平成13年(2001年)4月2日
はじめに
JR東日本の企画切符に「ゴーゴー3DAYSきっぷ」というものがある。期間限定だが、JR東日本全線の(新幹線を含む)特急から普通列車まで、普通車指定席が連続する3日間(金・土・日または土・日・月)乗り降り自由、というもの。これで大人24000円なのだから、かなりのお値打ち。31日から使い始めたのだが、1日分余ってしまった。群馬や東京を往復してきたので充分に元は取ったが、1日余るのはもったいない。そこで1日分を自分なりの旅にあててみようと思ったのである。
最近は車で出掛けることが多くなってしまい、列車に乗るのは仕事でのみ。列車の「旅」なんて何年ぶりであろうか。もっとも日帰りなので「旅」とは言えないかもしれない。「日帰り旅行」とは言っても「日帰り旅」などという言葉は聞いたことが無いからだ。しかし「一人旅」という言葉はあるので、「旅」は「旅」でよいだろう。
自分は北指向なので、目指すは五能線。いそいそと時刻表を買ってきて、さてとページをめくる。一番早くに新潟を出て羽越本線を北上する特急をさがすと9時02分の「いなほ1号」。これが終点の秋田に着くのが12時38分。逆に新潟に一番遅く到着する特急は秋田16時27分の「いなほ16号」。12時38分から16時27分の間に五能線をまわってこられるか。
「いなほ1号」に接続する特急は12時48分発の「かもしか3号」で東能代13時33分着。これに接続する五能線は13時42分発の321D。深浦に15時46分に着いて・・・。とっても日帰りできる圏内ではない。でも・・・。
と、いろいろと考えた末にたどり着いたのが、まだ乗ったことの無い「長野新幹線」「山形新幹線」「秋田新幹線」の乗りくらべである。山形新幹線は見たことがあるが乗ったことはなし。秋田新幹線は「電車でGO2」でしか知らない。こんな豪華な旅なんて、2度とできないかも知れないぞと1人満足してプランは完成したのだった。新幹線には旅情はないとか、あるとか、それぞれに考え方の違いはあるであろうが、ミニ新幹線の乗りくらべはどうなんであろうか。もちろん今までの私だったら、新幹線には旅情を感じない一人だったのであるが、これだけ鉄道から遠ざかっている現状としては・・・。
新潟 6時02分発
目がさめると5時であった。歩いて新潟駅まで行けばちょうどいい時間だなと思っていたら、いつのまにか5時半近くになっていた。ふっと寝てしまっていたらしい。あわてて起床。
寝ぼけている妻も起きだし「駅まで車で送る」と言ってくれたが、去年の9月にワンボックスカーに買い換えてから怖くて運転できなくなったと日頃ぼやいているのを知っているので遠慮する。「タクシーで行くから」と言うと、「こんな時間じゃ空車もなかなか通らない」と言われてしまい、結局駅まで送ってもらうことにした。車に乗れば駅まで5分ほど。5時45分には新潟駅着。
新幹線ホームに上がると、乗る予定のMAXあさひ300号が入線するところであった。それにしても、こんな早朝なのにホームにはかなりの乗客がいる。それでも2階建て新幹線なので車内はさらりと埋まる程度。4号車の2階左手の窓側に席を確保。
定刻に新潟駅を離れたとたん、携帯電話が鳴る。あわてて出てみると自宅から。妻の慌てた声で「車をぶつけた!」。しょっぱなから出足をくじかれた気分で引き返そうと思ったが、さいわい人身事故ではないようだし、ぶつかったキズは仕方がないので、このまま予定通り「旅」を続けることにした。
このMAXあさひは燕三条、長岡と停車してゆき、どの駅からもかなりまとまって乗車してくる。でも普通車全車自由席なので、それほどの混みかたにならない。母子3人連れが「なんで3人がけに1人づつ座っているのかしら」と嫌味を残して階下に下りていった。
6時27分に長岡を出ると、高崎まではノンストップ。天気は上々で、小出あたりの車窓では雪と靄と朝日がすばらしい景色を展開していた。しかし越後湯沢が近づくと、雪国らしい天気と風景になっていった(右写真)。
県境のトンネルを抜ければ晴天。だが、思っていたような透き通るような空というには程遠い。何となくスッキリしない晴天の空。そのまま高崎に到着。
高崎 7時12分着⇒7時16分発
高崎での乗換え時間は4分しかない。乗り換えられなければ東京に先行するつもりでいた。どうなることか心配したが、MAXの乗降口の前がちょうど階段でゆとりを持って乗り換えることができた。
乗り換えたあさま501号。時刻表をあらためて見てビックリ。このあさまが長野新幹線下り一番列車であった。車内は指定席だからか、それとも一番列車だからかガラガラ。喫煙車のせいでもあるまい。乗車した6号車は10人少々しか乗っていない。
座席もきゅうくつ。おまけに座ったとたんに背ズリが後ろに倒れる。身長172cm、体重105kgの体型が悪いのか、座った姿勢でフトモモが背ズリを後ろに倒すボタンを押すのである。今乗ってきたMAXでは気にならなかったのに、かなりの息苦しさを感じる。車内の幅は普通の新幹線と変わらないと思うのだが。それともミニ新幹線だったか? ただ、座席のきゅうくつさを除けば車内は快適。
車窓をうつくしい風景が展開してゆくが、それにしても速い。せっかくのいい景色がどんどんと後ろに流れ去る。そんなに急いでどこへ行く、というような速さである。
きょろきょろしているうち、右手に頂へ雪を冠したきれいな山が見えてきた。あれが有名な浅間山だろうと思うのだが、今一つ確信がない。近くの乗客にたずねたが、「たぶん・・・」といった返事。
軽井沢、佐久平、上田と停車して、終点長野に8時04分に到着。新潟を出てまだ2時間しか経っていない。新潟と長野は、あっという間に着いてしまう時間になった。それにしても先ほど乗ったMAXが上野に到着する前に、こちらは長野に立てたのである。ちなみにMAXの上野到着は8時06分。
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