読売記者の無礼

  9月 谷保の「文蔵」をリニューアルの真っ最中。 そんな頃に電話取材を受けた。

 「今回、国立谷保の文蔵さんが店をおやめになって、その後を大澤さんの婆娑羅が店を引き継ぐと伺ったのですが、そのあたりの事情をお聞かせください。」

 という、記者の願いであったので、快く色々な質問に答えた。
何よりも文蔵の主人であった八木さんに迷惑が及ばぬよう、最新の言葉を選んで答えた。

 それから数日後、読売新聞夕刊の東京都面に "文蔵の灯が消える" というタイトルで、写真つきで大きく掲載された。 山口瞳夫妻、文蔵夫妻、馴染み客の人達がうつっている10数年前のスナップ写真だ。 皆さん それぞれに にこやかで元気だった。 30年という店の歴史の一場面が切りとられた 文蔵夫妻にとっては宝物のような写真であろうと思う。 そして記事の末尾は「もうこの店に暖簾は二度と掛けられることはない。」という言葉で締めくくられていた。

 文蔵さんを引き継いで、お店をやるそうなと質して来た奴はどこのどいつだ、と言いたい。 それは読売の記者自身だろう。 俺が引き継いでやることを明確に承知している奴が、「もう二度と暖簾が掛けられることはない」とは、随分失礼じゃねぇか。 文蔵さんを引き受けるにあたってのいきさつも、ていねいに語ったつもりだった。 読売記者の頭は、何事も滅亡する作り話の方が安易で、ドラマが書き易かったのかも知れぬ。

 だが、滅亡より再生の方が人を魅了するのが世の常である事を、この記者、少しは学べ。

 「10月、文蔵は再び暖簾が掛けられる」のである。



ただいま改装中・・・


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