けつしゅ 血酒

けつしゅ(血酒)

生前に暴利をむさぼり、度をこした飲酒を行なったひとの霊鬼が売りつくさないといけない真っ赤なお酒で、霊鬼がみずからを傷つけて出した血で出来ています。

唐のころ、ある酒ずきな男が山で迷子になったとき、ポツンと酒屋の旗がみえたので、さっそく入って酒を注文すると、出て来たのは真っ赤なお酒。気持ちが悪いのでためらっていましたが口に入れてみるとこれがすこぶる美味。男はおかわりを求めましたが、店の者は涙をこぼして、自分が霊鬼でこれは自分を傷つけてしぼり出した血酒である事と、とても痛いがこれを売り切らねば報いから脱けられぬ事を告げたので、さすがに男は恐ろしくなり、店を飛び出して帰り、以後は酒をやめたんだトカ。

和漢百魅缶│2011.10.23
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