7月2日 Annecy, Haute-Savoie県
フランス最後の休暇で甲虫採集の旅へ。まずはパリから550km車で飛ばして、アルプスに近い湖の街アヌシーへ
いつもながら赤と紺の縞が鮮やかなカッコウムシ(Trichodes alvearius)
キソコマベニという和名が付いているハナカミキリの♀(Stenurella melanura)
このあたりは標高800mほど
しかし、このトラカミキリ(Clytus arietis)を含め、これまで見た種はどれもパリ周辺で見られる種と同じようだ
これもそう。ヤツボシハナカミキリ近縁種(Leptura maculata)
ようやく山地性のカミキリに出会う。四つ星のパキタ(カタビロハナカミキリ)(Pachyta quadrimaculata)
天気も景色も上々だが、カミキリを探すには花が少ない
標高を1000m以上に上げてみる
ああ、いたいた。これも山地性の、オトメクビアカハナカミキリ近縁種(Carilia virginea)
ツヤケシハナカミキリ近縁の仲間だが、おそらく山地性の種(Anastrangalia sanguinolenta)だろう
見られるチョウも多くない。タテハチョウの擦れ個体(未同定)
標高1000mを超すと針葉樹が多く出現し、1200〜1300mあたりで純粋な針葉樹帯となる
倒木の上を這っていた、ハイイロハナカミキリ(Rhagium inquisitor)
時間も遅くなってきたので、宿探しのために再び下る。広葉樹の幼木の葉の上にドロノキハムシ(Chrysomela populi)
また湖が見えてきた
山腹のペンションのような宿に泊まることにし、夕食を取りにアヌシーの町に下りる
川沿いのレストラン街。あと2週間もすれば、観光客で満杯となることだろう
本日の採集個体その1
その2
7月3日 Annecy 〜 Albertville 〜 Italy 〜 Briancon (Haute-Savoie県 & Italy国境沿い)
宿の朝の様子。あいにく天気がすぐれないようだ
宿の入り口近く。案山子が客を迎えている
昨晩仕掛けたトラップの回収へ。紙コップには小さなケシキスイ(Glischrochilus quadriguttatus)が落ちていただけ
雨が降り出したので、移動を続けよう。今日は山間を南下していく予定
欧州らしい風景
冬季オリンピックが開かれたアルベールビルの町で昼食。どうということのない町だった
相変わらず、雨。高速道路からイタリアとの国境沿いのアルプスの山々を望む
移動の都合でいったんイタリア側に入ると、日差しが出ていた
このトラカミキリは、パリ周辺で見られるものとは別種のようだ。とすれば、初採集(Clytus lama)
材置き場で何故か瀕死の状況だった、大きなハナカミキリ(Oxymirus cursor ?)
色鮮やかな蛾
クビアカハナカミキリに似ているがヒナルリハナカミキリと同属のカミキリムシ(Dinoptera collaris)
道路沿いの草むらを花を覗きに歩いていると、白い縁取りのヒラタシデムシを見つけた(未同定)。初採集
再びフランス側へ入るための峠越えの道から見た山々。また厚い雲が張り出してきた
ジョウカイモドキの仲間(Dasytes niger)。南フランスでは平地で見られたが、標高1500mの場所でも見られるとは
標高をさらに上げると、わずかに花で見られた甲虫(Dascillus cervinus)。日本にはいない科に属している
イタリアとフランスの国境付近。標高は1700mほど
フランス側に入って下っていく。道端の花にハナムグリ(未同定)
谷川と、セリ科の花々。天気が悪く気温も低いためか、虫が少ない
標高1200m付近の草原。メタリックグリーンが鮮やかなツツハムシ(Cryptocephalus sericeus)
アザミで見られたケマダラカミキリの一種(Agapanthia violacea)。小さくて青い、なかなか良い虫だ
標高1200m、イタリア国境の近くにあるブリアンソンという町
ブリアンソンの旧市街を囲む城壁。中世の雰囲気が漂う
その旧市街の中。まだ観光シーズンには早いようで、人もまばらだ
本日の採集個体その1
その2
7月4日 Savoie県 〜 Hautes-Alpes県 〜 Alpes-de-Haute-Provence県
今日は再び快晴に。ブリアンソンを出発し、アルプス街道を走っていく
標高1000mほどからの眺め
良い山道となったので、道端のセリ科の花で虫の探索を開始。このハナカミキリは初採集(Pedostrangalia pubescens)
これも初採集のケマダラカミキリ(Agapanthia dahli)。パリ近郊で見られる種と似ているが、別種
赤いジョウカイモドキ(Malachius rubidus)
ケマダラカミキリが花に来ているのを初めて見た。標高は1300mくらい
こちらのナナホシテントウ(Coccinella septempunctata)は、黒斑が小さい
冬場は雪がつもり、スキー場として賑わうのだろう
ちょっと花を添えて、スイスのイメージの風景画像に
山間でもどこでも、教会の尖塔が見えると欧州を旅していることを実感させられる
道沿いで飛翔していた虫をネットで掬うと、水色のキクスイカミキリ近縁種(Opsilia coerulescens ?)。初採集
一面の花が綺麗だったが、なかなか画像にそれを表すのは難しい
普通種のハナカミキリたち
南フランスに多いツチハンミョウ(ゲンセイ)の仲間(Mylabris connata ?)。だいぶ南下してきたということか
ヒツジの放牧場。糞虫も探したいが、柵を乗り越えることはできない
とある町で昼食
再び山道へ。標高2000mの峠越えで、高すぎたためかめぼしい甲虫は見られなかった
標高を下げると、普通種のハナカミキリ(Pseudovadonia livida)。山地性の虫を見つけるのは難しい
アカスジカメムシが付いている
成果に乏しいまま山間を南下し続けていると、ふと道端に広葉樹の材置き場が見えた
早速コトラカミキリ(Plagionotus arcuatus)が走っているのが見えた。本種は北フランスにもいるが、今シーズン初採集
クワヤマトラカミキリ(Xylotrechus rusticus)も今シーズン初採集
数頭摘むことができた
ヤマナラシノモモブトカミキリ(Acanthoderes clavipes)は2年前にスイスで見つけて以来で、フランスでは初採集
ムツボシタマムシ(Chrysobothris affinis)も日差しの中で飛来する
小さなトラカミキリ(Clytus rhamni)。本種は南フランスに多い種で、北では見られない
宿を決めていないので、材置き場でいつまでも粘るわけにもいかない。さらに南下すると、美しい湖
道端で見つけたシジミチョウ(未同定)
夜、宿の入り口で見つけたムカシカミキリの一種の♂(Vesperus strepens)
本日の採集個体その1
その2
その3
7月5日 Haute Provence県 〜 Fayence, Var県
今日もよく晴れ渡っている。さらに南へ下りていく
ホソバネ系のカミキリ(Stenopterus rufus)がお目見え。北にも見られる種である
これは山地性のツヤケシハナカミキリ近縁種(Anastrangalia sanguinolenta)
小さなカッコウムシ。肩に小さな紋がある南フランスでしか見られない種だ(Trichodes favarius)
これはハムシの一種だろうか(未同定)
昨年の南フランス訪問でカミキリモドキに見間違えてしまった、小さなカミキリムシ(Deilus fugax)
上翅の左右に小さな斑紋のあるハナカミキリ(Vadonia unipunctata)。初採集
カミキリモドキ似のカミキリは数多く見られる
ファイアンスの町に着く。ここで、ファーブル氏(当地在住の日本人アマチュア昆虫写真家)で落ち合う予定
南フランスらしいムードが漂う町並み
ファーブル氏と合流し、彼のフィールドを案内してもらう。カツオゾウムシの一種
ファーブル氏の撮影姿。さすがに本格的で、自分のようにコンデジで片手でちょい、というわけではない
トラハナムグリ(Trichius rosaceus)。前胸部の毛が剥げているせいか、よく見られる種と別種のように見える
そのフィールドの環境。虫影はけっして多くないが、時折センチコガネが飛ぶ
コロギスの仲間だろうか、とても大きい
ツチハンミョウが見られる、いかにも南フランスらしい光景(Mylabris variabilis)。
湖のほとりのポイントへ。ファーブル氏のおかげでキンヘリタマムシが採れた!(Scintillatrix sp.)
このトラカミキリも初採集(Xylotrechus arvicola)
カタツムリが花の上にいる、これもまた南フランスらしい光景
盛夏によく見られるハナカミキリ(Brachyleptura fulva)
自己流通称「赤ワインのハナカミキリ」も見られた(Brachyleptura cordigera)
ファーブル氏がキンヘリタマムシの死骸を見つけたことのあるという、河原のポイントへ
ニレに似た広葉樹の葉に、キンヘリタマムシが!
風が強いが、それでも待っていると何頭も飛来した
周囲では人々が川遊びをしている。日本のエサキキンヘリタマムシ採集と似た環境かもしれない
ファーブル氏が彼が作った虫の目レンズで撮影しているところ
別のポイントで、ポプラの幼木にドロノキハムシ(Chrysomela populi)。残念なことに、アオタマムシを取り逃がす
ファーブル氏の家で、タマオシコガネ(Sisyphus schaefferi)羽化個体を頂戴する(も逃げられてしまった)
夜はファーブル氏の家の近所を街灯回り。ヨーロッパゾウカブト♀(Oryctes nasicornis)
そしてヨーロッパゾウカブト♂
ヨーロッパミヤマクワガタの小さな♂(Lucanus cervus)
本日の採集個体その1
その2
その3
7月6日 Fayence, Var県
湖のほとりのポイントへ、トラップの回収。残念ながら成果なし。画像は小さなセミ(未同定)
アザミに付いていた、大型の歩行性ハムシ(Timarcha tenebricosa)。大きな♀を見たかったが♂だった
この種は血のような赤い液体を吐くので、英語でBloody-nosed beetle(鼻血虫)と呼ばれる
次に昨日アオタマムシを採り逃がした小川沿いのポイントへ
ファーブル氏が大きな地味色のタマムシを見つけてくれた(Capnodis tenebrionis)
大型のトンボが飛び交う
アゲハ類をはじめ、チョウも多い。大型のチョウであるヨーロッパフタオチョウをアップで(Charaxes jasius)
これは翅を閉じたところ
ノイバラの花に、黒いつや消しのハナムグリ(Netocia morio)
移動して丘陵の吹き上げの場所へ。セリ科の花に多くの小さなカミキリムシが集まっていた
ホソバネ系のカミキリのペア。♂の下に隠れている♀は、体が黒い(Stenopterus ater)
小さなトラカミキリ(Chlorophorus sartor)のペア。初採集
トラカミキリ(Chlorophorus figuratus)のペアとホソバネカミキリ
黒いつや消しハナムグリの雌雄が団子状に
夥しい数のカミキリムシが見られる
これは小型のケマダラカミキリの一種(Agapanthia cardui)。中央の白いスジが上品である
ホソバネカミキリは特に数が多いが、今が旬なのだろう。これは北フランスでも見られる種(Stenopterus rufus)
どの花の上もこのような状況だ
コロギスの仲間も花の上で見られる
これはツノゼミの一種
ジョウカイモドキの一種と思われる(未同定)
ファーブル氏にさらに案内を続けてもらい、タマムシがよく見られるというポイントへ
大きな地味系タマムシが潅木の枝の上で見られた
じっと待っていると、タマムシが羽音を立てて飛来してくる
そこでファーブル氏と別れ、自分は旅を続ける。再び北上
モンス(Mons)の村は高台にある。眺めの良いレストラン
そこでビールを一杯。ふーっ
そのレストランの入り口
モンスの村の中。ここで宿を取ることにした
村の外へムシを探しに出たが、小さく綺麗なタマムシに逃げられただけで終わった
大きなナラの木
本日の採集個体その1
一部の拡大画像。左のクロホシタマムシ似の種(Palmar festiva)は、ネズミサシ(針葉樹)に飛来したもの
その2
その3。ファーブルさん、二日間お付き合いいただき、どうもありがとうございました