古希のお遍路日記

佐々木 豊


 

60番・横峯寺奥之院 星ガ森より石鎚山

2019.3.12〜4.24 1番・霊山寺〜88番・大窪寺
2019.4.25〜4.26 88番・大窪寺⇒1番・霊山寺

徳島編
高知編
愛媛編
香川編

香川編

 お遍路日記(2019.3.12〜4.26)順打ち・通し打ちの記録



   涅槃の道場「讃岐の国」

4/19(金)曇り後晴れ  <39日目>
徳島、高知、愛媛の3県を打ち終わって、香川県、結願を目指す

民宿岡田6:40〜6:49雲辺寺登り口〜7:51尾根筋道路〜7:57ベンチ8:05〜8:40「第66番・雲辺寺」9:15〜10:30車道出会い〜10:37民宿青空前ベンチ10:43〜11:18岩鍋池北端〜11:48「第67番・大興寺」12:30〜13:11仁池北端13:45国道11号、県道6号交差点〜14:25三架橋〜14:30「第68番・神恵院、第69番・観音寺」15:10〜銭形展望台〜15:50晩翠旅館
1泊2食¥6100

 お接待の、おにぎり弁当を持って出発。登りは、相も変わらず、きつい。途中ベンチが欲しい。岡山のO君は、バンバン登っていた。尾根筋の車道に出る頃、霧が、かかって、少し肌寒い。

雲辺寺へ佐野からの登り口 雲辺寺への登り

 車道途中のベンチで休憩。風も無く、鳥のさえずりのみ。静寂の中、煙草を吸う。大阪のKさんが、追いついて来た。雲辺寺参拝の後、納経所前の休憩ベンチで、ゆっくりする。今日は、観音寺まで。Kさんは、本山寺の先、ほ志川旅館に泊まると言う。大丈夫かな、O君でも本山寺の近くのビジネスに泊まると言うのに。

車道に出る 第66番 雲辺寺

雲辺寺 山門 雲辺寺 大師堂

 雲辺寺からの下りもきつい。下りは、所々ベンチはあるが、下り一辺倒も辛い。車道に出る少し手前で、枯れ葉の中に、動く物。何だぁ、やっぱり長いのが出て来たか。見ると、マムシかぁ。石の上にかかって無ければ判らなかったかも。

五百羅漢を通って下山 香川県側への下山路
何だ!ゲッ・・・マムシ・・・か! 香川県に下る

 やっと車道に出て、民宿青空屋の庭先のベンチで休憩。暑い。昼前に大興寺に到着、参拝後、おにぎり弁当を食べる。ここでも、大休止。暑くて動くのもイヤになる。ここから、一目散に観音寺を目指すが、たまらず、コンビニに入ってアイスを食べる。昼からは、だらけてしまう。

民宿青空屋のベンチで一服 第67番 大興寺

山門から階段を上がって本堂へ 大興寺 本堂

 今夜の宿、晩翠旅館の前を通り、三架橋を渡ると、68番、69番は直ぐ。参拝後、休憩していると、静岡のMさんが到着。彼とは、仙遊寺、しこくや、旅館小松、民宿岡田、晩翠旅館、この後、泊まる、えびすや旅館と結構、同宿になった。途中、電車も使われたようだ。今夜も同宿。

第68番神恵院、第69番観音寺 境内

 彼も、途中、スーパーに立ち寄り、アイスを食べた後、出た時に方向を間違え、本山寺近くまで行って、引き返したとの事。旅館が一緒で、時間もあるので、銭形展望台に一緒に上がろうと相談していると、女性遍路Kさんが到着。この分だと17時までに本山寺に着ける筈で、時間的には、心配ないようだ。

Mさんと展望台で時間をつぶし、晩翠旅
館に2人でチェックイン。

1泊2食6100円と民宿より安い。
ただ、割烹料理店もしており、道路沿
いの部屋は、宴会や、車の音など騒音
が気になった。
銭形展望台より銭形砂絵


4/20(土)晴れ  <40日目>

晩翠旅館7:20〜8:15「第70番・本山寺」8:40〜10:00ほ志川旅館前〜10:05高瀬休憩所10:12〜11:10弥谷寺参道入口〜11:22休憩所11:27〜11:40「第71番・弥谷寺」12:27〜12:44車道〜12:58県道48号線へ〜13:10「第72番・曼荼羅寺」〜13:27〜13:38「第73番・出釈迦寺」14:00〜14:37「第74番・甲山寺」14:57〜15:15「第75番・善通寺」15:45〜マルナカ〜16:15善通寺ステーションホテル ¥4500(素泊まり)

朝食は6時半、思ったより早く出発。財田川左岸を本山寺に向かう。1時間程で到着。五重塔の改修も済んでいて美しい。

財田川に架かる、三架橋 第70番 本山寺 山門

本山寺 本堂

納経後、弥谷寺に向かうが、途中のコンビニで昼食の用意。ほ志川旅館の前を通り、国道11号線に出て、高瀬休憩所で休憩。しばらく国道を歩いていると、並行している遍路道をMさんが歩いているのが見えたので、遍路道に戻る。 

ほ志川旅館の前を通り、弥谷寺へ向かう 茶処みとよ高瀬休憩所

参道は、だらだらと登り道。シャトルバスの待合所兼休憩所で一服。山門はすぐ。俳句茶屋は、工事の為、フェンスで囲われていた。山門からは、階段、階段の連続。本堂までひと汗かく。
大師堂参拝、納経後、前のベンチで昼食。Mさんは、先に出発。

第71番 弥谷寺 弥谷寺 大師堂

山門から、竹藪の遍路道少し歩き、高速をくぐって国道11号線へ。72番へは、途中から県道48号線に入る。Mさんと合流。72番・曼荼羅寺へ。

弥谷寺から曼荼羅寺へ 池の間を通って国道11号線へ
第72番 曼荼羅寺 大師堂 曼荼羅寺境内 笠松大師

曼荼羅寺、参拝後、お昼は食べていたので、今回は、お接待処のうどんは食べず、2人で73番・出釈迦寺へ。この頃から団体に遭遇、前後する。

第73番 出釈迦寺 山門 出釈迦寺 大師堂

甲山寺では、団体が先着。納経所では、割り込ませてもらい、ご朱印をいただく。

第74番 甲山寺 山門 甲山寺 毘沙門堂

 Mさんも、ホテルは違うが、善通寺泊との事で、一緒に歩く。途中の店で「かたパン」を買いたかったが、今回も売り切れ。人気があるのか?
善通寺は、さすが人が多い、本堂の手水場では、並ばないと使えない程。本堂、御影堂と参拝者は多いが、何と、お経を唱えているのは、自分一人だった。

第75番 善通寺 本堂 善通寺 御影堂

 休憩後、2人で、Mさんの泊まる、善通寺グラ
ンドホテル近くのマルナカで買い物。夕食と
お線香を補充して、善通寺ステーションホテルへ。
明日は、Mさんも国分寺門前のえびすや旅館。
また同宿になる。
善通寺五重塔


4/21(日)晴れ  <41日目>

善通寺S・H6:20〜7:02「第76番・金倉寺」7:27〜8:27「第77番・道隆寺」8:50〜9:20団扇屋ベンチ9:23〜9:47土器川〜10:34「第78番・郷照寺」11:05〜11:24うどん屋長楽前〜12:05坂出休憩所12:10〜12:27八十場・清水屋12:40〜12:42
第79番・高照院(天皇寺)」12:57〜13:25鴨川駅前〜14:15「第80番・国分寺」14:45〜14:47えびすや旅館 1泊2食¥6800 洗濯:お接待

ホテルを出て、ファミマで昼食の用意。と言っても、今日は、うどんを食べるかも知れない。金倉寺を参拝、道隆寺の手前で、「お遍路さん」と、また呼び止められ、「これは、セガレの作ったもので、受け取って下さい。」と小さなお地蔵様を頂いた。(一昨年も貰って、玄関に置いてある。)納札を渡して、道隆寺へ。


第76番 金倉寺 本堂 境内 乃木将軍妻返し松

第77番 道隆寺 山門 道隆寺 多宝塔

道隆寺の納経所では、歩きですか、ハイこれ。と言って、一握りのキャンディを頂く。顔も手も、日焼けで真黒になっているので、歩き遍路と一目で分かるようだ。
今日も暑い。途中のコンビニで煙草を買うついでに、アイスコーヒを買い、店先で一服。次の郷照寺は高台にあり、少しは涼しいかも。

第78番 郷照寺 山門 郷照寺 本堂

 参拝後、日陰を見つけて、ワッフル、せとか1個を食べる。丁度、お昼時。宇多津の公園手前にある、長楽うどん店でうどんを食べようと思って行くと、「本日は終了」の札、休みか。仕方なく前へ進む。
しばらくして、高齢男性が自宅から出て来て、呼び止める。「般若心経」を写経したので、お守りにして。と手渡され、断れないので、頂いて、さんや袋に納める。88番で納めようと思いながら歩く。
坂出江尻休憩所で一服。バス停にもなっている。丁度、バス待ちのお婆ちゃんと一服しながら話し込む。お婆ちゃんが、さっき友達から貰ったものだが。と、カステラを1箱くれた。

JRの踏切を渡ると、八十場は近い。過去2度、素通りしているので、お昼も食べていない事から、八十場横の清水屋に入る。名物のトコロテンを注文、なつかしいラムネも置いてあったので、買って飲む。

八十場横にある清水屋 八十場

天皇寺は、ほぼ隣にあり、納経後、今日の最終札所、国分寺へ。

第79番 天皇寺(高照院) 白峰宮

 国分寺に、到着すると丁度、Mさんが参拝を終え、山門を出るところだった。参拝後、隣のえびすや旅館にチェックイン。女将さんから、洗濯物があれば出して。と籠を渡されたので、遠慮なく出させてもらった。洗濯のお接待が一番有り難い。入浴し、ゆっくり寛ぐ。

第80番 国分寺 山門 国分寺 本堂

境内 七福神・弁財天 えびすや旅館


4/22(月)曇り後晴れ  <42日目>

えびすや旅館6:25〜6:54車道から山道へ〜7:25修行大師休憩所7:28〜7:30県道180号線〜7:55県道から遍路道〜8:10「第81番・白峰寺」8:35・門前ベンチ8:45〜9:08閼伽井〜9:35十九丁〜9:46県道180号線〜9:49中山休憩所9:55〜10:14「第82番・根香寺」10:50〜11:26杜の季前〜11:57鬼無踏切〜12:05飯田休憩所12:30〜岩田神社〜13:00河川敷遍路道へ〜13:45「第83番・一宮寺」14:15〜15:40パークサイド高松¥4500(素泊まり)
 
 朝食、5時50分から。今日も暑そうなので、女将さんが気を利かせ、出来るだけ早く出発をと、早めに用意してくれた。しかし、同宿者の内、最後に出発。
靴を履いたところで、左足に違和感。ウッ?石では無い、角が無く、丸いもの。もう一度靴を脱ぎ、逆さに振ると、ポタッ。ク、クモや。胴体が5mm位、足を広げて3cm位のクモが落ちた。見送りの女将さんが悲鳴をあげ、私は、クモが大嫌い。何とかしてヨ。朝グモは、縁起がいい。と言って玄関を開け外に出る。女将さんが、うらめしそうに靴ベラで、クモをつついていた。

ここの登りも、へんろころがしの一つ。蒸し暑い中、1時間程登って、県道に出る手前にある休憩所で、荷物を降ろして休憩。陽は上がっているのに、国分寺の町の方は霞んでいる。

県道すぐ手前 修行大師 国分寺方面は霞んでいた

県道を横断し、すぐ遍路道の標識があるが、県道をとる。30分程歩いて、自衛隊の演習地を通り、白峰寺への遍路道に入る。15分程で、白峰寺。階段を上がり、最上部にある本堂、大師堂を参拝。山門前のベンチで一服。ここからは、あまり起伏のない、遍路道。


第81番 白峰寺 山門 白峰寺 本堂

根香寺へ向かう途中、登りで追い越した同宿の方とすれ違う。県道を横断し、そのまま遍路道に入ったようだ。えびすや旅館の女将さんも、県道を左に歩いて行った方が、近道だと昨夜、夕食の時に教えてくれたのに。荷物が重いのか、体調も悪そうな感じの方で、あまり、会話の中にも入ってこなかったが。かなり遠回りされたようだ。挨拶をして、根香寺への遍路道を進む。 

白峰寺・根香寺を示す石標 遍路道を根香寺へ

自衛隊の演習地になっているが、旧陸軍が使っていたところで、道の所々に、陸軍用地と刻んだ石の標識が立っている。

遍路道に残る、旧陸軍の石標 十九丁のベンチ

 中山休憩所まで来て休憩。荷物を降ろして一服するが、日陰が無く、暑いので早々出発。根香寺手前にある、無人の接待処で、同宿だったMさんともう一人の方が、鬼無に下る遍路道に入るのが見えたが、声をかける距離ではなかったので、そのまま見送った。

中山休憩所 根香寺手前にある接待処・遍路小屋

接待処でハーブ茶を1杯頂き、根香寺へ。白峰寺から1時間半程で到着。参拝後、山門脇のベンチで、早いが1回目の昼食をとる。

根香寺 山門 山門脇の牛鬼

根香寺 大師堂 開基時の伝説がある、白猴欅(はっこうけやき)

昼食後、鬼無へ下る遍路道をとる。前回歩いた時は、草が刈られてなく、草に覆われて道が見えないような所もあったが、今回は、どなたか、草をきれいに刈ってくれており、歩き易くなっていた。車道をショートカットするように遍路道は続く。

鬼無への遍路道(草が刈られて歩き易かった) 下り途中、高松方面、遠く屋島が見える

 鬼無駅そばの踏切を渡り、15分程で飯田休憩所に着く。過去、2度とも外のベンチで休憩したので、今回は、無人だったが、中に入らせてもらった。ソファに座って、2度目の昼食を食べていると、休憩所の奥さんが帰って来たので、納札をお渡しして、少し話し込む。近くの神社の孔雀藤も見て行けば、と言ってくれ、出発間際にチョット待ってと、甘夏を1個くれた。

飯田休憩所 岩田神社 孔雀藤(この一本の幹から広がって)

孔雀藤(まだ、少し早いか)

 休憩所を出て、すぐに岩田神社がある。「藤まつり」の幟と露店も出ている。立ち寄って見ると、境内に藤棚があり、丁度、藤の花が咲いている。全然、知らなかったが、この藤のすごいところは、樹齢800年の1本の幹から、23メートル×29メートルの藤棚に一杯に広がって咲いている見事な藤だった。夜、ホテルで見たTVでも、ニュース放送していた。

 一宮寺へは、河川敷を歩くが、日陰がないので暑い。お寺に着くと、丁度、Mさんが参拝を終えて、山門を出るところだった。明日は、長尾に泊まるという事なので、もう、会う事はないと、お互いに挨拶をして別れる。

第83番 一宮寺 本堂 一宮寺 大師堂

 一宮寺参拝を終え、一路、市街地に向かって歩く。結構、距離があるが、時間的には、余裕があったので、ホテルそばの栗林公園にも、寄ろうかなとも思ったが、何せ、暑さにうんざり、早々にチェックインし入浴、休息した。また、天気が気になる。結願の日になる明後日は、どうも雨に会いそうだ。


4/23(火)曇り  <43日目>

パークサイド高松6:15〜7:12春日川橋〜7:28潟元駅前〜7:36道池畔休憩所7:40〜7:54加持水〜8:02不喰梨〜8:16「第84番・屋島寺」8:45〜9:11車道〜9:14安徳天皇社9:20〜9:40マルナカ9:50〜9:55「洲崎寺」10:07〜10:25山田家10:42〜10:49八栗ケーブル乗り場〜10:55お接待処「仁庵」11:10〜11:30「第85番・八栗寺」11:57〜12:25二ツ池親水公園〜12:45道の駅源平の里むれ13:00〜13:20平賀源内旧邸前〜13:30「第86番・志度寺」13:55〜14:05富士屋旅館 1泊2食¥7500  洗濯機¥200 乾燥機¥100 ペットボトル600mlお茶:お接待

 あまり眠れなかった。体調も、少し疲れ気味。コーヒを入れ、昨日、朝食用に買ったサンドイッチを食べたが、いつも食べるバナナは、食べる気にならなかった。食欲が無いのが心配だ。

取りあえず、ホテルを出て、国道11号線に出る。途中、コンビニに立ち寄って、琴電潟元駅の踏切を渡り、道池畔のベンチで一服後、屋島寺への登りにかかる。途中に小学校があるので小学生が、ぞくぞく登校している。遍照院付近から登りが一段ときつくなる。こちらは、フウウウ言って歩いているのに、散歩から下って来る地元の方達は、涼しい顔で挨拶をしてくる。見栄を張って笑顔で返すが。

道池から屋島方面 加持水

加持水、不喰梨など写真を撮りながら登る。前回、雨の中を登ったが、時間的には、思ったより、早く着いた。

屋島寺へ 第84番 屋島寺

屋島寺 本堂 瑠璃宝の池(血の池)

 参拝後、前回、豪雨の為、遍路道が荒れ、屋島から壇の浦に下る遍路道は使わず、登って来た道を引き返して迂回したが、今回は、天気もいいので、下る事にした。一直線に下っているので、一歩一歩、慎重に下る。30分足らずで、集落の平坦な道に出る。少し、お腹が空いたので、丁度、通りがかった安徳天皇社の境内で、朝、食べなかったバナナを食べる。食欲が出て来たか。

屋島より、壇の浦・五剣山 屋島から遍路道を下る

佐藤継信の墓(義経の身代わりで討死) 安徳天皇社

 マルナカで、でこぽん3個を買い、店頭で一服。すぐ先の洲崎寺へ。小さなお寺だが、今回で3度目、何故か、立ち寄っている。知らなかったが、真念法師の墓所にもなっている。参拝後、納経所が見当たらない。境内で、草むしりをしている方に聞くと、この方が、お寺の奥様で、納経帳にご朱印をもらい、八栗寺を目指して歩く。

洲崎寺 本堂 真念法師の墓(四国遍路中興の祖)

八栗ケーブル駅手前の山田家の前を通ると、時間的には、少し早いが、やはり入って、うどんを食べた。冷たい、ざるぶっかけを食べる。腰が強く、やっぱり讃岐うどんだ。満腹で店を出る。

ざるぶっかけ¥570(税込) 八栗寺を目指す

 ケーブル駅の脇にある遍路道を登って行く。すぐ、草餅を売っている店。一つ買って、食べながら歩く。少し、登ったところで、奥さんに声をかけられる。
お接待処「心庵」だ。冷たいお茶をいただき休憩。しばらくの間、話し込む。お礼に、納札をお渡しすると、ノートを出して納札を貼り付けておられた。緑色の納札が貼ってあり、見ると、2本杖のOさんのものだった。奥さんに聞くと、昨日、立ち寄られ、今日、結願されるようです。と言われた。

 以前、泊まった事のある、岡田屋の前を通って、八栗寺に到着。団体が本堂参拝中。ベンチに腰を降ろして、下で買ったでこぽんを1個食べる。甘い、買って正解。団体が、大師堂に移動したのを見計らって、本堂参拝。続いて、大師堂を参拝、納経所でご朱印をもらう。

岡田屋旅館の前を通り、八栗寺へ 第85番 八栗寺 山門

八栗寺 本堂 八栗寺 大師堂

 志度寺への下山ルートは、車道を下って行く。車もあまり通らず、歩き易い。曇り空で、風もあり、そんなに暑くはない。国道11号線に出ると、すぐ、道の駅源平の里むれ。トイレ休憩。団体の巡拝者でにぎやか。バスで来ているので、皆、土産物を一杯抱えている。

車道を下り、二ツ池親水公園 道の駅 源平の里むれ

道の駅から、国道を離れ、海側の道を行く。平賀源内旧邸前を通り、民宿栄荘の前を過ぎると志度寺は、すぐ。栄荘の玄関には、まだ、休業中の貼り紙がしてあった。女将さんの具合は、まだ悪いのかも知れない。

平賀源内旧邸 新町自然石灯篭(さぬき市指定文化財)

 志度寺の本堂に行くと、丁度、八栗寺で出会った団体が、参拝を終えたところだった。参拝後、今夜の宿、富士屋旅館へ。今日は、割烹店の方は、定休日で静か。宿泊客も自分一人との事。洗濯機を回して、ゆっくり湯につかる。

第86番 志度寺 山門 志度寺 本堂

志度寺 大師堂 志度 富士屋旅館


4/24(水)曇り時々雨  <44日目 結願の日>

富士屋旅館7:05〜7:11志度寺門前〜7:43オレンジタウン駅前〜8:03「玉泉寺」8:10〜8:29長尾橋(へんろ橋)〜8:44「第87番・長尾寺」9:08〜9:34塚原橋〜9:46一心庵9:55〜10:30前山おへんろ交流サロン11:00〜11:42休憩所(県道3号線)12:00〜12:38多和小学校跡12:50〜13:12竹屋敷〜13:48「第88番・大窪寺」14:25〜14:30民宿八十窪1泊2食¥6500  洗濯機¥0 乾燥機¥200

天気を気にしながら出発。途中、セブンイレブンで、昼食の用意と煙草を買う。曇り空で少し蒸し暑く感じる。県道3号線を歩き、長尾寺の奥の院、玉泉寺に立ち寄る。お寺と言っても小さなお堂があり、近所に住む、お婆ちゃんが境内を掃除していた。日課にしているらしい。狭い境内だが、藤の花が綺麗に咲いている。

長尾寺奥の院 玉泉寺 玉泉寺境内

 へんろ橋と書かれた、長尾橋を渡って、87番・長尾寺へ。結構、参拝の方がおられた。いつ雨が降ってくるか心配で、ゆっくり出来ない。長尾寺から、しばらく歩いていると、車から、おばちゃんが、降りて来て、これ、お接待、食べて。とキャンディと柿の種を、手渡してくれた。お礼を言って、また、歩き出す。

へんろ橋(長尾橋)を渡って長尾寺へ 第87番 長尾寺 山門

長尾寺 本堂 長尾寺 大師堂

 前山ダムまで、ほぼ一直線。天気が持つかなと思い、塚原橋を渡って、遍路道を歩く。次は、一心庵で休憩しようと考えながら歩き、もうすぐ、という所で雨が降り出した。次第に強くなってきたので、仕方なく傘を差す。一心庵で雨宿り休憩。雨脚が弱くなった。ほんの10分位の雨。腰を上げて、前山を目指す。 

一心庵 前山ダムが見えて来た

 前山おへんろ交流サロンでは、先客が2名、例によって、歩き遍路に渡される、遍路大使任命書とバッジを頂き、前に88ケ所のを渡しているので、今度は、別格20ケ寺のものをあげると言って、DVDをくれた。ここで、ゆっくりして、お昼でもと思っていたが、先客の男性遍路が一人で話し、やたら話しかけて来る。落ち着いて昼食は、無理と思い、退去した。

前山おへんろ交流サロン サロンの向かい、道の駅ながお

 今度も、胎蔵峰を行かず、県道を行く。途中の休憩所で昼食。でこぽんがおいしい。ここから40分程、ゆるやかな登りの県道を歩く。多和小学校跡にある「結願の里」でアイスか冷たいものでも買って、休憩と思っていたが、到着すると、誰も居ない、店が閉まっている。くそ〜っ。トイレと煙草1本で出発。

多和小学校跡 誰も居ない 国道377号線から、左、遍路道へ

 竹屋敷の少し先から、遍路道に入る。一昨年は、台風22号接近で、土砂降りの中、豊中のおばちゃんと歩いたが、景色を楽しむどころでは、なかった。今回は、時折、傘を差したり畳んだりしながらの88番、やっと着いた。まだ14時前、すぐに参拝しなかった。
境内のベンチで煙草を一服。お茶を飲み、息を整える。44日間歩き、やっと到着、結願。
しかし、感動も何も起こらない。ゆっくりベンチに座っているだけ。時間が止まっている。
他の参拝者が、笑いながら、記念写真を撮っているのを、ボーっと見ている。

一息ついたところで、立ち上がり、本堂前にローソク、お線香を立て、納札と先日、坂出でいただいた般若心経の写経を納める。本堂脇に立ち、般若心経を唱え始めるが、途中、何故か涙が出て来て、ちゃんと、声が出て来ない。別に感激も何も湧かなかったし、やっと着いたぞ、と思っただけで、気持の変化も感じられなかったが・・・。他の参拝者がそばに居なかったので、ハンカチを出して、震える声で、お経を唱えた。

大師堂でも、やはり、涙が止まらない。ハンカチで顔を拭いながら、納経所へ。参拝後も境内で休憩、ゆっくりする。

第88番 大窪寺 大窪寺 山門

大窪寺 本堂 大窪寺 山門

 山門を出て、そばの民宿八十窪へ。大女将が出てきて、案内してくれた。杖をついているが、しっかりした口調で話し、元気そう。とても瀕死の重傷から復帰したとは、考えられなかった。
本人も、事故当時、これで最期かと思ったとの事。女将さんは、大窪寺1300年記念行事の打ち合わせで居なかった。

大窪寺門前 民宿 八十窪

 入浴、洗濯。同宿は、連泊で、別格20番、大滝寺を明日、往復される方と、東京から来た、女性遍路さんの3人。女性遍路さんは、5番地蔵寺で、ご朱印をもらい忘れた為、明日、バスで下山し、電車で板野まで行き、地蔵寺まで行かれる予定。

夕食は、例によって、赤飯が出て、おいしいビールも飲めた。
夕食時、女将さんの話。
先日、お遍路さんの遭難騒ぎが、あったとの事。夫婦で歩かれ、多和小学校付近で道を間違えて、迷い込み、とうとう救助要請。深夜まで警察が捜索し、大騒ぎになったと言う。人ごととは、思えなかった。


4/25(木)曇り一時晴れ  <45日目> 1番 霊山寺へ向かう

八十窪6:40〜6:51はらいがわトンネル〜7:00金泉寺への分岐〜7:09地蔵堂〜7:45大影校前バス停〜7:55休憩所8:02〜8:28岩野トンネル前休憩所(トイレ有)8:40〜9:16犬墓大師堂への分岐〜9:17自販機コーナ9:23〜9:50徳島自動車道高架下〜10:20庚申堂10:28〜10:42切幡寺参道入口〜11:15小豆洗大師〜11:28法輪寺門前うどん店12:15〜12:40熊谷寺12:55〜13:34林観音庵13:40〜13:53十楽寺 参拝後、宿坊へ  1泊2食¥8640

 朝、起きると雨。予報では、曇りに変わっていたのに。朝食までに時間があったので、玄関に脱いでいる靴を見る。ワォ〜。右足の靴底に大きな穴が開いている。新品同様の靴を履いて、歩いたのに。どうも、高知ぐらいで、靴底の減り方が激しいように思っていたが。名古屋のAさんも、同じ靴を履いておられ、同じ事を言っていた。靴を選ぶのが、最も大事だ。

後、2日、どうにか持ってくれ。と思っていたが。急いで部屋に戻り、テーピングテープで中から塞ぐ。昨日、石を踏んだ時、痛かった。減っているのは、判っていたが、まさか、穴が開いていたとは。大体、1cm×3cm位の大きな穴だ。

東京の女性が、始発バスに乗る為、6時前から朝食。女将さんが車で、始発のバス停まで、又、大滝寺を往復する方を、途中の金毘羅神社まで、それぞれ送って行った。

見送ってから、切幡に向かって出発。雨は、朝食を食べている間に、止んでいた。はらいがわトンネルを抜け、金泉寺への分岐、白鳥温泉への分岐を過ぎ、県道2号線を下る。前回は、足に出来たマメの為、時間がかかったが、今回は、早く歩ける。

八十窪を出発1番を目指す  国道377号線はらいがわトンネルを抜ける

 岩野トンネル手前の休憩所で、ゆっくりする。徳島自動車道の高架をくぐると、切幡は近い。直接、十楽寺に向かうには、早すぎるので、法輪寺の門前で、うどんを食べて時間調整を考え、法輪寺へ逆打ちコースを取る。

岩野トンネル手前の公園休憩所 犬の墓付近まで来た 切幡まで後少し

冷たいタライうどんと、お接待の柏餅を食べ、熊谷寺の境内でも一服。時間を見ながら歩く。

10番・切幡寺が見えて来た 小豆洗い大師 8番・熊谷寺

 14時前に十楽寺に到着。本堂、大師堂と参拝し、境内のベンチで休憩。区切り打ちの母娘としばらく話す。今日は、川島橋近くのゲストハウスに泊まって、明日、帰宅すると言う。それにしては、2人の荷物が多いように思う。母親は足を痛めて、荷物を少し娘さんに持ってもらっているとの事。今から、8番〜10番を参拝してからだと、時間的に結構、遅くなるように思うが、大丈夫かな。

十楽寺宿坊 十楽寺まで帰って来た

 宿坊にチェックイン。今日は、団体の宿泊はなく、5人だけで、大浴場はなし、部屋のバスを使って、と言われガックリ。夕食に、献立とは別に、ご住職が自ら作ったクリームシチュウを振舞ってくれた。


4/26(金)晴れ  <46日目 帰宅日>
     
十楽寺宿坊7:35〜7:49安楽寺前〜8:07寿食堂前〜8:15小柿休憩所8:22〜8:47羅漢郵便局横8:54〜9:10徳島工業短大前〜9:34板野休憩所9:36〜9:42金泉寺9:45〜10:17極楽寺10:25〜10:40「1番・霊山寺」11:02〜11:12JR坂東駅11:44――徳島駅13:00
==三ノ宮BT――― 帰宅

 夜中に、寝返りを打ったところ、ベッドから転落。ベッドに寝ている事を忘れていた。自然と受け身が出来たのか、大事に至らず。誰にも文句は言えない。

 6時半から、朝のお勤め。お経と焼香のみで、早く終わる。朝食後、出発。前回同様、逆打ちコースになる。金泉寺付近から、順打ちのお遍路さんとすれ違う事が多くなった。4月に入って外国人の遍路さんが、多くなったように思える。また、今回は、女性遍路さんが多いようにも思った。若い人から高齢の人と、年齢には関係なく。


小柿休憩所 岡上神社 板野休憩所

 1番・霊山寺は、大勢の参拝者、特に外国の方が目立つ。参拝後、納経所で、結願のお礼参りで、じゅずを頂く。境内では、地元の園児と老人クラブが合同で、お接待をしていた。お菓子の入った袋を、各々から頂いて、JR坂東駅へ。電車待ちの間、待合室で昼食のパンを食べる。これから、歩き始める方は、暑いだろうな。

1番・霊山寺に戻って来た JR坂東駅


 1番から、歩き始め、44日間で結願。2日間かけて、88番から1番に戻り、45泊46日のお遍路の旅が終わった。今回は、比較的、天気に恵まれ、体力的にも無理をしない行程で、無事に終了。因みに、杖は、約4mm短くなっただけ。体重は、4Kg減。

 3月に出発時、桜は、まだまだ。遍路旅の途中、高知の桜が開花のニュースを聞いた。大坂谷川の桜並木が丁度、満開時分かなと思っていたが、まだ先で、足摺岬から宇和島のあたりで、満開。愛媛を巡拝し、香川に入る頃は、葉桜となり、代わりにヒラドツツジや藤の花が目に入るようになった。季節の移ろいを、肌で感じながらの遍路旅になった。

 また、1ケ月半の通し打ちの為、自然と、行程が重なり、遍路道や宿で、同じ方と会う機会が増え、顔見知りとなった。お互い自己紹介や、名刺代わりの納札交換も10数人の方とした。お接待をしていただいた地元の方や、宿方など、皆、一期一会の出会いだったが、色々な方と話す機会があり、これも歩き遍路の値打ちの一つと感じた旅であった。

 <参 考>

経 費(3月12日〜4月26日)
交通費 ¥8870  自宅〜高速鳴門西、JR坂東駅〜自宅
納経料 ¥29100 97ケ寺
賽 銭 ¥4340  
宿泊費 ¥309490 45泊
飲み物 ¥4564 宿でのビール代
洗 濯 ¥3900  
コンビニ ¥27087  
その他店舗 ¥17370 納経帳¥3300含む
自販機 ¥15670  
合 計 ¥420391  


四国八十八か所霊場(地図は、四国八十八ケ所霊場会ホームページより)











掲載日:2019/12/5

MEMO
・掲載画像は佐々木氏が全て撮影したものです
・古希のお遍路日記 香川編
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