8月19日(月) 富山 ⇒ 福井

 

富山11:38(430M)12:35金沢

 跨線橋をわたって別のホームへ。階段を下りたところが、これから乗る電車の先頭車であった。さすがに発車3分前だけあって車内は混んでいる。新潟を出発した時に乗車したセミクロスシート車と違って、車両の両端にしか扉のない車両なので、余計に混むのかもしれない。空席をさがしながら編成後部の方へ歩いていくと、あるところから突如としてガラガラになった。あまりにも前部車両と混み方が違いすぎるので、途中で切り離されるのではないかと思い、近くの駅員にたずねてみる。すると「全車両終点の金沢まで行きますよ」とのこと。なにかキツネにつままれたような気がするが、ガラガラの車内に入り、2つのボックスを贅沢に使用させてもらう。
 電車が発車したところでトイレへ。個室内はたしかに汚いが、思ったほどではない。しかし、においがハンパじゃない。そういえば、普通電車でトイレに行ったのはこれがはじめて。ここまで清掃が入らないのかもしれない。
 席に戻ると、向かいのボックスの子どもたちはお菓子などをバリバリ食べている。そういえば、そろそろ昼食時間。しかし、乗り継ぎ時間が少なすぎて、大好きな駅弁すら買えない状態がつづいている。ここで、妻が食べ始めたのが大きなサラダ。このサラダがこんなところで役に立つなんて。自分にもまわってきたので食したが、鳥肉なども入っていてボリュームがあり、なかなか食べ応えがある。いままでも何回か食べたことがあったが、こんなに美味いとは思わなかった。といっても、腹が空いていればなんでも美味い? 車内でさすがにサラダを食べる人間はそういないようで、近くのカップルが変な顔をしてこちらを見ている。
 腹が多少膨れたところで、妻は2席を占有して眠ってしまい、息子と末娘はゲームにも飽きたのかボックス内でじゃれ合いはじめた。それに比べて、上の娘はずっとおとなしい。タオルを首に巻いているので、新しいファッションかときいてみたら、風邪をひいてのどが痛いとの答え。
 高岡や津幡あたりで多少混んだぐらいで、快適な電車の旅はつづく。金沢に着いて電車を降りると、橋上駅で回りがすっぽりと壁で覆われているわりに照明がパッとせず薄暗い。次に乗る予定の電車まで約45分。やっと体を伸ばせる余裕が出てきた。といっても、車と違って車内は広いのでそれほどのストレスはない、と思う。

 約6時間半ぶりに改札口の外へ。みんながトイレへ行っている間に、駅構内の案内板で近くの郵便局を探す。今回の旅の目的のひとつに郵便局めぐりもあるのだが、乗り継ぎがあわただしくて、今日中に回れそうなのがここ金沢と福井のみ。案内板からいくつかの郵便局を発見するが、近くてもバス停数個は離れている。いくらなんでも、駅前郵便局ぐらいはあるだろうと目を皿のようにして案内板を眺めるが近くには見当たらず。
 もう金沢での郵便局めぐりはほぼあきらめ、駅前に出てみると、ちょうど「加賀百万石まつり」とかが開催中のようで、それに関連するのか駅前には七夕の飾りのようなものがはためいている。かなりの規模の駅前なのに、近くに郵便局がないことが納得いかず、駅構内に戻って案内所で係員にたずねたところ、なんとこの駅構内に郵便局があることを教えられる。その名も「金沢駅内郵便局」。ここで念願のこの旅初の旅行貯金。
 貯金を終え、ホッとして時計を見るとすでに持ち時間の半分が経過している。子どもはおなかを空かしているし、何か食べ物を調達しなければならない。ちょうど郵便局のある一帯が、飲食店などのある場所なのだが、店内に入って食事をしている暇はなし。そこで匂いにつられて手近なパン屋に入ることにした。おいしそうなパンが並んでいる店内から出てきた妻に、何個買ったのかを聞いてみたら「5個ぐらいかな?」。足りるか?

 

 

金沢13:21(342M)14:36福井

 ホームに上がったのが13時07分ごろ。夏休み中のためか、平日の昼過ぎだというのにホームは人が多い。階段付近は混むので、ホーム中寄りに移動。立ち食いそばの持ち帰りができるかもしれないので、その旨を妻に伝えると「買ってくる」と娘二人を連れて行った。
 13時15分頃、富山方向から次に乗る電車が入線。今度の電車は3両編成で、ホームにいる人数からして座れるかが微妙な情勢。乗車時間が1時間少々といえ、そばを立って食べるのはしんどいし、できれば座って行きたい。
 ドアが開くと同時に車内に突進。早くに入った乗客はドアに近いボックスに腰を下ろし、席を確保したことで通路上でのんびりしている乗客をかきわけて車両中央部にすすむ。なんとか空いているボックスと、向かいの青年が一人で座っているボックスのうちの1席、計5人分の座席を確保。なんとか席をとれてホッとしていると、妻がプラスチック容器に入れたそばとうどんを持って入ってきた。「疲れきりました、これのために。おとうさんに待っているよと言われたから。容器代に60円もとられました」とブツブツ文句を言っている。
 電車は定刻に発車。車内の風景をビデオに撮っていると、「あーあ、ビールが飲みたかったなー」と妻。「あなたはビデオ中心でいいけど、ビールぐらい買っておいてよ」と横目で睨む。「電車に乗るのはビールが楽しみだからだったのに」とブツブツ言い続けるので「誰が席を確保したんだよ」と言い返してしまった。
 しばらくすると、そばで腹が満たされたためか妻の機嫌はよくなる。「電車に乗り遅れたらどうしようと、気が気じゃなかったんだから。次は絶対『泡』をわすれないでよ」と念を押されてしまった。これ以上妻の機嫌が悪くなるのは得策ではないと考え黙って聞いておく。子どもは腹が膨れたらすぐさまゲームボーイを再開。
 寺井あたりを走行中に妻が突然立ち上がり、席を交代しようと言い出す。何事かと思っていたら「向かいの女の子」と耳打ちされる。よく分からないまま妻と席を交代してハス向かいのボックスの女の子を見る。最初はわからなかったが、よく見ると女の子のスカートが短くてパンツが丸見え。女の子は雑誌に熱中していて全然気がついていないが、オレンジのパンツが目に痛い。そのカップルも小松で下車していってしまった。
 定刻に福井駅に到着。3分後に向かいのホームに特急のサンダーバード28号大阪行きが到着するのだが、どうやら遅れているらしく、ホームのアナウンスが盛んに放送を繰り返している。