさしくて力持ち このポジションは天職のように心得ている。 人前で己を語る など さもしい所作がない。 静に そこにいて つぎつぎと 酒をのみつくし平然と笑っている。
 スタンドオフ(No,10)の広瀬君、 現在活躍しているスタンドオフの中でも 屈指のプレーヤーであると 私は思っている。 これから咲き乱れる であろう才能を沢山内にひめている男だ。 二人は次のステップに向かって 走りはじめた。 つよく ただしく うつくしい若者でも いまわしく 人に語りつくせぬ苦悩をかかえることも  あるやもしれぬ。 そんな時 三鷹の片隅に 酒の好きな ラグビーも好きな 無粋な男がいることを 思い出してください。 
 
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