天空を駆ける”ミッピィ”

 息子から”ミッピィ”を預かった際に伝言があった。 

 ”ミッピィ”が、寝ているときに、突然、痙攣を起こしたような状態になるから、あまり心配しないようにと。当初は、何を言っているのか良くわからなかった。 生まれつき痙攣の発作の病気を持っているということで、むしろ、気の毒な猫と思っていた。

 預かって間もなく、その状態を目の当たりにした。それは、予期せずに、突然、やってきた。
 ソファの上で、陽にあたりながら、足をありったけ伸ばし、気持ち良くスヤスヤと寝ていた。それが、突然、少し足が動いたと思ったら、身体全体をブルブルと震わせ、爪を出し、四本の足を速い速度で動かし始めた。まさに、夢の中で、天空を駆けている感じであった。

 これからどうなるのかと思った瞬間、あっという間に、ソファからストンと転げ落ちてしまった。
ミッピィは、何事があったのかと、寝ぼけマナコで、キョロキョロとあたりを見廻していたが、やかて、ソファに這い上がり、何事もなかったかのように、スヤスヤと寝息をたてて寝てしまった。 


 その後、家内は、病院の先生に聞いたようだ。 ミッピィは、痙攣を起こす病気を持っているのではないかと・・・。
 先生は、発作は、長く続かないようだし、大丈夫だよ。という返事だったらしい。
 猫の癖を知らない家族の心配の一こまだった。