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◆インターネットで旅館探し
7月のある日、蔵王温泉へ宿泊、山寺経由、銀山温泉と1泊2日約255kmの工程で旅をした。
温泉への宿泊というのは、せいぜいあるとすれば忘年会だけであり、今回は、予期しない計画だった。
東京で働いていた時の友人が、一足早く夏休休暇を取るというので、久々に再会をすることになった。もう、そんな時期かと思ったが、友人は、お盆は、お店のかきいれどきでもあり、この時期に交代で休暇を取るとのことであった。
東京出身の友人は、温泉に入り、さくらんぼ狩りもしたいということであったので、必然的に山形方面の計画を立てることになった。
そこで、やはり、インターネットで温泉の検索が一番と思い、早速、調べることにした。インターネットの良さがここにあり、料金や料理、宿泊の空き状況など旅館の概要はもちろんのこと、周辺の観光、イベント状況なども瞬時に調べることができた。勿論、特典つきのインターネットでの申し込みであった。
久々に旅館に泊まるということで、山形ならではの料理を食べさせてくれるところを探すことにした。友人は、山菜料理よりも肉料理が良いとのことであったので、肉料理の美味しいところを中心に探すことにした。内心、山形は、山菜の宝庫でもあるので、この時期、山菜料理も美味しいのにと思った。
山形は、言わずも知れた米沢牛で有名なところであることから、米沢牛のコースがある某旅館に決定した。米沢牛のしゃぶしゃぶとステーキのコース、そして、米沢牛のお寿司を特注した。
◆蔵王温泉の大露天風呂
いよいよ当日、仙台経由で蔵王温泉へと車を走らせた。
お天気は、曇り空でまあまあの気象であったが、蔵王温泉に行くに従って、山沿いは、雲行きが怪しくなり、蔵王温泉付近は、靄に包まれていた。旅館に落ち着くのには少し早い時間帯であったので、蔵王温泉にある大露天風呂に入ることにした。過去に大露天風呂に入る機会があったが、今回は、前回と違い、周りが靄に包まれた大自然の中で、温泉気分も最高潮に達し、めったに味わえない雰囲気の中の露天風呂だった。
渓谷の中の露天風呂は、男湯を通りながら受付フロントに行くような作りになっていて、男湯の脇には葦の目隠しがあった。ところが、結構、その葦の目が粗く、男湯が垣間見えるような状態であった。
言わずもがな、女湯は、男湯の先にあり、渓谷の上にあったので、きちんとしたセキュリティ(?)の行き届いている作りであった。この大露天風呂は、お風呂に入ろうが入るまいが、男性が入っている様子が見えることから、入り口前には、きちんと「撮影禁止」という張り紙がしてあった。
話に聞くと、大分前は、目隠しが一切無く、入浴時間も自由であったそうである。
やっぱり隠すものは、きちんと隠さないと世の中から受け入れられないご時世なのかと深く感心をした。
友人は、初めての経験でもあり、騒々しい都会生活から解き放たれ、暫し、仕事を忘れてのリフレッシュディになったようだった。
旅館に着くと、早速、女将さんとご主人、従業員が、丁寧に迎えてくれた。お客様の接待が仕事である旅館にとっては、心配りが行き届いて気持ちの良いサービスをしてくれていた。
◆豪華な米沢牛の夕飯
夕飯は、家で食べる時間よりも2時間位も早く、時間をかけてゆっくり食べることとし、午後6時30分頃には食べ始めた。
メニューは、米沢牛のしゃぶしゃぶとステーキ、そして、お寿司の特注であり、豪華な食事であった。食べた感想は、簡単に文章に表現できないので、省略することにする。美味しかったことは、言うまでも無い。
余りにも美味しく栄養をつけ過ぎ、お腹には刺激的過ぎるのではないかと思った。案の定、夜は、何回かトイレに走った。普段、固めの安い牛肉しか食べていない私にとって、脂の滴る霜降りの米沢牛は、贅沢過ぎたのかもしれないと思った。
◆山寺「閑かさや…」どころではなかった…
次の日は、山寺経由、さくらんぼ狩り、銀山温泉と車を走らせた。
山寺は、お年寄りの観光客が多く、静かな山は、大いに賑わいを見せていた。
山寺の大仏殿奥の院までは、千百余段の階段を登らなければならず、普段、運動をしていない私にとっては、過酷な山登りであった。杖をつき、手すりにすがり、途中、汗を拭きながら何回も休憩して登るさまは、余り良い姿でなかったかもしれないと思った。お年寄りは、元気そのもので、よくぞへばりもせずに登って行くのかと感心をした。
「閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声」
これは、かの有名な松尾芭蕉が、山寺を訪れ詠んだ句である。
静寂な時を感じながら蝉時雨の石段を登り、山寺の自然を満喫する風情である。
ところが、今、山寺では、一部、道路の補修工事をしていて、重い石を運ぶケーブルが張られ、騒々しい工事の音で蝉の声も聞こえず、全く風情のかけらさえなかった。
勿論、インターネットでは、そんな案内をしているはずも無く、タイミングを失したと嘆き悲しんだところであった。
◆さくらんぼ狩り
さくらんぼ狩りは、山寺に程近いところの果樹園でした。食べ放題であったが、そんなに食べられるわけでもなかったが、入場料は、初めての体験料と納得した。さくらんぼの中で一番美味しいと言われている佐藤錦は、そろそろ終わりなのか、秀峰というブドウのような名前のさくらんぼもあって、入場料の元を取るべく、卑しくも一杯腹ごしらえをした。果樹園の人は、脚立を使って高い所の赤い大きい粒を選んで食べるようにとしきりにアドバイスをしてくれた。
折角、山形まで来たので、義理の姉と子供達に旬のさくらんぼを宅急便で送った。子供達は、普段、買ってまでさくらんぼを食べていないのではないかと思い親心を発揮し、喜んでお礼の電話をかけてくる子供たちを想像しながら送った。
◆銀山温泉と公衆浴場
その後、友人は、銀山温泉に行ってみたいということであったので、国道13号線を北上した。
私は、銀山温泉に行くのは、これで2回目であることから、あまり気を張るようなこともなかったが、初めて銀山温泉を訪ねた友人は、温泉の中央に流れる川を挟んで建っている3階建ての年月の経った木造建築の旅館を見て感激していた。車の入れない、旅館の数も少ない一角の温泉街の風情は、昔を偲ばせる銀山の羽振りのいい遊郭のたたずまいを彷彿させる一種独特の雰囲気があった。日本の伝統的な景観のたたずまいにも指定されて、その補修工事も勢力的に行っていた。
友人が、銀山温泉にある「公衆浴場」という看板を見つけた。
折角、銀山温泉まで来たので、お風呂にでも入っていこうと思っていたことから、早速、覗いて見た。温泉は、家庭の風呂の2倍くらいの大きさであり、既に、親子連れらしい二人が入っていた。入り口には、簡易に作られた料金箱があり、その上には、入浴料100円と記されていた。早速、料金を払って入ったが、温泉の温度が高く、直ぐには浸かることができなかった。余り入る人もいないことから温度の調整もできないのかと、ありったけの水を入れ込み、程よいお湯加減にして、ゆったりした気分で温泉に入った。蔵王温泉での朝風呂と銀山温泉での再度の温泉と、温泉尽くめの旅を一日楽しんだ。
どこからか、カジカの鳴く声が聞こえ、静かな山間の銀山温泉は、時間の過ぎるのを忘れさせてくれるようだった。
◆2日間の旅の終わり
2日間の旅の終わりが近づくと、再び、仕事という現実に戻されることを実感しながらも、明日への英気を養うことのできた喜びを噛みしめた友人との旅だった。
友人は、2日間の旅を満足してくれた。再会は、何時になるかわからないが、今度会う時は、陸中海岸を中心に豊富な魚介類の食べ歩きをしようと誓った。
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