2000年度版のISOを誤解していませんか
少し前のTVコマーシャルにこんなコマーシャルがあった。
子供が出てきて「何で勉強をしなくてはいけないのですか?」と大人に問いかけていた。
その問いかけに、なんと答えたら良いのだろうか。
いい加減な答えであれば、子供は納得しないだろう。
納得をさせるための答えは、子供の数だけあるのかもしれない。
先日、ある社員に聞かれた。
「ISOを導入してどんなメリットがあるのか?」と。
何をいまさら、そんなこともわからないの。と思ったが、ISO事務局としては、どんなメリットがあるのかもう一度真剣に考えて、整理をしておく必要を感じた。
ISOを導入するとどんなメリットが生まれるのだろうか。
ISOのロゴマークを名刺に刷り込むことができる。
そのことで、営業マンがお客様を訪問したとき品質管理が行われている企業ということで、注文が増えるのであれば立派なメリットだろう。
建設業の経営審査で得点が加点され、入札において有利になる。
品質保証を実現するために、仕事の手順を文書化して実行することで、業務の統一が図れる。
仕事の結果を書類に残しているので、必要に応じて後から検索することができる。
お客様との打ち合わせ事項が議事録になっているので、言った言わないのトラブルが少なくなる。
といったところだろうか。
しかし、デメリットもある。
その最たるものが、作業手順書を作成し更新する手間と記録を作成し管理する手間だろう。
作業手順書は、あまり細かく規定しないほうがよい。
記録についてもそうだ。
文書で全てを規定したり、仕組みを重たくすると、融通が利かなくなるし、無駄もふえる。
先ずは組織にあった文書体系と仕組みを必要最小限度に作ることだろう。
以上が、ISOのメリットとデメリットである。
しかし、これは1994年版の主なメリット、デメリットである。
2000年版には以下のメリットが加わる。
顧客重視や顧客満足状態への関心が高まる。
目標管理が徹底されて、進捗管理はもちろん未達成についての原因追及が行われる。
一律に行っていた教育や訓練が、社員の力量に応じて行われるようになる。
社内のコミュニケーションが活性化される。
問題が発生した場合、原因追求が行われ再発防止が図られるようになる。
他社の問題や他部門の不適合に敏感になり、速やかに予防対策がとられるようになる。
改善活動が盛んになる。
物事を推測によって判断するのではなく、データを収集・分析し、事実に基づき判断するようになる。
社員のマネジメント能力が向上する。
重要なプロセス(業務)の有効性の判断基準が明確になる。
ISOが2000年版に改訂され、従来の「品質保証」に加えてこんなにもメリットが増えた。
こうなると、これまでの「品質保証」という概念を捨てて、「国際的なマネジメントの仕組み」と捉える方がISOの本質をつかんでいる。
昨年の12月で全ての企業が2000年版への移行を行ったはずである。
94年版でISOをスタートした企業では、こんなにメリットが増えたことを理解すべきであろう。
ところが、従来どおりで新しい規格のメリットを享受できていない組織が多いようである。
品質保証のために決められたことを決められた通りに実行する。
早くこの94年版の考えを改め、お客様のニーズやウォンツを収集・分析し、どのようなことがお客様にとってプラスになるのかを考えて行動する。
そして、組織のシステムを継続的に見直しを行い、業績をスパイラルアップさせる。
これが2000年版のISOだと気づくことである。
ISO9001の規格は1987年に発行された。
ISOの規格は5年毎に見直すことになっている。
1994年に改訂が行われたがこれは非常に小規模なものだった。
2000年版では、94年版の反省を元に大改訂が行われた。
大改訂によって、ISO9001は生まれ変わった。
運用する組織もそのことを理解しうまく活用すべきだろう。
ロゴマークさえ取れば全てがうまくいくと考えている組織はもはやないと思うが、もし、そう考えている組織があるなら、今からでも決して遅くはない、規格同様に、生まれ変わってほしいものだ。
(2004.01.31 boar)
