ふふぎのけや ふふぎの貝

ふふぎのけや(ふふぎの貝)

庚申のかみさまがもってるという小さい子供や赤ちゃんみたいなかたちをしてるふしぎな貝。

羽後の角館に伝わっている話では、庚申講をしていたらそこへ知らない爺さんが「入れてくれ」と訪ねてきたので、みんなで親切にしてやったところ、この爺さんが「お礼に今度はわしの家で開いてくだされ、ご馳走をします」と家に招きます。
さっそくお酒がふるまわれましたが、爺さんが料理を出しに行ったきりなかなか帰ってこないので、ひとりがソッと隙間から台所をのぞいてみたところ、その爺さんまな板の上で子供をぶつぶつ切って料理してたのでビックリ。それをきいてみんな帰ってしまいます。
腰がぬけちゃって立てなくなっちゃったひとりが、どうしようもなくそのご馳走を食べて帰ったのですが、このご馳走を食べたその人はその後とても長生きをしたトサ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
庚申を信心していた人々が庚申の神の化身に招待されて、寿命の延びる食べ物で饗応される話の一ッに出て来るものです。同様のものに「くけつのかい」などがあります。また、似たはなしには「しょけら」などがあります。

和漢百魅缶│2012.11.25
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