監督/ダニー・ボイル
脚本/ジョン・ホッジ
撮影/ブライアン・トゥファノ
製作/アンドリュー・マクドナルド
出演/ユアン・マクレガー
    ユエン・ブレンナー
    ジョニー・ミー・ミラー
    ケヴィン・マクキッド
1996年 イギリス映画 上映時間 : 1時間33分
ダニー・ボイルのリアリズム炸裂!
映画におけるリアリティに関しては、それを観ている者をいかにその気にさせるかがその点において「トレインスポッティング」は成功している。冒頭からターボエンジン全開ではじまる本作は1996年にダニー・ボイルによって撮られた作品だ。90年代のユース・カルチャーを背景にスコットランドに住む無計画な若者達を中心に物語は進んでゆく。ユアン・マクレガー演じるレントンは、ドラッグを絶とうと自らリハビリを始める。ドラッグを止めセックスに快楽を求めようとするが、それも上手くいかない。そんな時に仲間のダイアンの赤ん坊が餓死するという忌まわしい事件が起こってしまう。それをきっかけにレントンは再びドラッグに頼る日々を送る事になる・・・。
90年代イギリス映画最大の衝撃
「トレインスポッティング」が日本で公開された際、当時の映画ファンに与えた衝撃は並ではなかった。その証拠に都市部のミニシアターでは超ロングラン上映がおこなわれ、渋谷シネマライズというミニシアターでは実に15万人近くの観客動員数を記録している。単館系では「ニューシネマ・パラダイス」についで歴代2位の興行収益をあげている事からも、この映画が公開当時いかに話題になっていたかがうかがえる。本作のなかで描かれる若者像とはカタルシスの欠如したその日暮しの若者だ。もっとも、主人公のレントンはロンドンに出てまっとうな仕事に就く事によって「大人」の充実感を得るが、それも結局は一時的にすぎなかった。「今現在が楽しければそれで良い」という考え方の究極のスタイルが、ドラッグによって自らを解放することなのだ。つまりドラッグは孤独な人間の逃げ道なのである。この映画の登場人物たちも、同じイギリス映画の「フルモンティ」や「ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」に登場する人物と同じく、何をやってもイマイチうまく行かない連中だ。こういったキャラクターは90年代のイギリス映画の代表的なものだ。本作もかなり間抜けで笑えるのだ。
鑑賞のポイント
まずは、主役を演じるユアン・マクレガーに注目。ドラッグ中毒という困難な役を見事に演じ切っている。今では、スターウォーズのオビ・ワン役としての方が有名であるが、衝撃度という点では本作のユアンの方がはるかに上だ。また、この映画の中ではドラッグが実にリアルに描かれている。とくに禁断症状のシーンは気味悪すぎだ!タイトルの「Trainspotting」とはどうゆう意味なのであろうか・・・・・?この単語を知っている人はなかなかいないのではないか?本来の意味は「鉄道マニア」である。しかし、そこから派生して「溜まり場などにフラフラと集まる」という意味がある。恐らく本作のタイトルはそれに近いと思われるが、主人公の自宅の部屋の壁紙が一面、電車の絵であることから、もしかしたら主人公は幼い頃に電車好きの少年であり、その既成事実と掛けたタイトルなのかも知れない・・・・。この映画にはクラブのシーンが何度か出てくるが、ちなみに本作がイギリスで大ヒットしてからクラブに通う人を「トレインスポッター」と呼ぶようになったそうだ。日本では「クラバー」というとってもダサい言い方をするそうだ、trainspotter とは大違いである。
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