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大腸の病気が気になる方に、大腸ガンと大腸ポリープに焦点を合わせて、解説してあります。情報は大平胃腸科外科クリニックのデータを使っています。まずは気軽に検査を受けること。なにも怖くはないのですからーー。
 なお「よくある質問コーナー」をもうけましたので、参考にして下さい。


大腸ガンと大腸ポリープ

目次)

  1. 日本人の死因
  2. 大腸ガンの現状
  3. 大腸癌の発生
  4. 大腸ポリープとは?
  5. 大腸ポリープの分類
  6. 大腸癌の検査
  7. 大腸ポリープが癌化する危険因子
  8. 大腸ポリープとガンの関係
  9. 大腸ポリープ切除の必要性
  10. 大腸ファイバー検査とは?
  11. 大腸癌の治療の基本的考え方
  12. 大腸検査を受けるためには!
 

 

日本人の死因のトップは癌です。もうご存知ですよね!

 

1.日本人の死因

平成16年度の死亡原因

全体の約3割がが悪性新生物(癌)で死亡している。2位は心疾患、3位は脳血管疾患(脳卒中等)である。

3割近い方が癌で亡くなられていることがおわかりいただけると思います。

 

それでは今日のテーマの大腸癌について、大ざっぱにお話しします。 

 

2.大腸癌の現状

上の図は癌の死亡率を示したものです。男性、女性いずれも胃ガンが減少し、肺ガン、大腸癌が増加していることが理解していただけると思います。

 上のグラフで特徴的なことは昭和30年と平成16年を較べた時の大腸癌(結腸+直腸)の延びです。食生活の欧米化に伴う大腸癌の増加がその他の癌と較べてすさまじい勢いであることが分かります。今後、大腸癌は男性においても胃ガンに追いつくのは時間の問題と思われます。



上記二つのグラフはいずれも平成17年厚生
白書よりのお借りした物です。

 

のどが渇いた!

次に「大腸癌はどのようにしてできるのか」をお話ししましょう!
   
   
      
 

3.大腸癌の発生

 左の図は大腸癌が出来るまでを模式的に書いたものです。上の段がポリープから癌化する場合、下が粘膜から直接癌が発生してくる場合です。このうちポリープから大腸癌に移行していくものが大腸癌全体のどのくらいを占めているかについては25%〜50%までといろいろな説がありますがはっきりしません。ポリープからの癌は未だ少数派というところです。

 ポリープ癌が粘膜から発生する癌と決定的に異なる点は、ポリープを切除する事によって癌を完全に治しうると言うことです。しかも内視鏡(大腸ファイバー)によるだけで、殆どの場合、切除可能であり、開腹手術を要しないことは特筆すべき事です。勿論、ポリープ癌もガン細胞が頂上(最初はガン細胞は頂上にある)からポリープの根元を越えてしまったり、進行癌になってしまった後ではこの限りではありません。ポリープ癌も早期切除が必要だということです。
 粘膜から発生した癌はよほど早期を除いて、開腹手術が必要です。

 

それではそのポリープって何なの?ということですが、大腸ポリープは驚くほど多いのです。 

 

4.大腸ポリープとは?

 大腸ポリープは大腸の表面から飛び出ている病変をすべてひっくるめてそう呼びます。その中にはガンであるものも、ガンでないものも含まれています。

 左図は当院における平成9年度に施行した全大腸内視鏡検査の患者さん77例を分類したものです。全体の約4割弱にポリープが存在しました。大腸のポリープが如何にポピュラーな物か分かっていただけると思います。胃ポリープはこれよりずっと少なく0.5%程度です。
 困ったことに滅多にない胃ポリープはほとんどが良性であるのに対し、非常に多い大腸ポリープは潜在的に悪性変化(癌化)する危険を持っています。それは次の項で!

 

ちょっと一服

それでは次に大腸ポリープの内訳を少しお話ししましょう! 

 

 

 

5.大腸ポリープの分類

大腸ポリープの分類

 腫瘍性ポリープ

  • 良性:腺腫、過誤腫   
  • 悪性:腺癌 

    腺腫腺癌

非腫瘍性ポリープ=良性(癌にならない)

  • 過形成性ポリープ
  • 炎症性ポリープ

大腸ポリープは大きく分けて、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープの二つに分けられます。左の図はそれぞれのポリープの代表的な物を示してあります。大腸のポリープは約80%が腺腫と呼ばれる良性の腫瘍性ポリープです。ただ、これは絶えず、悪性腫瘍(=癌)に変わる潜在的悪性度を持っています。これに較べて、胃ポリープの90%以上は過形成性ポリープで、この過形成性ポリープが癌化することは極めて稀です(例外もあり)。

左の図は当院におけるポリープを病理学的に分類(切除した後顕微鏡で診断する)したものです。腺腫が圧倒的に多いことが分かっていただけると思います。この腺腫は常に腺癌に変わる危険性を持っています。
こられのポリープは肉眼的に、悪性か良性かの区別をつけることは、ほとんどの場合不可能です。従って、病理検査で「白黒をつける」ということになります。無論、進行癌になってしまえば一目瞭然です。

   
      
      
      
   それでは現在行われている大腸の検査についてちょっと触れましょう!
   
   
   

6.大腸癌の検査

1.便潜血反応:消化管からの出血をチェック

2.注腸検査:空気と造影剤の二重造影=形のチェック

3.大腸ファイバー検査:最も確実な検査、色調/ポリープの発見

1.便潜血反応
この検査では粘膜からの癌と進行癌がチェック可能です。左記のピンクで塗りつぶされた部分が確実にカバーできる範囲です。ポリープ癌の殆どはこの検査からもれることになります。大腸癌検診で実施される検査です。一日7cc程度以上の出血が、口から肛門までの食物の通り道のどこかにあれば陽性になります。不確実で且つ、場所、疾患の特定も無論できません。検査は複数回で精度が上がります。ガンから見ると、1回の検査で陽性となる確率は6割、2回のうち1回が陽性なる確率は8割、3回のうち1回が陽性になる確率は9割を越えます。逆に言うと、1回の検査ではたとえガンでも陰性になる確率が4割もあるということです。普通検診では、2回分の検査が実施されています。絶対安心できる検査ではない、ということを肝に銘じて下さい。

2.注腸検査
この検査は形のチェックにより、癌やポリープの有無を検査するため、小さな病変は見落とす事になります。空気の泡や食物残査を見誤ることもよくあります。従って、確実に拾い上げることができるのは左記の橙色で塗りつぶされた部分ということになります。胃の場合は口から飲みますが、大腸の場合はお尻から器具を使ってバリウムと空気を入れます。

3.大腸ファイバー検査
この検査は肉眼的に確認しながら、隆起物や潰瘍、さらに粘膜の色調の変化(つまり非常に早期の癌など)を拾い上げることができ、カバーできる範囲は飛躍的に大きくなります。左記のピンク色で塗りつぶされた部分がこの検査のチェック可能範囲です。

まだ進行癌になる前のポリープ癌を見つけることができるのは大腸ファイバー検査だけであることが分かって頂けたでしょうか。便に血が混じってからでは折角のファイバーでの手術時期を失するのです。

 
   
   
 疲れてきましたね
     
   
ポリープが癌化するのはほんのごく一部なのですが、腺腫のうちどれが癌化するかの判
断は神のみぞ知るといった所です。でもポリープ癌化の危険因子というのもあるのです
   
   
   

7.大腸ポリープが癌化する危険因子

  1. 高齢化:年をとる、すなわちポリープができて時間がたてば立つほど、それだけで癌化の危険が増します。
  2. 家族性のポリポージス(ポリープの多発):その家系的にポリープが遺伝的にできやすい方は殆ど100%癌化します。この場合の多発とは何十個という単位のものです。
  3. 上記に関連して、一般的に単発のケースより、複数のポリープがある場合の方が癌化しやすいと言われています。
  4. 同じく、ポリープのサイズが検査する度に大きくなっていく場合も癌化しやすいと言われています。
  5. その他、便秘や肉食などとの因果関係も指摘されています。

当院での検査ではポリープが多発しているケースが約6割ありました。ポリープは多発するケースが多いのです。

 

 

 

ここで大腸ポリープとガンの関係について簡単に図示してみましょう

 

 

8.大腸ポリープとガンの関係

  

 

 大腸ポリープとガンの関係は左図の通りです。□で囲まれた部分を日本人全体とすると、かなりの方にポリープが存在します。そしてそのうちの少数がガンになるわけです。ポリープと重ならない部分のガンは粘膜より発生するものです。
 それぞれの関係は大まかに示しただけのものですので、余り細かい割合にまで、こだわらないで下さいね。

 

  もうちょっとです

 

今まで述べてきたことをまとめて、なぜポリープをとる必要があるのかを考えて見ましょう

 

9..大腸ポリープ切除の必要性

  1. ポリープは非常にありふれた病気であり、当院で検査された方の4割弱に存在しました。
  2. そのポリープの約8割は腺腫と呼ばれる腫瘍(できもの)性のもので、将来絶えず癌化する危険をはらんでいます。
  3. またポリープは多発する傾向があり、たとえ1個取ったとしても目に見えない小さなものが存在し、大きくなってくる可能性を持っています、また多発しているものほど癌化する確率が高いと言われています。従って見つかったポリープは出来るだけ完全に切除することが望まれます。
  4. ポリープは出血する前にとることが大切で、この時期に切除すると、大腸ファイバーと呼ばれるカメラによる手術(内視鏡的ポリープ切除術と呼ぶ)だけでポリープ癌を治すことが可能です。
  5. 以上より、ポリープが既に存在している方はもちろん、まだわかっていない方も少なくとも2年に1回、多発している方は1年に1回、胃カメラとともに大腸の検査を受けられた方が良いと言えます。
 
 

 

 最後に大腸ファイバー検査についてお話ししましょう
 
 
 

10.大腸ファイバー検査とは?

    

左の図で肛門より、盲腸と呼ばれる所まで大腸ファイバー(カメラ)を挿入(これを全大腸内視鏡検査と呼びます)し、肉眼的に病変の有無を観察し、必要に応じ、組織検査(一部をとり、顕微鏡で悪性の有無を調べる)やポリープ切除を行います。熟練した施行医で5〜10分で盲腸に到達しますが、その方の腸の長さ、手術による癒着の有無、捻れ、などによりかなり差異があります。なお、左図は大腸癌の好発部位を示した物です。

当院でのポリープが存在した方の処置の内訳です。切除可能なものはできるだけ切除しています。
生検とはポリープの大きさや形などのために切除ができない場合、その組織の一部を取って、悪性の有無を調べる検査です。

ポリープ切除とそのポリープを回収した所の写真を載せておきます。興味のある方は御覧下さい。

                      ポリープ写真

 
 

 11.大腸癌治療の基本的考え方

 

ここでは大腸癌を初めとする固形癌に対する基本的考え方について説明します。個々の癌に対する治療法は、述べるスペースがありませんので、他のホームページなどを探して下さい。以前、直腸癌の治療に対する質問を頂戴しましので、その質問と私のお答えを載せておきます。

ご質問

解答

ドクターコロさま
 ホームページを興味深く読ませていただきました。でも、このホームページには手術のことが書いてありませんでしたが、そのことに関して質問しても良いでしょうか?
 と言うのも、私の知人に大腸ガンの方が4人くらいいらっしゃるのですが、そのうち2人の方が人工肛門を造設しています。人工肛門を作ってない人たちは、腫瘍が肛門部から少し上の方にあるということで作らなかったようなのです。しかし、その方たち二人ともこの3〜4年くらいの間に再発し、一人の方は人工肛門を造った方が良い状況になってしまったのに、再手術が不可能になって(前回の手術のために)今は化学治療を行っているのです。(親しい人の話では、転移もなくガンの進行度合もそんなにひどいようではなかったようなのに、ということですが。)
で、人工肛門を造った人はとても元気でお過ごしのようなのです。
で、そんな私たち素人の間では、大腸の下の方のガン(たぶん直腸のこと?)は人工肛門を造った方が良いのではないのか?と言う話があるのですがどんなもんなんでしょうか?
 一概には言えないのかもしれませんが、人工肛門を造った人とそうでない人の予後に差はあるのでしょうか?

鋭いご質問ですね。
 ホームページでは、治療のことまで書くのは私の能力では負担が大きすぎて割愛しました。より多くの方へのアピールという意味では「とにかく、最初の一歩」の重要性を強調できればよいと思ったからでもあります。
 さて、あなたのご指摘は、半分は正解です。基本的にガンの治療とは、最終的には人間そのものを対象としています。ガンが治っても、本人が死んでしまっては元も子もありません。そこまで、行かなくとも、人間が人間として生きていけなくなれば「何のための手術か」と言うことになってしまいます。
 かなり哲学的な表現になってしましました。基本的には、ガンを完全に取り除くことのみが、現在の胃ガンや大腸ガン等のいわゆる固形ガンに対する唯一の治療法です。それ以外はすべて敗戦処理でしかありません。放射線療法も化学療法も、手術を前提として、初めて根治療法の一翼を担います。
 もし、ある建物の中にガン細胞がばらまかれていたとしましょう。それを完全に取り除くためには、どんな方法がありますか。一つ一つ潰していく・・ガンのいる部屋だけを爆破する・・建物全体を消滅させる・・・・当然、後の選択肢ほど全体に対する被害は大きくなります。しかし、ガンを完全に消滅させる、切除することが第一義的に大切ならば、後者ほど確実だと言えます。
 お分かりでしょうか。ガンの治療は常に、それによって得られる利益と不利益とのバランスの上に成り立っているわけです。勿論、時代的背景、治療の進歩、その方の生き様とか、いろんな要素が絡み合って、治療特に外科術式も決定されます。現在、直腸ガンの手術は、壁を貫通していない場合、肛門から約7cm(施設によって、数cmの差はある)以上離れていれば、「直腸前方切断術」と呼ばれる肛門機能温存手術(すなわち、人工肛門を作らないこと)の適応となります。これは、無論術前に同じ進行レベルと判断した直腸ガンを、両方の術式で手術してみた多くの症例を比較し検討したところ、予後や再発率に差がないと判断されたことに基づいています。ガンの切除はガンだけを取っているわけではありません。切除した腸管の周囲のリンパ節や脂肪組織を共に切除するのです。そして、この後者の方が術者にとってより困難で、そして再発ひいてはその方の予後を決める大切な部分なのです。ただ、そのリンパ節のどれに転移があるかないかなど、手術中に、肉眼的に分かるわけはなく、転移があり、それが不幸にも手術時に取り切れていない場合、再発するわけです。 これ以上、説明するのは時間の関係上割愛させていただきます。ただ、局所再発で再手術できない理由の多くは、前に手術してあるからでは無く、不幸にして、その時残ったわずかなガン細胞が時間の経過の中でとりきれないほど大きくなってしまっているからです。ガンも又生きているのです。
 しかし、すべては結果論でしかありません。確かに、人工肛門の造設を含むMiles 法 を実施し、根こそぎガンを取れば、再発しなかったかもしれませんが、その代わり、人工肛門、勃起不全、排尿障害等の後遺症も高率で背負うことになります。もし再発がなければ、人工肛門を作らない手術の方が遙かに患者さんに感謝されます。医者も神様ではありません。手術の前に、すべてのケースで完全に再発の予見などできないのです。

 
 

最後に記事をひとつ

◆ 大腸癌とポリープ切除、数年で再発の恐れ 
 北里大学東病院消化器内科の五十嵐正広講師らは、早期大腸癌や大腸ポリープが、一度切除しても数年後に再発する確率が高いことを確かめた。治療後の定期的な健診の必要性を示す結果だ。
 五十嵐講師らは、1986年から10年間大病院で大腸ポリープなどを治療した患者、計1465人を追跡調査したところ、術後5年以内に55%にポリープが、4%にがんが新たに発生していた。
 また・最初の治療で多数のポリープや早期がんを切除した患者、・65才以上の高齢者ーほど再発率が高いことも分かった。
 日本消化器内視鏡学会・日本大腸肛門学会の合同シンポジウムで発表。

 

 ご苦労様、今日の講義は終了です

 

後は宣伝のページです。疲れた方はお休み下さい。

 

12.大腸検査を受けるためには!

当院では大腸の検査は毎日午後より行っています。胃の検査と違い、大腸の検査では前日の夜より絶食の状態でも、大腸は空っぽにはなりません。従って前日に特殊な食事や下剤による前処置を行い、又当日午前中は大腸の掃除のため、これも特殊な胃腸の洗浄液を飲んでいただいています。検査を希望される方はお早めに予約をお願いします。

 

当院は 金沢市近岡町  大平胃腸科外科クリニック

診療時間 月〜土 午前9時〜12時半 午後2時〜6時(土曜日は5時)
休診  日曜祭日 木曜日午後 

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大腸癌一般に対する知識は下記URLで詳しく知ることができます。
国立癌センター http://www.ncc.go.jp/jp/l