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放射能対策住宅レポート
 

遠藤知世吉・建築設計工房

2012年4/1(日) FOR座REST大学 での発表内容
はじめに

放射線の防護方法

放射能汚染の主要3核種

セシウム137,134

放射線

単位

日本の自然放射線量

放射能対策 その一、 放射線(γ線)を止める!

放射能対策 その二、放射線物質を取り込まない!

木造の放射能対策住宅 「ふくは家(うち)」 の提案


はじめに

2011311日の地震・津波にかかわる原発事故により放射性物質が広がる。周辺放射能影響地域での住まいを考えるとき、その対策検討をしない訳にはいかなく思います。
 そのため、放射性物質・放射線の特性を知り、その対策住宅はどのようなものかを考察します。





放射線の防護方法

外部被爆防護策

@線源(放射性物質)から距離をとる

   放射線量(γ線)は空気中では距離の2乗に反比例

   2倍離れれば1/410倍離れれば1/100

   1m1μSv/hならば、2m0.25μSv/h10m0.01μSv/h

A放射線を遮へいする(止める)

                                       資源エネルギー庁「原子力2010」より

B放射線にさらされる時間を少なくする


内部被爆をさける・・放射線物質を体内に入れない

@放射性物質を吸い込まない

A放射性物質のついた飲食物を摂取しない

B皮膚や粘膜、傷口から吸収しないようにする



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放射能汚染の主要3核種

 事故・原爆による主要放射性物質の放出量  (Wikipediaより)                                      単位は1015Bqです

                 チェルノブイリ事故  福島第一原発事故  広島原爆

@     ヨウ131 半減期8           1,760      160                 52

A     セシウム134 半減期2年      47                 18        

B     セシウム137 半減期30            85        15                  0.1

 事故から11ヶ月経過の現在、今後問題なのは主にセシウム134137です。



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セシウム137、134

 セシウム137(137Cs)は核分裂によって生じ、セシウム134(134Cs)は原子炉内の燃料から生まれる。よって核爆弾からはセシウム134が生じない。福島第一原発事故では、ほぼ137Cs : 134Cs ≒ 1 : 1の割合で放出された。
 セシウムは銀色のやわらかい金属、28℃で液体化、671℃で気体化する。セシウム137はセシウムの放射性同位体(構造が不安定で時間とともに放射性崩壊していく核種)で質量数(原子核を構成する陽子と中性子を合わせた数)が137ある。
 水に溶けやすく、陽イオンとしてふるまい、土はマイナスの手を持っているので引き付けられる。土から水に溶けるセシウム137の量は時間と共に減っていく。
 137Cs、134Csともβ線とγ線を放出する。


 セシウム134と137の2011年4月からの経過年数の放射線の強さ  (除染をせず、放射性セシウムの移動がない場合)
学習院大学 田崎晴明教授計算より
 セシウム134と137の放射線量は3年で半分になるとの事です。


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放射線

●アルファ(α)線

 物質にあたると強い相互作用し紙1枚で止まる。空気中では数cmで減退。一方体内では近くの細胞にダメージをあたえる。トリウム232やウラン238、ラジウム・ラドンから放出。

●ベータ(β)線

 数mmのアルミ板で止まり、空気中でも数十cmで減退。外部被爆しても皮膚で減退。内部被爆に注意。セシウム137や134、ヨウ素131から放出。

●ガンマ(γ)線

 波長の短いエネルギーの高い光の仲間の電磁波。あまり物質と相互作用はせず遠くまで飛ぶ。しかし距離の2乗に反比例し弱くなり、2倍離れれば1/4、10倍離れれば1/100となる。外部被爆において注意。セシウム137や134、ヨウ素131から放出。

                                  放射線保護方法参照
 
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単位

●ベクレル(Bq)

 放射性物質の放射能の強さを表す単位。
地面にどれくらい放射性物質があるか、食品にどのくらい放射性物質がまざっているか等の時に使う。
100Bq/kgは100ベクトル/キログラムであり、1Kgあたり放射線を1秒間に100回だす放射性物質が含まれるということです。

●シーベルト(Sv)

 放射性被ばくによる人体影響程度を示す指標。被ばく線量の単位。
1μSv/hは1マイクロシーベルト/時間と読み、1時間あたりの被ばく線量を表す。
  • 1ミリシーベルト(mSv)は1シーベルトの1000分の1
  • 1マイクロシーベルト(μSv)は1ミリシーベルトの1000分の1

●グレイ(Gy)

 物があびた放射線量を表す単位。β線、γ線の場合シーベルトと同じになる。1μGy/h =1μSv/h

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日本の自然放射線量
 原発事故前の自然放射線量
●日本アイソトープ協会提示の日本平均被ばく量 4.4mSv/年
                            自然放射線2.15mSv/年、医療被ばく2.25mSv/年
                    (自然放射線は 食物0.97、吸入0.49、大地0.37、宇宙0.32mSv/年)

●文部科学省提示の日本平均被ばく量      3.75mSv/年
                            自然放射線1.48mSv/年、医療被ばく2.25mSv/年、
                            その他0.02mSv/年

                    (自然放射線は 食物0.22、吸入0.59、大地0.38、宇宙0.29mSv/年)

         世界の平均被ばく量     3.01mSv/年
                            自然放射線2.4mSv/年、医療被ばく0.6mSv/年、
                            その他0.01mSv/年

日本自然放射線量・日本地質学会より
 西日本は花崗岩が多いので自然放射線量が高く、東日本は玄武岩が多い。
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放射能対策 その一、 放射線(γ線)を止める!

1. 敷地及びその周辺の調査・研究
     敷地境界線から10m程度の状況を把握し計画に反映させる
            ⇒空気中では線量が10mで1/100となるため

2. 敷地内の除染をしっかり行う
     敷地内放射性物質を取り除き(又は地中に埋める)、敷地外からの放射線対策に絞り込む

3. 外構で遮断する
     コンクリート塀や物置等で遮断する

4. 重い材料は放射線を止める(屋根・外壁)
     しかし重い材料は地震に対して不利であり総合的な構造の検討が必要

5. 窓の大きさや位置に注意・・窓は放射線を止めない
     @周辺状況を考慮し高窓や地窓により採光・通風をしながら放射線を止める
     A南側窓部一部にコンクリート等で蓄熱壁にもできる防護壁を設ける
       ※蓄熱壁は採光やストーブの温度を蓄熱させ夜間に放熱させる(パッシブソーラー)
     B内部物干しや慣用植物等のためのサンルームの設置
     C境界近くの窓は小さめにする

6. 放射性物質から離れる
     放射線は距離の2倍に反比例して弱くなる
     2m離れれば1/4、3mで1/9、4mで1/16・・・・、10mで1/100となる

7. 平屋は放射線対策がしやすい
     コンクリート塀等により遮断しやすいため

8. コンクリート住宅は放射線量が低い
     独自放射線量測定結果では、木造住宅内部で屋外線量の1/2〜1/4程度、
     コンクリート住宅内部で屋外線量の1/6〜1/10程度になる。

断面図拡大

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放射能対策 その二、 放射能物質を取り込まない!

1.  屋内に入れない
  @外で使ったものを屋内に入れない → 風除室、外部収納、玄関収納の充実
  A外でよく洗う
  B食品庫確保(非常食の備蓄)
  Cサンルーム設置(屋内物干・植物栽培)
  D風の強い日は窓を開けない
2. 体内に入れない  ← 生活面で気をつける
  @吸わない
  A食べない
  B触れない
3. 安全に遊べる土地(場所)をつくる


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木造の放射能対策住宅「ふくは家(うち)」
 わたしたちがわたしたちであるための家とはどんなものだろう。たとえば福島に住みたいと考えたとき、放射能対策を検討しないわけにはいかないと思いました。放射性物質・放射線の特性を知ったうえで、それへの対策をおこないながらも自由に楽しく住む。豊かな空間を手に入れる。そして震災で学んだ家族や地域のつながりを計画にこめました。
基本コンセプト

 ・・・子供を安心して遊ばせれる
中庭空間を持つコートハウス・・・

 @放射能対策は
敷地とその周辺の調査研究が重要です。

 A
敷地内の除染をしっかり行い、敷地外からの放射線対策に絞ります。

 B放射線対策がしやすい平屋としました。

 C.建物で遮断した
中庭をつくり安心して遊べる場とします。    
 
 D中庭中心に家族の気配が感じられる一体感のある気持ちよい空間を目指す。


 Eコンクリート塀や物置等で
放射線を止め、開口部は放射性物質から離した位置に設ける。

 F窓の大きさ・位置に注意する。そして外壁材は重い材料を選定。


 G外部との遮断による閉鎖性を補うため
3方向アプローチ⇒ 地域との絆に考慮

 H屋内菜園等のための
サンルームや屋内物干し空間設置。

 I本計画は
木造ですが高放射線量地域は外壁はコンクリート造とすべきです。

          ふくは家平面図拡大
ふくは家断面図拡大
     ふくは家立面図拡大
ふくは家パース拡大

住居面積35坪のプランもつくりました。問い合わせ下さい     ・・・つづく


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