過ちを繰り返す危険な組織について
「これじゃ、ぜんぜんダメ。やり直し」
「何回言えばわかるんだ。この前、これじゃ困ると言っておいたろ」
「君は、わかりました。次回からは気をつけますって言ったろうが」
このような上司と部下のやり取りは、そばで聞いている方がいやになる。
何でこんな同じやり取りを繰り返すのか?
人間だからうっかり忘れることもあるだろう。
忙しさで後回しにしていて、やろうと思ったところで時間切れ、上司から催促を受け、お説教を食らうということは私自身にも経験があるからよくわかる。
しかし、同じ過ちを繰り返し起こしている組織のマネジメントにはどこかに重大な欠陥があると考えるべきであろう。
そのような組織には、「再発防止策」を考えて実施する習慣がないことが推測できる。
ハインリッヒの法則を知っているだろうか。
この法則は、1件の重大事故の裏には29件のかすり傷程度の軽災害があり、
さらにその裏にはケガまでは行かないものの300程度のヒヤリとした体験が存在していると言っている。
このことを考えると、「再発防止策」を軽視する組織には、重大事故の芽がたくさんあると言っても過言ではない。
上記のような、些細な上司と部下とのやり取りで済んでる内に、重大事故の芽を摘み取ることが大切なのである。
ISOの仕組みを導入している組織では、「是正処置報告書」などを書かせ再発防止を行っているのではないだろうか。
そして、その「是正処置報告書」を他部署に配布し、同様の不適合が発生しないように水平展開していることと思う。
ところで、再発の防止は本当に図れていますか?
審査員から形ばかりの是正処置との指摘を受けたことはありませんか。
わが社は、昨年の定期審査において形ばかりの是正処置について指摘を受けた。
今になってわかることだが、組織が再発防止に本気で取り組んでいるかどうかは、是正処置報告書を見れば一目でわかる。
不適合報告書には、少なくとも次の事項を書き込む欄があるはずである。
1.不適合の内容
2.不適合の原因
3.再発防止のための処置
4.とった処置のレビューと結果
なぜなら、これらは規格が要求している事柄だからである。
もし、「是正処置報告書」があれば、どういう原因が記されているか不適合の原因記入欄を見てほしい。
「・・・・のため忘れてしまった」、「・・・・であることを知らなかった」、「私の監督不行き届きだった」などと、原因がほんの数行で書かれているのではないだろうか。
再発防止のための処置記入欄はいかがだろうか。
これまた、「・・・・を忘れないようにする」、「会議において周知徹底を図る」、「二度と同じ過ちを繰り返さないように厳重に注意した」などと書かれてはいないだそうか。
そして、上長、部長、役員の承認印がしっかり押印されていたりする。
上記のような是正策で再発防止が図れないことは記入した本人がよくわかっているはずである。
会議の場で注意をしたり、話をしてもその効果が維持するのはよくて2、3日であろう。
そして、また同じような不適合を繰り返し、課長や部長が怒鳴る。
是正処置をとっているんでしょう。
課長、部長はそれを承認したんでしょう。
これだから、審査員に形だけの是正処置と笑われるのである。
よく見ていただきたい。
是正処置の原因欄に書かれている原因を。
本当に忘れたり、知らなかったのが不適合の原因ですか。
あなたの組織には、そんなにたくさんのアルツハイマー症状をもつ社員がいるのですか。
おそらく、原因追求が不十分だったということに気付かれただろう。
間違った原因に再発防止策を施しても効果が出るはずがない。
「忙しくて、考えている暇がない」、「ISOに時間が取れない」
こんな言い訳と同時に、仕方がないと同意している課長や部長の姿が目に浮かんでくる。
なぜ大事なことを忘れるのか。
なぜ大事なことを知らないのか。
なぜそのことを問題にしないのか。
なぜもっと真剣に考えないのか。
今後、再発防止を重要だと捉えていない組織は確実に衰退していくだろう。
「忘れた」とか「知らなかった」という事象の裏側にある無関心や無責任をもっと追求すべきである。
人間だから、本当に忘れることもある。
このような場合は人的なミスとして処置せずに、忘れないような、または、忘れても問題が生じないような仕組みを検討すべきであろう。
メモをとる。張り紙をする。朝礼で繰り返し伝える。など
仕組みはいくらでも考えられのだから。
(2004.01.24 boar)
