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8月11日(土) 東京( 町田 ⇒ 早稲田 )


 死んだように眠り、気がつくと10時過ぎ。今日は都電荒川線と本所防災館を目指す。このうち本所防災館は予約がいるとかで、10時半に予約を入れてあった。ちょうどいい時間に一度目がさめたのだが、からだが起きられなかったのだ。急いで防災館に電話をして、別の時間に予約を入れなおす。
 今日は弟を誘って6人で出かける。まずは小田急線で新宿へ向かう。町田駅で切符を買うと新宿まで大人360円。なにか乗るたびに値段が上がっていく気がする。弟は定期券があるというが、我が家だけで新宿に出るまで1440円の出費。
 12時の急行新宿行きに乗車。車内放送で「携帯電話のご使用は・・・」とやっているそばから、携帯電話を使用するヤツばかりが目に付く。さすがに以前に比べて携帯電話で話すヤツはいないが、メールを打つ姿が目立つ。近くに立っていた女性もずっとメールを打ちつづけている、と思ったらそのうちに携帯電話で話し始めた。弟いわく、「小田急線には多いよ」。ひとりでムカムカしながら新宿へ。
 途中の向ヶ丘遊園駅で後続の特急あさぎりに追い抜かれるが、なんとなくはじめての経験。たしか以前にはこの区間で特急が急行を追い抜くことなんてなかったはず。

 新宿に12時40分ごろ到着。あいかわらずの雑踏、といいたいところだが思ったほどには混んでいない。階段を下りて地下のロータリーそばにある都バス定期券発売所で「都電・都バス・都営地下鉄一日乗車券」(大人700円)を買い求める。この券は以前高校生だったかの時に、友人と使用したことがあるだけ。受け取った券を見ると、広島での広電と同様にコインで削る式であった。
 都バス乗り場まで上がって周りを見渡すが、あまり風景が変わっていないことになぜだかホッとする。20年近く前になるが、新宿駅から徒歩20分ばかりのところにある十二社という場所に一人で住んでいたことがあるのだ。4畳半のアパートで、トイレは共同、風呂はなく銭湯が徒歩2分のところにあった。これで部屋代が19000円。当時としても破格の安さのアパート。
 このアパートに入ることになったのは偶然からで、新宿の歌舞伎町の居酒屋でのバイト仲間が浪人覚悟に決めたアパートだったが、大学の補欠で入学を決めてしまい、結局アパートに住むことなく契約解除をするということを聞いたことにはじまる。契約金は払ってしまったのでもったいないとの話から、「住む?」の一言で決まったのである。たまたま同姓であったので、親戚ということにして契約金を払わずに入居。
 ここで専門学校時代の2年と、就職してから結婚するまでの1年半を暮らしたのである。ここで妻と知り合い、結婚を機会に妻の住むマンションに引っ越した。もしこのアパートに住むことがなかったら、妻とも知り合うこともなく、違った人生を歩んでいたかもしれないと思うとなにか不思議な縁を感じる。そんな思い出深い新宿なのである。もちろん20年前から比べれば、来るたびといっていいほど変化はあるのだが、思い出を大きく狂わせられるような変化がないのだ。

 一日乗車券を購入したときにいっしょにくれた都バス路線案内「みんくる」を見て、まずは都電のある早稲田を目指す。12時55分発の[早77]系統早稲田行きに乗車。バスは大ガードをくぐると新宿通りに入り、アルタ前を通ってすすむ。明治通りに曲がったところで渋滞に引っかかりしばらくトロトロと走ったが、渋滞区間は思ったよりも短くそこを抜ければスイスイと走る。なかなか快適なパスの旅。
 路線図をみているとこの系統は循環路線のようで、終点の早稲田リーガロイヤルホテルでそのまま新宿西口行きになる模様。都電の早稲田駅は終点の1つ先のバス停「グランド坂下」の方が近いのでそのまま乗っていればよさそう。13時半に終点へ着くと我々を除いてすべての客が下車してしまった。不安になって、運転手に「都電の早稲田駅はどこですか?」と聞いてみる。「このまま乗っていれば次のバス停だよ」というような答えを期待していたのだが、運転手はていねいに方向を教えてくれた。仕方なくバスを降りるとバスは早稲田営業所の中に入っていってしまった。本当にここが終点だったよう。

 前方にしばらく歩くと、道路の中央分離帯に都電の早稲田駅が見えてきた。ここに来たのは高校生以来だが、こんなに立派な建物だった覚えがない。そばの道は狭くて、都電の方は単なる折り返し所でしかなかったような気がする。
 駅前のブックオフでトイレを借りて長時間の乗車に備えるが、長男は店内からなかなか出てこないし、出てきたと思ったら娘がトイレに向かったりとバラバラ。駅の構内に入っていくと、韓国人か中国人の観光客らしい一団がやってきて大声で話し始める。電車が到着すると歓声をあげて記念撮影などしている。そんな光景をながめながら14時前の三ノ輪橋行きに乗車した。

 

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