ISOの審査制度(あるべき論)を考える



今週、ISO9001の定期審査があった。
次回、半年後の審査が更新審査なので、ISOを導入して既に2年半が経過したことになる。
わが社においては、決して品質マネジメントシステム(QMS)が定着したとはいえない。
しかし、審査機関からの指摘は随分少なくなってきた。

ここにISO審査の問題点があるように思える。
そもそも、ISO9001の審査の目的は何なのだろうか?
そして、審査機関の役割は何なのだろうか?

思うに、審査機関は、審査を受ける会社について、審査を受ける会社の顧客に代わって次のことを確認(審査)することが役割だろう。
その会社のQMSがISO9001という国際規格に基づいて実施されているのか。
その会社の製品やサービスの質は顧客が安心して購入したり、提供を受けて問題のないレベルにあるのか。
万が一問題が発生した場合でも、速やかに改善を行い、再発が起こらない仕組みを持っているのか。
顧客重視の思想のもと、常に顧客の立場に立ち、顧客の要求事項に関心をもち、その要求事項を実現できる仕組みはあり、社員に徹底されているのか。

しかし、審査機関は審査を受ける会社の顧客から審査料金をもらっているわけではない。
そのことで、審査制度の目的が揺らいでしまっているように思われる。

審査機関は、審査を受ける会社に気を使いすぎてはいないだろうか?
QMSの構築状況や実施状況、そして、その有効性のみを見て審査の結論を出すべきであろう。
仕組みの不備については、客観的に(受審会社の意向など気にせず、冷静に)「不適合」の判断を下すべきである。
現在のQMSでは、顧客が安心して製品を購入したり、サービスの提供を受けることができないというのであれば、認証は保留すべきである。
不足している部分(不適合部分)は、事実に基づき指摘し、改善を求めるべきであろう。

そういう運用であれば、顧客は、ISOの認証マークをもった企業と優先的に取引をする意味(又はメリット)が生じ、製品やサービスを安心して購入することができるはずである。
受審企業にとっては、経営や製品、サービスの質の向上に、多大な時間と費用をかけるわけであるが、そのことのメリットを享受でき、ISOを取得していない会社との本当の差別化を図れるのである。

それでは、ISOの事務局はどんなスタンスで審査に望めばいいのだろうか?
なるべく不適合はもらいたくはないし、前回の不適合の指摘はクローズさせたい。
不適合があればすぐに直すので、できれば指摘はしないでほしい。
そう考えるのはよく理解できる。
まるで受験生をもつ過保護な母親の気分である。

しかし、審査を受ける目的を思い出してほしい。
わが社なりのQMSを定着させることが目的ではないはずである
お客様が安心してわが社から、製品やサービスを購入したいと思ってもらえるような質の高いQMSを構築することが目的であろう。
そう考えると、不適合は避ける(又は忌み嫌う)だけのものではないはずである。
時には、ありがたいと謙虚に受け入れることも必要だろう。
わが社だけでは、気がつかないシステムの問題点や改善点、これを審査員に指摘してもらうチャンスである。
指摘事項は、改善のための芽と捉えるべきであろう。
そのためにも、審査員とはコミュニケートすべきである。
「聴かれたことにのみ答えればいい」とか「あまり余計なことを話してボロを出すな」などはもってのほかである。

審査機関は、心得るべきである。
決して上辺の審査や受審会社を気にした審査ではそのようなことを指摘できないことを。
審査の目的は何なのか。
審査機関が気にすべき対象は何なのか。

以上のことを、ISO認証制度の本来の目的に戻って考えるべきであろう。
そうでないと、ISOの健全な発展は期待できないものとなるであろう。


(2004.02.14 boar)