熊野の山の中にいると俗に言われてた大きな蟻[あり]。油壷をごろごろ引っぱっていっちゃうほど大きい。
☆ 莱莉垣桜文 附註
井原西鶴『西鶴諸国咄』曰
「法師うち笑って。おのおの広き世界を。見ぬゆへ也。我[われ]筑前にありし時。さし荷[にな]ひの大蕪菜[おほかぶな]あり。又[また]雲州の松江川に。横はば一尺二寸づつの鮒[ふな]あり。近江の長柄山より。九間ある山の芋。ほり出せし事も有。竹が島の竹は。其まま手桶に切ぬ。熊野に油壷を引[ひく]蟻あり。松前に。一里半つづきたる。こんぶあり。」
信じられていたというより、知らない土地には思いもよらないものがあったり居たりするよ、というたとえのひとつとして言われていたものです。
和漢百魅缶│2012.04.02
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