沖縄の儀間などにつたわるもの。
モーイ親方が夜道を歩いてると、夜の墓場で誰かがあんどんをつけて何かをしていた。ヘーイヘーイと墓に近づき、何をしてるのか見てみると人が洗骨をしており、きくと銭がないので夜中に洗骨してるというはなし。ふびんに思ったモーイ親方が持っていた銭をあげて家路にかえります。
すると次の日から夜道をあるくと幽霊が出て来るようになったので、「誰なの」と話しかけると「この前、墓で助けていただいた骨です、恩返しをぜひしたいです」「そんなことしなくていいよ」「いえ、そんなわけには」「じゃ、何か必要があったら呼ぶよ、そしたら来てよ」「わかりました」
用事があるときは「なかんだかりぬすーよーい」と呼んでください、といわれたモーイ親方。 あるときモーイの父親は首里から明日までに急いで饒波と満名から税として山のようにかぼちゃ等を運ばなければいけないという難題を命じられてしまって、そんなに早くは無理だと大困り。
そこでモーイが名乗り出て、その役を請け負うことに。さっそく墓へ行って「なかんだかりぬすーよーい」と呼んでみると、幽霊とマジムン出て来て「さぁ、おのりなさい」モーイ親方はそれにまたがって饒波と満名へ行き見事に用事をこなして褒められましたトサ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
同様のモーイ親方のはなしは「ナカニシヘーイ」(仲西ヘーイ)にもあります。(参照→『大佐用』)そちらだと、牛の姿で出て来て、乗せていってくれる話になってるので、こちらも、牛だったのかも知れません。
恩返しのときに名前を呼んで幽霊を呼ぶかたちのはなしは、大陸にも「せきていし」(赤丁子)などが伝わってます。
和漢百魅缶│2013.06.07
Design. Koorintei Hyousen 2013