おきくかんた お菊勘太

おきくかんた(お菊勘太)

陸前の志津湾に浮かんでいる籬[まがき]島と椿[つばき]島にそれぞれ住んでいた恋仲の男女でしたが、おたがいの島のひとびとの仲が悪かったことから、勘太が家の座敷牢に二十一日も閉じ込められてしまいました。いっぽうその事態を知らないお菊は、勘太が舟で十何日も訪れて来ないことに苦しんで、ついには海にその身をドボンボカン。二十一日間のいましめがとけて座敷牢から出された勘太でしたが、その夜、お菊の霊がその家に現われ、勘太も海へドボンボカン。ふたりの末路を感じ取ったおたがいの島の人々は、それまでたぎらせていた激しい対立心をついに解かし、椿島に夫婦塚を建ててその霊を慰めたんだそうな。

和漢百魅缶│2010.09.17
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