品質マネジメントの8原則
ISO9001の規格要求事項は、「品質マネジメントの8原則」をベースに出来上がっている。
その8原則とは、
「顧客重視」
「リーダーシップ」
「人々の参画」
「プロセスアプローチ」
「マネジメントへのシステムアプローチ」
「継続的改善」
「意思決定への事実に基づくアプローチ」
「供給者との互恵関係」
以上の八つをいう。
ISOの規格要求事項の序文には、「この規格は、品質マネジメントの原則を考慮に入れて作成した」と記されている。
ISOを運用するときも、この8原則を考慮に入れて運用すると、組織の品質マネジメントシステム(QMS)が生き生きとしてくるはずである。
ここでは8原則について、ひとつひとつ見ていくことはしない。
8原則を考慮すると、なぜQMSが生き生きしてくるのかについてお話したい。
次のような組織はないだろうか。
「今年中にISOを取得して欲しい。そうでないと継続して取引ができなくなる」といった取引先の強い要請によってISOに挑戦した。
取得に当たっては、コンサルタントに頼りっぱなしだった。
コンサルタントは、研修会でISOの規格要求事項について難しい言葉で説明していたが理解できなかった。
その後、そのとき渡された規格書を読んでみたが、何をしていいのか見当もつかなかった。
社内にISOの事務局ができて、打合せの予定が毎週入るようになった。
事務局から、現在の仕事を分析してフロー図を作るようにいわれた。
「品質文書綴」と書かれたファイルが届いた。
ファイルには、品質マニュアルや○○規定、○○基準と書いてある文書が綴ってあった。
事務局から、このファイルに綴られている文書通りに仕事をするよういわれたが書棚に置きっぱなしにした。
しばらくして内部監査が実施された。
文書どおりに仕事が行われていない、と「是正要求書」を3枚受け取った。
「是正報告書」を作成して提出したが、書かれていることは是正処置ではないと戻された。
事務局がきて是正処置についての説明をしながら、「是正報告書」を作った。
「とりあえずこれでいいでしょう」と言って事務局は報告書をもっていった。
部下からは、「書類が多くてたまらない」と苦情を言われた。
上司からは、「決まったことだ。しっかりやれ」と叱られた。
そして、・・・・ISOがどうにか認証されたと聞いた。
これは、「品質マネジメントの8原則」が考慮されていない組織の話だ。
ISOを取得するときは、なぜ取得するのか。そして、ISOを取得することで組織をどのように変えていくのかといった、トップの「リーダーシップ」が必要である。
取得後、QMSを維持し改善を図るには、それぞれの部門長の「リーダーシップ」が不可欠だ。
仕組を作り上げるときに重要なことは、コンサルタントや事務局に任せっきりにしないことだ。
自分の組織にあった仕組をつくらなければ、スムーズに運用できるはずがない。
このとき「人々の参画」が重要になる。
高い理想をもって仕組を作ることは大切であろう。
しかし、身の丈に合ってないと不満が出たり、無理が出る。
取得後、QMSを維持し改善を図るには、「人々の参画」が不可欠だ。
管理職者任せ、担当者任せでは維持も改善も図れない。
現状を分析して、組織のありのままの姿を理解することが大切である。
そのためのデータはなるべく多い方がよい。
そして、それらのデータを分析し仕組を作り上げるとよい。
これが、「意思決定への事実に基づくアプローチ」である。
取得後、QMSを維持し改善を図るには、「意思決定への事実に基づくアプローチ」が不可欠だ。
目標や教育計画を策定する場合、市場環境や経済情況、同業他社動向など必要なデータは山ほどある。
教育を行うにしても部下の正確な力量を把握する必要がある。
もちろんデータは事実に基づいていなければ意味がない。
できあがった仕組については、いろいろな機会を利用し改善をすることで組織をスパイラルアップさせることができる。
これが「継続的改善」である。
組織は、“ゴーイング・コンサーン”である。
そのためには利益を上げていかなければならない。
そのためには売上も必要である。
この“利益”や“売上”のベースになるが、お客様や供給者のみなさんである。
言うまでもなく「顧客重視」や「供給者との互恵関係」が“ゴーイング・コンサーン”を実現するのである。
このように、ISOの仕組を作り上げるときはもちろん、運用していく段階でも「品質マネジメントの8原則」を考慮することがいかに重要であることかおわかりいただけるであろう。
「原則」とは、「おおもとの決まりである」と辞書にある。
おおもとの決まりを無視して作っても仕組が上手く機能するはずがない。
(2004.01.29 boar)
