1月1日
新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。(画像は2007年11月13日撮影)
パリでの生活も、残り半年となりました。帰国準備もあり、今年はどれくらい採集に出られるでしょうか・・・。(画像は2007年12月25日撮影)
1月3日 Paris 9e/Bois de Boulogne
仕事を休んで、古式ゆかしいビストロで妻とランチ。活気があって安いことで有名な店で、すごい混みようだった
その後、こんな下町風のアーケードを歩いていると・・・
一風変わった古物商のウィンドウに、こんな標本箱が。さて、バラ売りしているのだろうか
夕方近くにブローニュの森を少しだけ散策。遠くに見える女性は、もちろん娼婦である
今年の初採集は、やはりと言うべきか、パラレリの♀だった。まあ、こんなものだろう
1月5日 Foret de Rambouillet (40km west of Paris)/a la maison
未明の風雨が止み、天気が回復しそうだったので、朝のうちだけランブイエの森へ
ランブイエの森はナラの木が中心だが、太いブナが集まっている場所があり、年末に初めてコルリの♀を採った。今日の狙いは♂
小一時間の探索の後、遂にメタリックな輝きに遭遇。薄い緑色だったのでまた♀かと思ったが・・・
♂であった。これほど薄い(緑)色のヨーロッパコルリ(Platycerus caraboides)♂は初採集かもしれない
次いで、また♂。こんどは青みがかっているが、濃紺ではない。この画像では光の反射で実物より輝いて見えている
日陰での色はこんな感じ
11時までの帰宅を約束していたので、これで切り上げ。画像はナラとブナの混交林(右から二本目がブナ)
最後に少しだけ苔捲りをしてオサムシを探してみたが、キンナガゴミムシ(Pterostichus cupreus)しか見つからなかった(画像中央)
帰路の途中で、久しぶりに牛の牧場を撮影
帰宅後、材箱を開けてみると、一週間前に入れた材からもうゴマフカミキリ(Mesosa nebulosa)が出てきていた
1月6日 Foret de Crecy (30km east of Paris)
快晴の穏やかな日だったので、ドライブ。30km郊外のショッピング街で妻を降ろし、近くの森へ
初めての森で勝手が分からないが、とりあえず突入。シラカンバ、ナラ、クリなどを中心とする混成林のようだ
今日の目標は、オサムシ採集。普通種でいいから、初めての森で採ってみたい。目に付いた太い朽ち木を叩いてみると、
出てきたのは、パラレリ♀(Dorcus parallelipipedus)・・・
朽ち木がダメなら、太い倒木の根元部分にできた苔の崖を崩してみる
首尾よくオサムシが出てくれた。あらら、光量が足りず、とんだピンボケである
青色系かと思ったが、日差しの中では淡い紫色を帯びている。いつもの Carabus problematicus に似ているが、どうも違うような・・・
その後は追加が出ない。朽ち木の中には小さな黒いヒラタシデムシ(Phosphuga atrata)が丸まっている
シラカンバの倒木の下を覗いてみると、ファイヤー・サラマンダーがいた。これで3度目の遭遇だが、この色にいつも驚かされる
苔の下にクマバチが冬眠していた
一頭目から1時間以上経って、ようやく二頭目を見つけた
うーん、やはりいつも見るオサムシとは違う気がするが、どうなのか・・・
そして、ほどなく三頭目。どれも見つけた瞬間は、日陰のせいか青色を帯びて見える
三頭とも同一種で、たまたま♂ばかりのようだ
さて、妻から携帯電話で呼ばれているので、迎えに行かなければ。1時間くらいのつもりが、いつのまにか1時間半を過ぎてしまった
帰宅後水洗いして調べてみると、Carabus nemoralis という種のようであった。普通種のようだが、嬉しい初採集である
1月12日 Foret de Rambouillet (40km west of Paris)
暖かく天気の良い土曜日の朝。こんな日はフィールドに出ない手はないだろう
昨年ジャコウカミキリが採れたヤナギが群生する湿地ポイント。狙いは、エゾカミキリの生息痕の発見とアカガネオサムシ
ところが、ほど良く朽ちた材は少ない。細い材には越冬中のゴミムシばかり
ふと、苔むしてボロボロの材の中から、オサムシが2種2頭(C. priblematicus & C. auronitens)
そして、同じ材の別の場所から、また別の種が1頭(C. nemoralis)
結局、何と同一材からオサムシ3種3頭。めずらしいことではないだろうか。残念ながら左の個体は傷つけてしまった
さらに、ある小さなゴミムシに初めて出会った・・・
湿地帯に生息するハンミョウモドキの一種(Elaphrus cupreus)である。宝石を散りばめたような上翅が特徴的だ
2時間近く散策したが、エゾカミキリの生息痕は見つからず。大きなカミキリなので大きな脱出孔の材があるはずだが、見つからない
その後、オサムシを1頭追加(C. nemoralis)。先週末に初採集した種なのに、立て続けに出会ったことになる
初めて冬場の湿地帯で採集を試みたが、なかなか面白かった
1月13日 A la maison
昨日採集したゴミムシたち。ゴミムシは本気になって集めているわけではないのだが・・・
1月17日 A la maison
今日も材箱の蓋にゴマフカミキリ(Mesosa nebulosa)がへばりついていた。野外採集は難しいのに、材採集はかくも容易なカミキリである
1月19日 Paris 5e
久しぶりに、店主となじみの標本店に寄ってみる
フランス産甲虫でミヤマクワガタ以外に唯一店の在庫にあった、美しいカタビロオサムシ(Calosoma sycophanta)を購入
1月20日 Foret de Rambouillet (40km west of Paris)
朝のうちの短時間、先週訪れた湿地帯を再訪。今日は先週入り込めなかった場所を目指すべく、長靴を用意したのだが・・・
なんと増水していて、先週は水のなかった場所まで水に浸されていた。これでは長靴でも奥まで入り込みにくい
ヤナギの朽ちた切り株から、上翅の中央に黒い紋があるアカコメツキの一種(Ampedus sanguinolentus)が出てきた
本種は湿地帯でしか出会えないアカコメツキで、久しぶりの出会いである。3頭ほど採集
その他は、ミズギワゴミムシの一種?(同定はいずれ)などしか見つからない。ハンミョウモドキはそう簡単に追加できるものではなさそうだ
時間切れ寸前に、コガネオサムシ(Carabus auronitens)が見つかる。今や自分にとってオサムシの中で最も普通種である
狙いのアカガネオサムシやハンミョウモドキは得られなかった。そうそう思い通りに行くものではない
1月21日 A la maison
昨日採集したゴミムシたちに小さなガムシが混じっていた。ヒメセマルガムシ(Coelostoma orbiculare)といって、日本にもいる種らしい
1月26日 Foret de Rambouillet (40km west of Paris)
晴れるとの予報を見て出かけてみたが、ランブイエの森は霧が出ていた
今日も湿地を中心に攻めつつ、これまで訪れたことにない場所を開拓する
シラカンバのボロボロの赤腐れ材に潜んでいたオサムシ(Carabus problematicus)
マツ林があったので切り株の樹皮を捲ってみるが、ハイイロハナカミキリ(Rhagium inquisitor)の幼虫しか見つからなかった
ある大きな池のほとりに、なかなか雰囲気のあるヤナギの群生地を発見。盛夏にはジャコウカミキリが見られそうだ
その中で見つけた、半枯れのヤナギの根元近くの大きく丸い脱出孔。探しているエゾカミキリのものだろうか・・・
結局、たいした成果もなく(採集できたのはオサムシ1頭のみ)、探索終了