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よくある質問

ホームページおよび掲示板で、比較的多い質問に関して、できる範囲でお答えを書くことにしました。現在、病気のため治療中の方は御案内にも書きましたとおり、ご相談に応じかねますのでご了承下さい。

1. 治療中の方のご相談をお断りする理由

2. 下痢について

3. 便秘について

4. 下血・肛門出血について

5. オナラについて

6. 抗ガン剤について

7. 癌の血液検査について

8. 癌になりやすい食事

9. 癌になりにくい食事

10. 内視鏡的手術について

11. 大腸ファイバー(全結腸内視鏡)について

12. 手術について

13. 便潜血反応について

14.組織検査(グループ分類)と
  癌の進行度(ステージ分類)

1.治療中の方のご相
談をお断りする理由

 時々、現在治療中の方からのご相談を受けます。一般的に深刻な内容のものが多く、その答えに苦慮します。最初は出来るだけお答えしていたのですが、一つ答えると、又一つと、「主治医にこう言われたが、大丈夫か」とか、「グループ分類で4と言われたがどうすれば良いか」とか・・・。正直なところ、主治医に告げられた事をここで検証しようと言う事自体に無理があります。その先生がどういう意味で、そう言われたのかはその先生しか分からないことです。私には想像はできても、確かにそうだという確信はありません。ましてや、わたしの説明を元に、誤った選択をしてもらっては困ります。大腸ポリープの説明を全部読んでいただけた方には分かっていただけると思いますが、何かについて説明するとなると、その前提として、最小限に必要な知識だけでも、かなりのことが要求されます。相談に答えるために、知識を説明しながら、その中で新たに又何かを説明する必要が出てくる。それではホームページを作った意味がありません。確かに相談者は、何かに苦しみ、悩み、他にすがるものが見あたらないのかもしれませんが、こういう作業は、明らかに私の手に余ります。内容が緊急で深刻な場合は、早急な返事が必要です。精神的負担・時間的負担はかなりなもので、それが複数となると、とても対処できません。自分の仕事に差し障り、自分が預かっている患者さんのことがおろそかになっては、本末転倒です。相談内容が家族や第三者のことだったりすれば、尚更情報は曖昧です。あるいは、情報が不足していたり、勘違いしていたり、あるいは不確かだったり、相談の前提が成り立っていないことも多くあります(専門家ではありませんので当然なのですが)。だからといって、こちらから追加質問するほど、時間はありません。相談とは、誰よりも正確に且つ、沢山の情報量を持っていることが基本であり、その前提の上で、相手の顔を見て、相手の息を感じ、その中で言葉を選びながら、相互に意見を出し合うものです。そして、その時の状況に応じて、答えは微妙に変化していくものなのです。特に、それが命に関わったり、生き方そのものを問われるものである場合には、お互いの信頼や、心の繋がりが絶対に必要です。従って、こういうインターネット上で顔も見えず、相手の考え方も分からず、しかも情報も一方的で正確に把握できない場では、相談にお答えする範囲は自ずと限られます。そういうことを含んだ上で、ご相談願えれば幸いです。安易な気持ちで相談の答えなどできませんし、一般的な知識として答えるのではなく、「どうすればよいか」と言う範囲になると、正直責任を持てません。たとえボランティアでも、答えれば責任が生じます。ホームページの相談には責任をとれません。それが基本的スタンスです。

2.下痢について

 下痢の相談も時々舞い込みます。いろんなケースがありますが、最終的には「下痢をしていますが、どうすればよいでしょう」となります。どの病態でも同じですが、一つの質問に対して、答えは決して一つではありません。だから、簡単には答えられないのです。下痢を来す疾患は、それほど山のようにあります。消化器系の癌から、風邪、食中毒、一過性の疲労、飲んでいる薬が合わない、自律神経の異常、ホルモン異常、それほど枚挙にいとまがありません。それをホンの数行の説明で、「大丈夫か教えて下さい」と尋ねられても、そりゃ真実は神様しか分かりません。いろいろな経過や状況、熱の有無、腹痛の頻度と性質、便の色と性状、年齢、体重の変化、などでかなりの状況証拠を集めることができます。そこから、ある程度の類推は可能ですが、それを把握するためには、相談者との何度ものやりとりが必要です。そんなことは現実的には不可能ですし、そうなれば立派な診察です。ボランティアの範囲を大きく越えています。こういう場合、「近くの専門医で、よく相談して下さい」というのが、唯一無二の解答となります。
 無論あらゆる可能性と言っても、すべての方が稀な病気を抱えているわけではありませんから、一般的には、腸の負荷を減らす(できるだけ胃腸を空っぽにする、それだけで、人間の胃腸は炎症程度なら治るように出来ています)ことで、様子をみます。水分はどうしても必要ですので、ぬるいポカリスェットやアクエリアスだけを取る。それで大抵の風邪による急性腸炎なら、治ります。1週間以上続く下痢は、その他の可能性を考えて、専門医を受診すべきです。また、普段から下痢をしやすい・・と言う方は、最近「過敏性大腸症候群」と呼ばれる自律神経異常による不安定な便通異常が疑われます。無論、癌を含む悪性疾患の除外は必要ですので、下痢を頻繁に繰り返す方は、少なくとも便潜血検査は受けるべきでしょう。確実に言えることは、状況証拠だけでは、決して確定診断はつかないし、その賭にはあなたの命がかかっているということです。検査が何ともなければそれに越したことはないのですから・・・。

3.便秘について

 この解答はあくまでも他に器質的疾患がないということが前提です。つまり癌や特殊な炎症がないとして読んで下さい。そのためには当然、便潜血反応の検査ぐらいは必要です

 便秘にはどうするか?というのは、とっても難しい問題です。外来にもたくさんそんな患者さんがおいでます。一般的注意は1)繊維の多い食事.2)規則正しい生活.3)十分な睡眠.4)水分を多くとる・・とかあるのですが、病院を訪れる方は、その程度のことは皆さん大体試行錯誤済みです。だから厄介なのです。
 実のところ、私も重症の便秘でして、特に1年くらい前が最高潮で、およそ週に1回。硬便のため、便所で気張りすぎ切れ痔にまでなった・・余りしゃべると営業上差し支えますが〜〜。便所で5分以上気張るのは肛門に非常に負担が大きく、又息を止めるため、心肺にかかる負担も大きく、まあろくな事は無いわけです。心筋梗塞、脳卒中が便所で起きることが多いのも分かっていただけるでしょう。無論、局所的には、肛門の負担は、切れ痔、いぼ痔(両者とも医学用語ではありません。念のため)さらに、脱肛、直腸内の小さな腸重積(潰瘍を作ることもある)、直腸肛門炎の発生など、など・・・様々な障害を起こします。
 というわけで、勢い手っ取り早い、下剤のお世話になることが多くなるわけですが、確かに短期的には、下剤を使っても度のすぎた便秘は改善すべきだと考えられます。ただ、それが長期にわたるのは余り感心できません。下剤の多くは、腸の動きを促進している訳ではなく、大腸における水分吸収を抑制し、簡単に言えば、便を柔らかいままに出そうとする物です。従って、次第に大腸の薬に対する反応は鈍くなり(薬の量が次第に多くなる)、ますます重症の便秘症になってしまうわけです。そのうえ、下剤の長期連用は腸粘膜上にメラニン色素が沈着したような色調の変化をもたらします。
 私の場合は、ホームページにも書いた如く、やせるためにウォーキングを始めたこともあり、同時にヨーグルト、牛乳、野菜を主体とした食生活への転換(それまでは肉食中心の蛋白過多だった)が効を奏し、半年前までに週2.5回ぐらいまで改善しました。それにしたところで、ある日突然改善したわけではなく、徐々に・・ある日気が付いたら、そこまで良くなっていたという小さな変化の積み重ねだったわけです。
 便秘の原因は多くの場合、一つの原因で起こると言うような物ではなく、その方の生活パターンの変化(夜更かし、過重労働、不規則な食生活、寝る前の過食、アルコールの過剰摂取、体重の変化、運動量の低下、女性ホルモンの減少、精神的ストレスの増大など)が基調にあり、個人の力では如何ともしがたい部分が確かにあるのです。例えば、旅行に出かけると、普通緊張状態となり、自律神経は交感神経が優位の状態となります。これは、血圧の上昇、脈拍の亢進と循環器系にはプラス方向に働き、逆に腸運動の低下、胃もたれ等、消化器系にはマイナス方向に働きます。従って、それだけで便秘になるわけです。そういう方、多いでしょう!
 便秘はその方のライフスタイル、遺伝、体重に代表される身体状況に負うところが大きく、逆にそういうところに手を付けず、薬などの小手先の手段で解決しようとしても無理があるのは当然です。
 私に言えるのはそこまででしょうか。食事を含めて、やはり悩める方は一度、専門医とご相談されるべきでしょう。しかし、やはり努力するのは、最後は自分です。何もしないで、便の状態だけ変えようとしたら、そりゃその方がどこかに無理がかかると思うのですが・・・・。
 格言:便秘は生活を映す鏡。短期的には下剤でも、長期的には生活、体質改善。

4.下血・肛門出血について

 一般的に肛門より近いところ、すなわち下部消化管から出血したものほど、鮮紅色(真っ赤)の血になります。胃や十二指腸といったいわゆる上の方から出た血は途中で消化液の影響を受け、真っ黒になります。大量出血の場合は、上部からの出血でも、消化しきれず赤い血の場合もあります。取りあえず、出血の色で、場所のおおよその見当は付くわけです・・・但し、あくまで目安です。その他、紙に血が付いた、排便後ポタポタと血が落ちた、ピンク色のものが便の周囲に付いていた、大量に真っ赤な血が出た・・など一言で出血と言っても、千差万別です。出血を来す疾患も沢山あり、癌の確率はそんなに高いものではありません。中年以降、便秘が先行する、便が細い、おなかがはる、肛門の痛みがない、などは危険なサインですが、それらはすべて状況証拠にすぎません。それだけで診断や治療が決められれば、誰も苦労しない訳です。
 よく「出血したが大丈夫か」と言うメールをいただきますが、私は神様ではありませんので、それだけで診断はできません。基本的には、出血があった場合、出血の原因を検査によって特定しておかなくてはいけません。それは年齢とは関係ない問題です。無論、検査はいやでしょうが、その結果に対しては、自分の命をかけて、答えを出すしかありません。若いから、初めてだから、・・などという気休めは、確率的に癌の可能性が低いというだけで、何の保証にもならないことを銘記しておいて下さい。直腸癌と痔の併存もありふれた話です。痔があるから、癌がないという保証も又、全く無いわけです。癌でなくとも、放置しておけば悪化する病気も沢山あります。若い方には、虚血性腸炎、薬剤性腸炎、クローン病、潰瘍性大腸炎などの方がむしろありふれた病気です。潰瘍性大腸炎は癌化する危険も秘めています。
 「出血したが、どんな可能性が考えられるか」と言う質問も非常に多いのです。本人は出来るだけ詳しく自分の情報を述べているつもりなのですが、正確な診断はとてもできません。本来診察とは双方向のやりとりで成り立つ物です。心配は分かりますが、問題の重要性を考えれば、とても安易には答えられません。一般的に説明するとしても、下血を来す疾患は教科書を開くと、それこそありふれた疾患だけでも十指に余ります。それを逐一説明など、メールでするだけの暇は私にはありません。不十分な説明ならしない方がましです。不安感をあおるだけですから・・・。検査を受けて良く相談すること、よきかかりつけ医こそが重要です。それから、最後に、医者としては常に最悪のケースを想定して話をしていますが、出血の原因が癌である確率は、ほんの数パーセントにすぎませんし、(それ以外の原因のことがずっと多いと言うこと)およそ20〜30才台の方で、進行大腸癌に遭遇する事は極めて稀です。つまり心配しすぎないこと、しかし放置しないこと、リラックスして検査を早めに、が結論です。
海外にいる方で、なかなか診察に行けないので・・・という相談も間々あります。しかし、病気は自分の都合で止まってくれるものではありません。海外にいるからこそ、自分の体をより一層大切にしなければなりません。上司、学校、友達、頼れる方は必ずいるはずです。出血を見たら、迷わず検査を受けて下さいね。

5.オナラについて

 正直なところ、オナラについて、こんなに質問が来るとは思っていませんでした。でも特に若い女の方には深刻な問題なんですよね。特に、その臭いを気にされる方が多いようです。一般的に便秘を伴うことが多いはずなのですが、便通は毎日あるという方も何人もおいでました。オナラは、腸内で消化とその結果として、ガスの産生が起こるために当然の如く発生します。極めて生理的現象です。ただ、それが本当に異常かどうかは、本人の意識が強すぎる場合と、実際に回数、臭気が度を超している場合と二つあるようです。ガスの発生は、消化の際に同時に起こる腸内細菌叢による発酵と腐敗により起こります。便秘などで、食物の腸内滞留時間が延長すれば、腐敗が進み、その結果臭気の元である、ブタンガスなどの発生が増えるわけです。この腐敗を防ぐには、一つには腸内に食物がいる時間を短縮してあげる、つまりなるべく速く便を出すことがあります。もう一つは腸内細菌叢を変化させる、聞いたことがあるかもしれませんが、ビフィズス菌などのいわゆるお利口さんな菌を増やして上げることです。方法としては、ヨーグルト、ヤクルトなどを飲むこと、その他そういう効能をうたった食品加工物も多いようですが、ちょっと分かりかねます。
 無論、タンパク質などの消化は、野菜や糖分に較べ、腐敗臭が強いですので、食生活も野菜中心の生活で、規則正しく、夜は食事後最低3時間は起きていることが大切。又、夜仕事をしているなど、昼夜が逆転した生活をしている方はそれだけで、腸の動きは悪くなります。ホステスさんの約7割は便秘を伴う便通異常がある、と言う報告もあります。
 朝起きがけに、冷たい水を一杯飲むのも効果的ですが、これがなかなか飲めません。1年に1回、3日間続けて水だけの生活をするのも、消化管にとってはとってもすばらしい休暇になります。心臓にお休みはあげれませんが、胃や腸には上げようと思えば、休暇をあげることができます。自分の体は神様より(別に神様でなくともよいのですが)の預かりものだと思えば、自然に感謝と、大切にしようと思う気持ちが湧いてくるものです。かなり宗教ぽっくなってしまいました。 
 なお、おならの臭さや、臭いの違いで、疾患を推定したり、特定することは不可能です。当然の事ながら、病気(大腸ガンや炎症などで)のために腸の動きが悪くなることはよくあることです。その結果、便に異常が出たり、オナラが増えたりします。不安なら検査をするしかありません。

6.抗ガン剤について

 手術の後、よく使われる抗ガン剤ですが、一部の癌を除いてはあまり効果はありません。無論、白血病など抗ガン剤が劇的効果をもたらす疾患もあるのですが、一般的に固形癌には効きが悪いようです。特に胃ガン、肺ガンは効果が薄く、その副作用との兼ね合いを考えると、わずかな延命の変わりに失う多くのもの(例えば、嘔吐。脱毛。食欲不振。全身倦怠。微熱。などなど)があり、私はあまり使いません。しかし、他に代わる物が無い現状では、それを避けるだけの勇気を医者の側も患者の側も持ち合わせていないのも事実です。何より、それにより残された貴重な時間を病院のベッドに縛り付けられるというのが、耐え難く思えます。家族と家庭で過ごしたり、旅行に出かけたり、もっと素晴らしい時間の使い方が山のようにあると感じます。ちょっと、異端の考え方かもしれませんが・・・。ケースバイケース、良く相談して、納得することが大切です。最近はオーダーメイド化学療法と呼ばれる抗ガン剤に対する感受性の高い方を選んで治療を選択する方法も生まれてきているので、新たな道が開けるかもしれません。

7.癌の血液検査について

 癌検診のために、血液検査が行われることがあります。大腸ではCEAがよく使われます。検査は感度(癌患者のうち、どれだけが陽性になるか)と特異性(癌でない方の検査が陰性に出る率)が問題になります。どちらも高い方がいいわけですが、CEAは感度が今一歩のようです。つまり、癌でも引っかからない場合が多いと言うことです。逆に陽性だと、何かある確率は高いわけですが・・。いずれにせよ、 血液検査は依然として、癌の診断の補助手段にすぎず、手軽にできる大きなフルイの検査だと理解して下さい。決め手にはなりません。無論、検査が陽性に出れば、精密検査は必要です。

8.癌になりやすい食事

 どこの本でも書かれていますが、現在のところ大腸ガンに最も因果関係が深いと言われているものは欧米型の食事。特に牛肉を主体とするタンパク質です。タンパク質の炭化したもの(要するに焼き肉および焼きすぎて焦げたもの)が現在分かっている最も発癌性の高い食物だそうです。詳細は他のホームページや本で調べて下さい。

9.癌になりにくい食事

 これも又、よく言われていることですが、繊維の多いものは良いようです。特にゴボウが良いという指摘もありますが、私は門外漢でよく分かりません。又、緑茶の発ガン抑制効果もかなり強いものだとのことです。お茶の産地、静岡ではガンの発生頻度が優位に低いという報告もあります。その他、緑黄色野菜、ビタミン類なども良いと言われています。その他、民間療法なるものの中には効果のあるものもあるようですが、私には特に推薦できるものはありませんので、各自の責任で試してみて下さい。なお、ポリープを抑制する方法は私は知りません。(無いとは言えないしーー)   
 これはあまり書きたくないのですが、たばこは大腸癌に関しては抑制的に働くようです。乳ガンにも同様です。それではたばこを吸えばいいかと言いますと、その他すべての癌の、特に肺ガン、胃ガンの発生が増えます。この二つは癌の中でも、現在癌死亡者の上位二つを占めています。お忘れなく・・。
 コーヒーも、ブラックの場合ですが、大腸癌を抑制します。但し、コーヒー豆からのもので、時間がたって酸化(にがくなる)したものはダメ。インスタントはダメ。

10.内視鏡的手術について

 ご質問が多いので、簡単に記しておきます。内視鏡手術はポリープのうち、いわゆる茎の部分が長いものが切除可能となるわけですが、(低い隆起のものは全体を切除するのは危険で、大腸壁は胃壁に較べてずっと薄く、穿孔する可能性も強いためあまり施行されません。それでも全身の状態が悪く、且つポリープの先端に癌があるポリープ癌の場合は内視鏡的粘膜切除を実施します。生理食塩水を壁に注射し、粘膜を癌巣と共に浮かせ、それを切除します。詳細は他のホームページをどうぞ)
 切除端は焼き切られる訳で、潰瘍となります。時に出血することも稀にあり、遅れて(1日から2日)起こることもあります。施設によっては数日入院して、出血の有無を確認するところもあります。現在では、切除後、クリップで挟む等の止血処置も行われ、かなり安全です。それから、時に切除が深すぎて、穿孔(腸に穴があいて、便が腸の外へ出てしまう)することも本当に稀にあります。緊急手術が行われます(穿孔性腹膜炎のため)。クリップはやがて自然脱落しますので、粘膜に傷を与えることなどはありません(そういう風に作ってあります)。

11.大腸ファイバーにつ
   いて

 これも多い質問ですが、「痛いか」とか「時間がかかるか」とか、いろいろありますが・・・。検査は一言で言って、胃カメラよりは患者さんに与える苦痛は大きいようです。しかし、喉の反射が強い方などは胃カメラもかなり辛いようですから、かえって大腸の検査の方が楽だったと言われる方もよくおいでます。
 ファイバーを盲腸端、すなわち大腸の一番奥まで(腸の順番から言えば大腸の始まりの部分ですが)挿入するのに、私の場合7,8分前後要します。簡単な方は5分ぐらいで到達する場合もあります。最近は半数くらいは5分以内です。早ければいいというものでもありませんが・・。年に一、二回30分近くかかることもあります。なぜ時間に差が出るかと言いますと、大きな要素は腸の走行の仕方です。大腸は直腸、その上にS字状結腸があるわけですが、このS字状結腸が実は、大抵の場合、一回転している、すなわちループを描いているわけです。そこを最終的には伸ばさないと(ループを解除するといいます)ファイバーを挿入できません。以前におなかの手術をしてあって、このループが癒着のために、どうしても伸びない場合はどんな熟練医がやっても、検査は無理です。その他、腸の緊張度(トーヌス)が落ちていて、だらんとした腸の場合(お年寄りに多い)も結構難しいです。まあ、誰がやっても難しいと言うケースもあるわけですが、それほど多くありません。50人に一人くらいでしょうか。その次に大切なのは施行医の腕です。実際にはこちらの方が問題かもしれません。しかし、医者の世界は情報開示が決定的に遅れていますので、アメリカとは違い、日本ではそういう選択はなかなか難しい物です。結局口コミでしょうか。一般的に県立病院の消化器内科(外科は下手なことが多い。やってる数が違うから・・)では必ず上手な先生が一人はいます。検査に要する時間、痛み、全く違いますし、そもそも検査が出来ないケース(盲腸端までファイバーを挿入できない)はほとんどありません。無論、癒着のためにループが解除できない場合はどうしようもありません。無理にすれば腸に穴があくか、出血します。
 最後に痛みの話ですが、これも先ほどの時間の問題と同様の要素で決定され、全く痛くない方から、途中で「やめてくれ」と言われる方まで千差万別。それに痛みの感覚そのものが主観的表現で、ちょっと痛くても「痛い」と言う人もあれば、じっと我慢強い方もおいでますから、客観的評価は結構難しいものです。大雑把に言えば、痛かった1/3、我慢できる程度だった1/3、全然痛くなかった1/3程度が、私の患者さんの場合です。検査の時に少し眠くなる注射を打ちますが、効き方も又千差万別ですね。完全に寝る1/3、うつらうつらで痛いと目が覚める1/3、ほとんど効かない(と本人がその時、または後で言う)です。まあ、やってみないと分かりませんが、下手な検査医では、どうやっても痛いということもあります。大学の研修医では発展途上ですから、仕方ありません。私もそうして育ちました・・・ごめんなさい。

12.手術について

 癌センターにリンクを貼ってありますので、すいませんがそちらで・・。そこまで手が回りません。それだけで二日ほど徹夜しなくてはいけませんし、多分個別の質問に対応し切れませんので、勘弁して下さい。正確且つ十分な情報がないと、アドバイスもただの無責任な戯言になってしまいます。主治医と相談されるのが一番です。
国立癌センタ-
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13.便潜血反応について

 大腸ガンの一次検査として、検診などでよく実施されています。進行大腸ガンの側から見ると、3回検査して1回でも陽性になる確率は90%を楽に越えます。すなわち、3回検査すれば、ほぼ進行ガンを見落とすことはないということになります。注意点は二つ。この検査は回数が少なくなるほど、正確さが減少します。例えば、1回しか検査しない場合、陽性となる確率は60〜70%迄落ちます。三分の一近くの見落としが出るわけです。だから、回数を増やすほど、正確なわけです。もう一つの注意点は、これはあくまで進行大腸ガンが出血を来す確率だということです。早期ガンはこれほど高率にチェックはできません。かつ、誤解が多いようなのですが、便潜血が陽性だった方の90%以上が大腸ガンだということでは決してないのです。お分かりでしょうか。あくまで、ガンの側から見ると、結構な確率で出血しますよ・・と言ってるわけです。出血した方のほとんどがガンだというわけでは全くありません。大雑把に言って、便潜血反応が陽性となった方で、ガンがその原因である確率は、食道ガン、胃ガン、大腸ガン(口から、肛門までのどの部分から出血しようが、当然便には血が混じります)など併せて、数%程度のものです。 原因のほとんどは、出血点不明、胃炎、胃潰瘍、歯茎からの出血、肛門付近からの出血(いぼ痔、切れ痔、直腸肛門炎)などによります。だから、便潜血がプラスだったからと、ショックを受けるのではなく、この機会にガンの精密検査を受けてみよう、という楽な気持ちで望まれるのが一番です。最後に一つ、結局のところ、出血が陽性となった場合、検査をするしか確かな答えは出しようがないということです。「大丈夫に決まってる」とか「どうせ、痔のせいだ」とか、良く外来で言われる方がいますが、無論そうかもしれませんし、そうでないかもしれません。答えは神のみぞ知る・・ということです。痔の他にガンがあった事が数年後に証明された例は枚挙にいとまがありません。要は自分の命の重さをどうはかるか、ということです。

14.組織検査(グループ分類)と
  癌の進行度(ステージ分類)
大腸ファイバーや胃カメラなどで、病変が見つかれば、その病変の組織を一部切除し(生検)、それを顕微鏡的に調べます。その結果、悪性度に応じて、グループ分類を行います。1〜5段階あるのですが、実際にはラテン語の数字を使います。一部の機種で文字化けしますので、ここでは1〜5とします。1が全く正常、すなわち癌化していないということになります。3が核の異型などの変化が見られるが、経過観察というところ。4以上を癌として扱います。ここで念を押しておきたいのですが、これは組織検査で癌かどうかを判断しているわけです、癌の進行度を決めているわけではありません。できたばかりの癌も、進行癌もすべて組織は当然4以上になります。よく「グループ分類で4と言われたが、とても進行しているのか」と質問されますが、それは癌かどうかを決めているにすぎないのです。
癌だという診断が付いた上で、今度はその進行度を決めます。たとえば、粘膜からどの深さまで達しているか(つまり壁のどの深さまで到達しているか)、リンパ節へ転移しているか、あるいは肺、肝臓などへの遠隔転移はあるか・・という話になります。そういう要素を検討して、ステージ分類が行われます。普通1〜4段階に分けられます。これもラテン数字が使われます。このステージで4の場合、まあ
かなり進んだということになりますが、グループ分類とステージ分類が混同され、まだ見つけたばかりの病変で3と言われた、4と言われたと騒ぐことになります。正しい知識を身につけて下さい。
およそ、ポリープ癌で、ステージが2を越えることは滅多にありません。大抵の場合、ポリープ癌では済まず、癌はポリープの形をとどめていません。もっと進んだザクロのような形だったり、潰れたイチジクの実のような外観です。従って、ポリープ癌が見つかった段階(無論病理結果が出ないと分かりませんが)で、命のやり取りを考えることはまず必要ないのです。100%ないかと言われると、それは責任を持てませんが、1%の可能性もないでしょう。癌が根元を越えていると、確かに内視鏡的切除だけでは済まず、腸の切除が必要とされるかもしれませんが、それでもステージ分類では1がほとんどです。癌全体から言うと、ラッキーと言えるかもしれません。

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