エンドロールの一番最後に出てくる上記のようなマークの意味をご存知だろうか?実はこれ、アメリカ映画協会(Motion Picture Association of America ; MPAA)のロゴマークである。日本で言えば映倫と同じ機関だ。アメリカで上映される全ての映画をMPAAが審査し、言葉や映像の内容に応じて5区分のレイティング(年齢制限)を行っている。以下はその5区である

  ・G (General Audience/All ages admitted) : 一般・年齢制限なし
  ・PG (Parental Guidance Suggested) : 児童は保護者の判断が必要
  ・PG-13 (Parental Strongly Cautioned) : 13歳以下には保護者の判断が必要
  ・R (Restricted) : 17歳以下は成人の保護者の同伴が必要
  ・NC-17 (No one 17 and under admitted) : 17歳以下は鑑賞禁止

 この規制は飽くまでも自主規制ではあるが、G以外はポスターや予告編にその旨を明記する必要がある。アメリカではレイティングの基準は暴力シーンや言語表現に非常にシビアであり、例えば「スターウォーズ」シリーズはPG区分、「マトリックス」はR指定である。つまり「マトリックス」の鑑賞については17歳以下の場合、成人保護者の同伴が必要となる。実際にところアメリカで「G」(年齢制限なし)指定の作品は子供向け映画のみというのが実情だ。

 それでは日本の場合はどうだろう?ご存知の通り日本では映画倫理審査会(映倫)がレイティングを行っている。日本とアメリカのレイティング基準の大きな相違は、日本では性的描写に重点を置いてる点である。元々、映倫の基準は「一般向け」「R指定」「成人指定」の3つであったが、1998年に改正され、「一般」「PG-12」「R-15」「R-18」の4区分に分類された。その背景には青少年の暴力事件や幼児誘拐事件などが頻発した事があると思われるが、それでも暴力シーンや言語表現に関してはアメリカに比べてかなり緩い。レイティングと言えば最近話題になったのが深作欣二監督の「バトルロワイヤル」だ。中学生が離島で殺人ゲームをするという内容に日本公開時は「R-15」であったが、この作品は当初はR-18、つまり成人指定されたのだ。いくつかのシーンをカット、修正する事でR-15になったが、後に出た海外公開版は無修正の為R-18となった。実際、日本の場合、アメリカと違いほとんどの作品が「一般」に区分される。これは製作者サイド、興行側、映倫の3者の微妙な立場を現しておりそう簡単には規制できないのが日本国内の現状である。ちなみに少ない例ではあるが、キューブリック監督の遺作「アイズ・ワイド・シャット」のようにレイティングを逆手にとって宣伝文句として利用するパターンもある。この作品はハリウッド・メジャーで初めて日本で成人指定を受けた映画である。しかし、この事が観客動員に少なからずも寄与した事は周知の事実である。