奥州の厳美渓[げんびけい]につたわるもので、むかしここに住んでいた大隅長者というお金持ちにひとめ惚れしてやって来た都の乙女。しかし長者は彼女を避けたので、小松の姫は長者の屋敷の近くのお宮で鈴をたくさんぶら下げてじぇらじぇら鳴らして応酬。これにも長者が出て来なかったので、厳美渓の滝に身を投げて怨霊となって、長者やその家族にたたりをなしたんだトカ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
この乙女が身を投げた滝を「小松の滝」、大隅長者が供養のために植えた松の樹は「思いの松」と呼ばれていたそうな。
和漢百魅缶│2010.11.13
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