4月3日 Foret de Rambouillet (40km west of Paris)
有給休暇が溜まっているので、平日ながら、好天を見計らって森に出撃。モンフォール・ラモリー村の眺め
先の土曜日に見つけた、ランブイエの森の中の材置き場
このブナの太い朽ち木が気になっていたのである
ところが、出てくるのは既知種ばかり。これは、エグリゴミダマの近縁種(Uloma sp.)
アカコメツキの一種(Ampedus cinnabarinusか?)
結局この朽ち木はパラレリ(Dorcus parallelipipedus)だらけで、やはりイッカクはいなかった
これもパラレリ♂。羽化したての色をしている
同じ朽ち木の中の、腐朽が進んだ場所に潜んでいたオサムシ(Carabus problematicus)
センチコガネがいつものように闊歩している。日差しの中では飛翔している個体も見かけた
成果に乏しいまま、車に戻る。ヤマキチョウがヒラヒラと飛んでるのを見かけた
途中で馬糞を枝で突っつくと、マグソコガネ(Aphodius prodromus)が出てくる
さらに、今日もエンマコガネ(Onthophagus opacicollis)が1頭だけ見つかった
赤いマグソコガネが見つかる。初採集種。ところが、同定がとても難しい(Aphodius satellatus ??)
ブナとナラの巨木が生えている場所に移動。狙いはコルリクワガタ(Platycerus caraboides)の材採集
こんなに産卵痕がはっきりしていると、幼虫地獄となる。成虫を出すのはなかなか容易でない
遂に、♀成虫を割り出す
そして、小柄な♂成虫
イノシシ?の糞の下に穴が開いていたので、掘ってみると、センチコガネが穴の奥で食事中だった
帰路の途中の村の役場。どこも村役場はそれなりに立派だ
いつも通る材置き場では、さすがにまだ季節が早いのか、虫の影はなかった
4月6日 Foret de Marly (20km west of Paris)
せっかくの4月最初の日曜日なのに、朝の予報では、天気が悪く最高気温が6度しかない
それでも雨が降る前にと午前中にマルリの森へ出かける。そろそろコルリ材採集の最後のチャンスだろう
寒い中、スミレが可憐な花を咲かせている
森も冬枯れから次第に新緑の景色へ変わり始めていた
森の中では、こんな野草がひっそりと咲いている
野ウサギの糞にセンチコガネ(Geotrupes sp.)がいたが、寒くて動けないでいた
鹿の糞を引っくり返すと、やはりセンチコガネ(Anoplotrupes stercorosus)が見つかるが、動きは鈍い
朽ち木の下に、黒い大型のゴミムシが潜んでいた
上と下とでは種が違うようだ(上:Abax parallelipipedus、下:Pterostichus niger)
コルリは幼虫しか見られないので、場所を変えてみる。天気は案外と良く幸い気温も上がってきた。画像はブナの芽
丸い脱出孔が見られたクリの材を割ると、ハイイロハナカミキリの一種(Rhagium bifasciatum)の新成虫が出てきた
コルリクワガタは見つかっても幼虫ばかりである。もう成虫は脱出し始めているのかもしれない
ようやくコルリ♂(Platycerus caraboides)が見つかる。冬場とは違い、割り出した途端に素速く動き始める
コルリ材を割っていると、ふとセンチコガネが歩いているのが見えた。よく見ると黒いし、それに・・・
前方に突き出た三本の角! ミツカドセンチ(Typhoeus typhoeus)だ
何と3年ぶりの出会いである。自分のところへ歩いてきてくれるなんて、何てラッキー!
日差しが出て気温も少し上がっているので、先刻見つけた鹿糞を確認しに戻ろう
ナナホシテントウ(Coccinella septempunctata)も葉の上に出てきて日向ぼっこしている
鹿糞には・・・、うーん、やはりいつものセンチコガネが数頭来ているだけだった
上と下とでは同じセンチでも種が違うのだろう・・・
センチコガネとミツカドセンチコガネを並べて撮影
帰路の途中の風景。今日はパリ・マラソンが催されていた関係で、パリ市内に入るのに時間がかかった
4月11日 Bois de Boulogne (Paris)
ブローニュの森を昼休みに散策。晴れてはいるが、まだ空気は冷たい
甲虫が活動している気配はまだ感じられない。かろうじて、ナミテントウ
ブローニュの森ではめずらしく馬糞が落ちていたので、よく見てみると、いつものマグソコガネ(Aphodius protromus)
これも馬糞の中にいた。ガムシの一種だろうか(同定はいずれ)
キランソウ似の野草が、オオイヌノフグリやヒメオドリコソウと競うようにあちらこちらで花を咲かせている
犬の糞ではなかなか見つからなかったが、最後の最後でビンゴ。前胸が赤銅色のエンマコガネ(Onthophagus coenobita)♀
そして、これは角の生えた♂
小さな黒いマグソコガネ(Aphodius? sp.)を初採集
キマダラヒカゲと雰囲気の似たヒカゲチョウ(Pararge aegeria)も今年初見参。ごくゆっくりと春が進んでいる
4月12日 Foret de Marly (20km west of Paris)
午後遅くに晴れたので、急遽近場のマルリの森に出撃。新緑がだいぶ増えてきた
この材置き場のチェックが主目的だったのだが、まだ気温が低いためか、虫の影はない
日当たりの良い場所のブナの幼木は、もう新芽が開き始めている
それではと、コルリクワガタを探してみるものの、見つかるのは小さなゾウムシだけ。こんなのとか
こんなの
コルリは間違いなくいるはずなのだけど、成虫はどこに潜んでいるのか
ブナの大木の樹冠部分は、まだ新芽は固そうである
森の中のこんな朽ち木を引っくり返してみると・・・
青緑色にキラっと光るものが
コルリ♂(Platycerus caraboides)だった。蛹室が崩れて出てきたのか、一度脱出した後に潜ったのか
同じ材から♂がもう一頭。コルリは未だ活動を始めていない、ということであろう
ついでに、アカコメツキの一種(Ampedus quercicola)を採集
林縁には、(セイヨウ)タンポポが咲き乱れている
4月13日 Foret de Rambouillet (40km west of Paris)
森の途中の村の風景。晴れ間が出ていたのだけれど、この後すぐに雨が降り出す
森の中で車を停め、ちょっと昼寝。雨は上がったが、気温は低く、新鮮な糞も見つからない
何だか採集にならない。この後、さらに土砂降りに
結局、いつものマグソコガネ(Aphodius protromus)1頭。本格的な春はいつ来るのだろう
4月15日 Bois de Boulogne (Paris)
午後は晴れたが最高気温は11度ほどとまだまだ空気は冷たい。それでもブローニュの森の緑は日々厚みを増している
春の妖精、クモマツマキチョウ(Anthocharis cardamines)♂が飛んできたので、咄嗟に撮影。やはり、ボケボケ
犬の糞からエンマコガネ(Onthophagus coenobita)♂を採集
4月16日 Bois de Boulogne (Paris)
今日も良く晴れている。しかし、最高気温は予報によれば12度にしか上がらない
ブローニュの森は春の装いになってきているのだが・・・
出会える甲虫の数は少ない。テントウムシでさえ見かけたのはこのナミテントウ1頭のみ
ところが、森の道でハナムグリの死骸を見つけた。もう活動を開始しているということか
白けた画像になってしまったが、クモマツマキチョウの♀と思われる。かくも普通種なのである
今日も結局は犬の糞頼り。黒い小さなエンマコガネ4頭(Onthophagus joannae ?)。生態画像はちょっと載せられない・・・
4月17日 Bois de Boulogne (Paris)
毎年4月17日の定点観測写真。昨年と比べると(同日の画像日誌参照)明らかに春の進行は遅いが、一昨年比ではそうでもない
おそらくフタホシテントウ(Adalia bipunctata)であろう。こんな斑紋パターンを見るのは初めてかもしれない
最高気温は14度とあったが、風が強く肌寒い日だった。結局この日も糞虫採集で、昨日の黒いエンマ(Onthophagus joannae ?)を追加できた
3mmほどの体長の黒いマグソコガネ(Aphodius sp. ?)
その別種と思われる(後日談:同種でした)、やはり同じような小ささのマグソコガネ(Aphodius sp. ?)
4月20日 Foret de Rambouillet (40km west of Paris)
昨日の土曜は午後になって気温が上がったのに、採集に出るべき日曜は、また曇天で気温が低い
しかも、目的地の森に着いた途端、雨が本降りになってしまった
雨が降る中では、馬糞にセンチさえ見られない。でも、なかなかのハネカクシ(Platydracus chalcocephalus)を採集
広大な森の中を車で移動するうちに、雨が上がる。コルリの産卵痕が見慣れない形で並んでいるが、斧は手に持っていない
歩行性のハムシ(Timarcha goettingensis)♀。越冬個体であろう、左後脚のフ節が欠けていて歩きにくそうだった
馬糞を引っくり返すと、上翅に縦スジのないセンチコガネ(Trypocopris vernalis)
そして、赤いマグソコガネ(Aphodius sp.)に再会。数が少ない種なのであろう、やはり1頭だけしか見つからなかった
ふと目に付いたシラカバの太い落ち枝を起こしてみると、見慣れないヒサゴ型のゴミムシ(Molops piceus)が見つかった
名も知らない野草の花に付く、オレンジ色のマルハナバチ
今日もネジロカミキリ近縁種は見つからず。そのポイントにいた、ツヤハダコメツキの一種(Athous haemorrhoidalis)
先日新たに見つけた材置き場を見回ってみる。ちょうど日も差してくれたのだが、残念ながら甲虫が飛んでいる気配は全くない
その近くに気になる材があったので、斧を取り出して少し割ってみるも、パラレリ新成虫が出るくらいだったので割るのを止めた
今年は春の進行が去年よりうんと遅く、菜の花畑はまだ八分咲きくらい。曇天下で冴えない画像となった
センチコガネ(Geotrupes sp.)だけは、このくらいの気温なら相変わらず活動中
これも今シーズン期待の、森のど真ん中の材置き場だが、まだ甲虫は何も見られなかった
ブナの生えている場所へ向かう。新芽は、ブナの若木でところどころ見られるくらいで、まだまだの様相だった
ブナの若葉に付いている甲虫は、小さなゾウムシ(同定はいずれ)くらい
ブナの大木は、新芽を吹くにはまだ時間がかかりそうな感じである
4月21日 Bois de Boulogne (Paris)
昼休みの散策。気温は相変わらず今ひとつながら、緑がだいぶ増えてきた
しかし、テントウムシさえあまり見つからない。画像はナミテントウ
そこで、マンネリ気味ながら、糞虫採集。このエンマコガネ(Onthophagus coenobita)はいくつでも採っておきたい
黒い小さなエンマコガネ(Onthophagus joannae ?)は、本気で探せば数を採れそうだ
これは3mmほどの小さなマグソコガネ(Aphodius sp.)で展足が大変なのだが、見かけるとつい採集してしまう
それより大きめ(5mm)で黒くツヤのあるマグソコガネ(Aphodius sp.)が見つかった。上の種とは別種に思える
4月22日 Bois de Boulogne (Paris)
今日は最高気温が18℃まで上がる予報。雨さえ降らなければ期待できる。通勤途中の公園にて
昼休みを遅めに取ってブローニュの森を散策すると、確かに気温がいつもより高いのを感じる
シジミチョウの一種(Celastrina argiolus)。他に、いくつかのクモマツマキチョウや、クジャクチョウを見かけた
微小な甲虫(ハナノミ(ダマシ)の一種)が花に集まっている。どうやら虫たちが活動を本格的に始めたらしい
ヒゲボソゾウムシの一種(Phyllobius sp.)も顔を出していた
いつものように、黒くて小さなエンマコガネ(Onthophagus joannae ?)を採る。一つだけ小さな個体がいるが、同じ種なのだろうか
そして、キクスイカミキリ近縁種(Phytoecia cylindrica)が活動を始めているのを発見!
ようやく採集シーズンの開幕、という感じである
4月24日 Bois de Boulogne (Paris)
少し遅めに取った昼休み、日差しが出て暖かだった
これぞという糞を突付く前に、大きめのエンマコガネが飛んできた(おそらく、Onthophagus vacca)
同じ糞で見つけた、エンマムシの一種(Hister inaequalis ?)。初採集である
花に付いていた、アオカメムシ
同じ花で見つけた、春先の代表的な甲虫であるアカハネムシの一種(Pyrochroa serraticornis)
ブナの新芽が既に開ききって若葉となっている
シジミチョウ(Celastrina argiolus)が青い上翅を見せながらヒラヒラ飛んでいた。止まると下翅が白っぽい
小さな甲虫であるキスイモドキ(Byturus tomentosus ?)も顔を出している
ホクチチビハナカミキリ(Alosterna tabacicolor)も既に活動を始めていた
オシドリカモの母子・・・
4月25日 Foret de Rambouillet (40km west of Paris)
今日は好天、午後に半休を取ってランブイエの森へ出撃。菜の花畑が見ごろを迎えている
森の道端のタンポポに付くヤマキチョウ(Gonepteryx rhamni)。これも春らしい光景
スミレもひっそりとながら至る所で花を咲かせている
日当たりの良い、乾いた林道。そろそろあの虫が見られる頃だろうから、お散歩ネットを持って歩こう
ほらね、緑色のハンミョウ(Cicindela campestris)
これは白い斑紋が消失しているタイプ
そしてこっちは白い斑紋の形が変わっているタイプ
いつもと歩く道を変えてみると、材置き場が見つかった
当地の春のカミキリの代表とも言える、小さな赤いカミキリ(Pyrrhidium sanguineum)がお目見え
場所を変えて、馬糞が落ちている林道へ
小さなマグソコガネやエンマコガネがごちゃごちゃ
前胸の赤銅色が綺麗な、チェノビータ・エンマコガネ(Onthophagus coenobita)♂
また別の材置き場へ。先週よりも材が減っていた。今にすべて片付けられてしまうかもしれない
赤いカミキリがここでもいくつか飛来した
犬の○から、チェノビータ・エンマコガネの♀を追加(左側)
懸案のカミキリを探しに池のほとりのヤナギ林に行ってみたが、未だ早過ぎるのか、場所が悪いのか・・・
クモマツマキチョウ(Anthocharis cardamines)の♀が休んでいた。クモツキは夕方の方が写真を撮り易い
さらに、多くのブナが生えている場所へ移動。新芽の様子を見たが、コルリはおろか甲虫は何も見られない
何も飛んでいない・・・。パリ周辺ではコルリが新芽に集まるということはないのかもしれない
という訳で、後半戦はボーズ。この城館は個人の持ち物なのだろうか? 背伸びして撮ったので、やや斜めになってしまった
帰路の道沿いに、より濃密な菜の花畑が広がっていた
4月26日 Bois de Boulogne (Paris)
今日も好天で気温も上がったが、家族の用事で採集に出られず。夕方、ブローニュの森の外縁に立ち寄ると、クモツキ♂が飛んできて・・・
♀との交尾が始まった。クモツキ(クモマツマキチョウ)は夕方になると活動が鈍るので、撮影しやすくなるのである
4月27日 Foret de Fontainebleau (50km south of Paris)
曇り空の予報ながら、久しぶりにフォンテーヌブローの森へ。予報は外れて好天だった
まずはクモマツマキチョウがお出迎え
瑞々しい新緑のブナの森
このところの好天続きのためか、多くのブナの木は若葉が随分と開いている
鹿の糞に来ていた、上翅に縦スジのないセンチコガネ(Trypocopris vernalis)
森の中の倒木などによってできた空間(ギャップ)で、飛翔している虫を狙う
見上げると、ブナの大木の梢。コルリクワガタは飛んでいるのだろうか。何も見えない・・・
飛翔中の甲虫を捕虫網でキャッチすると、春先に見られるカミキリムシ(Cortodera humeralis)♂
そして、今度は♀をキャッチ
コメツキらしき飛翔個体をキャッチすると、なんと・・・
トラフコメツキ近縁種のコメツキだ(Selatosomus cruciatus)。勝手な和名は、ムネアカジュウジコメツキ・・・
ギャップで太い倒木に腰を掛けてじっと待っていると、その後も次々に飛来する。5頭も採集できて、満足
ふと大きな甲虫が飛び立ち、追いかけてみると、ハイイロハナカミキリの一種(Rhagium sycophanta)だった(ちょっとピンボケ)
次いで、ゴマフカミキリ(Mesosa nebulosa)。何頭も材採集したが、活動中の成虫を見たのはこれが初めて
この濃い紫色のコメツキ(同定に苦慮中)は、この時期にブナの森でよく見かける
小さな甲虫をネット・インすると、アリモドキカッコウムシ(Thanasimus formicarius)
ブナの幼木の新芽に潜り込んでいる甲虫を見つけたが、コルリではなく、クチキムシの一種(同定はいずれ)だった
それでは本格的にコルリの新芽採集にチャレンジしよう。なんと、これで4年目、最後の挑戦である
自分として最もコルリが濃いポイントと思う場所へ、足を踏み入れていく。今年はいつもとは逆方向から攻めてみる
昨年はコフキコガネが4月から異常に大発生していたが、今日は1頭も見ない。これは昨年の残骸か
林の中のギャップで荷物を降ろし、ふと見上げると・・・、何と、新芽に青いコルリクワガタが付いている!!
枝を手で下に降ろして、上から写真を一枚・・・
元に戻して、また一枚。焦点を合わせるのが難しかったが、何はともあれカメラの届く範囲で見られて良かった
首が痛くなるまで見上げ続けると、なるほど、コルリが時折飛んできているようである
他に新芽についていた個体を採集した後、新芽に向かって飛翔中の個体をネット・イン
狙いは、林の中のギャップにある小さなブナに残っている新芽である
またもや飛んできた個体をネット・イン。採れるのは、♂ばかりだ
こうして遂に、念願のヨーロッパコルリ(Platycerus caraboides)の新芽採集ができたのであった
最後に、飛翔中のやや太った虫をネット・インすると、コルリ♀だった。これで12♂♂1♀を採集
満腹感が出てきたので、渋滞が始まる前に帰ろう
途中でバルビゾン村に寄って、飲み物を。好天の下、多くの観光客で賑わっている様子だった