あたまの上にろうそくの載った灯台をいただいてる鬼。そのむかし、遣唐使として派遣された軽大臣[かるのおとど]の変わり果てた姿であると言われています。
☆莱莉垣桜文 附註
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『皇国二十四功』弼宰相春衡 柳亭種彦 曰
「灯台本暗しの諺[たとえ]の如く。父は遥けき唐邦[からくに]へ遣唐使の命を奉じて行たる儘に帰らねば。彼地へ渡りて其許這許[そこかしこ]と。尋ね当れば思ひきや。物言ふ事も金輪[かなわ]を頂き灯台の鬼と成て泣居る体を父と察し。免[ゆるし]を乞て帰朝せしが。斯く残酷なる恥辱を受るは開化の進むる花街[いろざと]の忘八[ぼうはち]が遊女を責るに似て。焼火箸より尚熱い。大蝋燭の流れの身の難耐[たへがたき]を託[たくす]は雲上人[うんじょうびと]も。娼妓も同じ務[つとめ]なりかし」
弼宰相春衡…[ひつのさいしょうはるひら]軽大臣の息子。
柳亭種彦…これは三世の種彦。高畠藍泉。
忘八…女郎屋のあるじ。
雲上人…お公家さま。
和漢百魅缶│2007.04.24
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