継母の山柴[やましば]に折檻されたあと、庭先でお湯をわかしていた大釜に落ちて死んでしまった平方円太夫[ひらかたえんだゆう]の娘、小鳥[ことり]の幽霊で、すずめの姿に変じて「ちちこいしちちちち父上こいしちちよちちよ」と鳴きつづけ、最後には円太夫のもとにすずめの群れとなって飛んでゆき、自分の事を知らせます。
☆ 莱莉垣桜文 附註
式亭三馬の合巻『力競稚敵討』にあるもので、昔話にある継子殺しの事を知らせる竹や鳥などのことを採ってつくられた趣向です。
式亭三馬『力競稚敵討』曰
「時ならぬあまたのすずめむらがりとぶをあやしく思ひ目をとどめて見ゐたるにかのすずめの声をきけば父上こひしちちこひしとあはれにかなしくきこえたり」
和漢百魅缶│2011.05.31
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