Rio Samba < LARRY CARLTON / Larry Carlton (1978年)>
今回は、エイブラハム・ラボリエルさんです。
最近では「エイブおじさん」と呼ばれることも多くなった(?)のですが、まだまだあちこちのサポートや
彼のグループ(3 PRIME) でもがんばっていらっしゃるので、昔からのファンとしては嬉しい限りです。
第1回めのマーカス・ミラーの時にリトナーの「Rio Funk」をご紹介しましたが、今回はそれに対抗して、
っていうわけではないのですが、カールトンの「Rio Samba」 をとりあげてみました(^^♪
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■エイブもまた、数々のスタジオワークやライヴセッションなどをこなしている人で、リー・リトナーや
デイヴ・グルーシンをはじめ、いろんなミュージシャンから引っ張りだこだったベーシストですね。
彼も名演ばかりなので、今回の選曲はちょっと迷ったのですが、彼の特徴がよく出ている代表曲という
ことでこの「Rio Samba」 にしてみました。
■イントロはエレピが8分食いで始まるので、これを意識しないとベースラインが始まるところで、
「アレッ?」となりますよね。 僕も1番最初に聞いたときはそうでした(^^ゞ
このイントロのベースからノッてきちゃいますね。
軽快な感じで、軽くビブラートをかけたりして、さりげなくエイブらしさが溢れ出ています。
■Aメロののベースラインのパターンがこの曲のメインのリズムパターンとなってます。
ラテン系独特の突っ込み・食いのパターンで、この曲のイメージを決定付けているといっても過言では
ないでしょう。
続くBメロはAメロとはパターンは違いますが、やはりラテンのノリを大切にしながら、サポートに
徹しているという感じです。
ポイントで入るグリスが、すごく気持ちいですよね!
■このあと、ギターソロ、キーボードソロとなりますが、ベースはAメロ・Bメロのパターンの繰返しで
ここでは、ひたすらリズムキープに専念、と言う感じです。
こういうところは、けっこう地味めなプレイなので、僕なんかは気が緩みがちになりそうになる部分
ではあるのですが(^^ゞ、さすがはプロ、辛抱強く1音1音を大切にしているのがよくわかりますね。
■キーボードのソロのあとは、お待ちかねのベースソロです!
もう、エイブ丸出し! 得意技連発! のプレイが炸裂しまくりです(^o^)
まず最初は、チョッパーですね(ここでもあえて「スラップ」とは言いません)。
そんなに小難しいことをやっているわけではないのですが、一聴して彼とわかる音色・フレーズと
なっていて、さすが!と思わせるプレイです。
次に指弾きですが、まずは、ビブラート。
これは彼の大きな特徴のひとつなのですが、2〜3フレットを高速スライドさせるような感じのかなり
大袈裟なビブラートのかけ方で、これがまた気持ち良いんですね。
続いて速弾き。
もうこの辺からヴォルテージは最高になってきます。
当時は「いかに速くすごいフレーズが弾けるか」がテクニックのバロメータでしたからね(^O^)。
で、エイブ独特の奏法がいろいろあって(5フィンガーとか)トリッキーな速弾きをするのですが、
ここではまず2フィンガーと3フィンガーで速いパッセージを弾いているようです。
そのあと、オクターヴのプレイでソロを締めくくるのですが、ここでも、ギターのオクターヴ奏法の
のような全部の弦をかき鳴らすようにはじいていたり、フラメンコ奏法のような指使いでのはじき方に
なっているようです。
このオクターヴでも軽くビブラートをかけているのですが、彼のようにさりげなく自然に聴かせるのは
けっこう難しかったりするんですよね。
■ベースソロが終わるとまたAメロのパターンに戻って、エンディングとなります。
で、ここでお気付きの方も沢山いらっしゃると思いますが、このあたりは最初のほうに比べると、
わずかではありますがテンポ速くなっています(~_~;)
ホントはあまり好ましくない事なのかもしれないけれど、この場合は逆に、プレイヤーたちの「熱気」
みたいなものが伝わってきて、この曲に限っては「これもアリかな?」とも個人的には思っています。
■というわけで、今回の「Cool Play!」は、素直にベースソロの部分です。
もう「エイブ万歳!」って感じですね(笑)。
■ところで、このアルバムはカールトンのソロとして爆発的なヒットとなったのはご存知の通りです。
フュージョンギタリストのバイブル的な曲である「Room 335」のオリジナルが収録されていますね。
この「Room 335」のベースプレイも大好きなので、今回の選曲の有力候補のうちの1曲でした。
ベースのお話は抜きにしても、ホントこの曲って美しくて、すごく良く出来た名曲だと思います。
いろいろ思い入れのある曲なので、機会をみて、この曲のみでお話してみようかとも思ってます。
このアルバムの他の曲も、どれも良くできた曲ばかりですよね。
僕は最近では、思い出したように引っ張り出してきて聴くぐらいなのですが、それでも、その度にすごく
気持ちよくなれるし、名盤であることを実感させられる1枚です。
■最初にもお話したように、エイブも沢山の名演があります。
今回はちょっと派手めなプレイをとりあげましたが、中にはもの凄くシブーいプレイにもかかわらず、
圧倒的な存在感がある、というような「Cool Play!」もけっこうありますので、次回のエイブの時には
そんな曲をご紹介しようと思っています。
Larry Carlton (G)
Abraham Laboriel (B)
Greg Mathieson (Key)
Jeff Porcaro (Dr)
Paulinho da Costa (Per)