陸奥の五戸につたわるもので、きつねの化け種目の一ッ。道に迷ってしまった男がある一件の家に泊めてもらうのですが、そこの家には死人があって、それが家の中に寝かせてあるという、なかなか怖い状況。すると家のひとが「ちょっと親戚のところに行くので留守番をしてくれ」と外出。
死人とふたりっきりで暗い中まっていると、死人が立ち上がっておはぐろをつけだし、「付だがえ、付だがえ」と聞き続けてきたので、怖くて怖くて「付だぁ」と言ってやると、死人がおどりかかって来たので大慌て、あっちこっちに逃げまわっていると、「おい、そこのひと、いばらやぶの中で何をドサクサ騒いでるんだ」と通行人に声をかけられ、我にかえったんだトカ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
この男というのは、これ以前の道の途中で眠ってた狐を「ワー」と大きな声でびっくりさせていて、狐がその仕返しをするというのが話の骨。
「ついたかみてくろ」や「おはぐろべったり」の仲間。
和漢百魅缶│2012.06.23
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