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私の大好物は、寿司、カレーライス、それに、ラーメンである。
何故、寿司が好きかというと、きちんとした理由がある。
私の親戚には、何代も続いた鮮魚店がいた。そこの魚は、新鮮そのもので美味しかった。母が、買い物をしてくるときもあれば、届けていただくこともあった。それが、残念かな、去年の秋に、後継者がいなく閉店してしまった。その間、時には、配達をお願いしていたこともあり、不便になったようだ。更には、今まで、贅沢すぎる程、新鮮な魚を食べていたこともあり、それが出来ないと嘆いていた。それだけ、実家にとっては、便利な鮮魚店であった。
親戚で扱っている魚の中で、私は、特に、マグロが大好きだった。かつおも大好きだった。身欠きにしんも美味しかった。昔を振り返ると、贅沢なご馳走を食べていたような気がする。それに、板状のとろろ昆布も良く食べていた。マツモも美味しかった。のりのように四角く乾燥したマツモを火であぶり、カラカラと手でつぶし、味噌で味をつけ、アツアツの炊き立てのご飯にかけて食べた。ふっと磯の香りがして、最高の味がした。今では、なかなか、マツモを食べることができない。昔懐かしい思い出の味である。
そういえば、先日、実家に帰ったとき、久しぶりに街中を歩いた。市内の空洞化で、昔の賑やかな街並みが失せていたが、ある乾物屋の前を通ったとき、「マツモあります。」と、手作りの掲示物が目に付いた。買っていこうかと迷ったが、そのまま通り過ぎた。その後、実家に帰って兄に聞いたところ、その乾物屋は、3代も続いている店で、お得意さんも沢山いるような話をしていた。段ボール箱を数個、店の前に並べ、裸電球の灯っている昔風の店であった。
魚を美味しく食べられた環境と言えば、社会人となり、最初に勤務した土地が、宮城県気仙沼市であった。気仙沼は、さんまの水揚げ日本一のところで、魚の美味しい街であった。
当時、下宿生活をしていたが、下宿先のおじさんは、遠洋漁業の機関士であった。一度、航海に出て行くと、何ヶ月も帰ってこなかった。帰って来たときは、必ずと言って良いくらい何種類もの美味しいマグロの刺身が皿一杯に出てきた。おじさんは、数年前に他界してしまった。あの当時のぴかぴかと黒光りのする真っ黒に日焼けした顔と、白い歯を見せて、いつも、大きな声で笑っていた顔が忘れられない。
つくづく、魚を美味しく食べられる環境にいた自分は幸せ者と思っている。
こんなことから、寿司も大好きな訳である。
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