プロセスアプローチについて考える!!
ISO9001の規格要求事項の“序文02”に、次のことが書かれている。
「この規格は、顧客要求事項を満たすことによって顧客満足を向上させるために、品質マネジメントシステムを構築し、実施し、その品質マネジメントシステムの有効性を改善する際にプロセスアプローチを採用することを奨励している。」
プロセスについては、次のように説明している。
「組織が効果的に機能するためには、数多くの関連し合う活動を明確にし、運営管理する必要がある。インプットをアウトプットに変換することを可能にするために資源を使って運営管理される活動は、プロセスとみなすことができる。一つのプロセスのアウトプットは、多くの場合、次のプロセスへの直接のアウトプットとなる」
そして、プロセスアプローチについては次のように説明している。
「組織内において、プロセスを明確にし、その相互関係を把握し、運営管理することとあわせて、一連のプロセスをシステムとして適用することを、“プロセスアプローチ”と呼ぶ。
最後にプロセスアプローチの利点と使用上の注意が記されている。
「プロセスアプローチの利点の一つは、プロセスの組合せ及びそれらの相互関係とともに、システムにおける個別のプロセス間のつながりについても、システムとして運用している間に管理できることである。」
「品質マネジメントシステムで、このアプローチを使用するときには、次の事項の重要性が強調される」
a)要求事項を理解し、満足させる
b)付加価値の点でプロセスを考慮する必要性
c)プロセスの実施状況及び有効性の成果を得る
d)客観的な測定結果に基づくプロセスの継続的改善
プロセスアプローチは、「品質マネジメントの8原則」の一つでもある。
ISO9000またはISO9004では、次のように説明されている。
「活動及び関連する資源が一つのプロセスとして運営管理されるとき、望まれる結果がより効率よく達成される」
以上が「プロセスアプローチ」に関する規格書上の説明である。
「なるほど、なんと効果的な考え方だ!」と納得された方は、かなり文書の読解力、理解力の高い方だ。
私は、何を言っているのか一読しただけでは、その要旨すらわからなかった。
これは、ISOの規格項目全般にいえることで、ISOコンサルタントの宇野通(うの・とおる)氏はISO9001の口語訳を作られている。
学生時代、民法や刑法の口語訳を買って読んだ記憶がある。
このことからもISOが日本語としても理解し難く、取っ付き難い規格であることがおわかりいただけると思う。
ということで、口語訳風?に「プロセスアプローチ」について考えてみた。
先ず、プロセスについてであるが、規格では「インプットをアウトプットに変換することを可能にするために資源を使って運営管理される活動で、一つのプロセスのアウトプットは多くの場合、次のプロセスの直接のアウトプットになる」と言っている。
「????」であろう。
プロセスを会社の仕事に当てはめて考えてみるとわかりやすくなる。
例えば、人事部には「求人採用」とか「教育訓練」、「人事評価」といった仕事があり、営業部には「マーケティング」や「提案活動」、「営業活動」といった仕事がある。
この大きな括り(業務)について、運営管理することが有効な単位まで細分化したものを“プロセス”と捉えるのである。
ある主任審査員がいった言葉だが、「プロセスを考えるとき、プロセスチーズを思い浮かべるとわかりやすい」といっていた。
プロセスチーズとは、ひとつひとつ食べやすく分けてある扇形で銀紙に包んである、あのチーズのことである。
チーズの詰まった円形の箱全体が大きな括り(業務)。
つまり、「求人採用」といったもの。
そして、チーズひとつひとつがプロセス。
こう考えるのである。
チーズは食べやすい大きさがベストであろう。
プロセスも同じである。
プロセスは、あまり大きすぎると管理が雑になり担当者に任せっぱなしになるであろうし、細かすぎると管理過剰、つまり担当者の裁量が少なくなる。
いずれでも運営管理することが有効な単位とは成りえないだろう。
求人採用という業務を例に考えてみよう。
求人採用には、「次年度の計画立案」⇒「求人媒体業者の選定」⇒「会社セミナーの企画」⇒「採用面接の実施」⇒「内定者フォロー」などがある。
このひとつひとつをプロセスと考えるのである。
そして、「次年度の計画立案」へのインプット情報には、「採用環境情報」、「前年度の実績」、「採用予定人数」、「現場の新入社員に対するニーズ」など等があり、アウトプットは「採用計画書」であろう。
そして、アウトプットである「採用計画書」は、次のプロセスである「求人媒体業者の選定」のインプット情報のひとつとして、次のプロセスへつながっていくのである。
ひとつひとつのプロセスについては、そのプロセスに求められているルールや約束事が理解され、守られているかということや、その仕事を行うことでどのような付加価値が生まれるのかということを考慮し、仕事の実施状況や出来栄えを捉える。
そして、出来栄えは自分だけで評価するのではなく、関係者を含めて評価を行い、仕事のやり方を改善していくことが重要だといっている。
そうすれば、仕事は自然と効率よく行われるようになり、行き当たりばったりで仕事が行われることがなくなり、仕事の成果は自然についてくるのである。
そして、ひとつひとつのプロセスのつながりから大きな括りの仕事(業務)をシステムとして捉えていくことを、「プロセスアプローチ」と言うわけである。
この「プロセスアプローチ」を採り入れてマネジメントを行うと、組織が求めるゴールが明確になるのと同時にゴールへの道筋が明らかになり、確実にゴールに向かって進むことができるのである。
これまでの慣習にこだわって、毎年同じ仕事を繰り返すのではなく、仕事の目的を明確にし、効果的な仕事の方法を検討し、確実に成果を出すための考え方。
それがプロセスアプローチなのである。
(2004.02.08 boar)