6月1日 Bois de Boulogne (Paris)
今季初のブローニュの森への夜回り。灯りを照らすと、パラレリコクワガタ(勝手和名)が慌てて洞に逃げ込む
久々の夜回り。太いナラの幹には、ヨーロッパヤマカミキリ(Cerambyx cerdo)がペアで付いていた
これはヨーロッパヤマカミキリ♀の産卵シーン
同じく産卵シーン。パリ国立博物館で絶滅危惧種に指定されているにしては、個体数が身近に多い
ナラの大木の幹に付いていた夜行性のコクヌスト(Tenebroides fuscus)
日本のコクヌストと似ている
ナラの樹液に集まる小さな赤茶色の虫
今回は1頭だけ採集。この種はしょっちゅう見かけるのだが、未だに同定できない
これも同じナラの幹の上にいた、ケシキスイの一種(Soronia grisea)
6月2日 Foret de Rambouillet (40km west of Paris)
今日は有給休暇。天気が悪いので、採集ポイントに湿地を選んでみる
探していたネクイハムシを運良くいきなり発見(Donacia clavipes)
曇天下で光量が足りないせいか、生態画像はことごとくピンボケ
広い湿地に長靴を履いて入り込む
シモフリコメツキを採集したいのだが、これはどうか・・・
地味ながらトラフコメツキと同属の種のようだ(Selatosomus latus)
湿地に本格的に踏み込んだため、フランスでの採集で初めて蚊の攻撃にとことん悩まされる
ジョウカイボンの一種(Cantharis rustica)
時折雨がぱらつく悪天候。最近は採集のつど天気が悪いので、日頃の行いを改めないといけない
本当の狙いは、エゾカミキリ。こんなヤナギ林を歩き回るも、手がかりは無し。ギヴアップか?
湿地の脇で、赤いハムシのペア(Chrysolina polita)
四つ紋のテントウムシ。ナミテントウ(Harmonia axyridis)だろうか
こんなヤナギのひこばえがエゾカミキリのポイントだと思うのだが・・・
およそ3時間ほど湿地を歩き回り、ネクイハムシのポイントに戻ってみる
いたいた。しかし、これもピンボケ
これが一番マシな生態画像となったが、満足できない。暗い日は難しいものだ
ネクイハムシのペア。♂はやや小ぶりで、黄緑色が綺麗である
さて、湿地を離れて森の中の材置き場ポイントへ
ところが、とんだ空振り。成果は、この歩行性のハムシ(Timarcha goettingensis)♀のみ
次の材置き場。比較的新鮮なナラ材なのだが・・・
ここもカッコウムシ(Clerus mutillarius)が見られただけで、空振り
移動の途中の村の風景。さすがはカトリックの国、どの村もその中心には教会がある
車道上の馬糞から、エンマコガネ(同定はいずれ)を2頭救出
夕方近くになってようやく日が差した。シダに付くゴミムシダマシ(Nalassus laevioctostriatus)にもちゃんとピントが合う
草に付いているところを見つけた、クロツヤハダコメツキの近縁種(Hemicrepidus hirtus)
今日の最後の望みの材置き場。ところが、やはり成果なし。どうなっているの?
ナラの根元の樹液に付くパラレリコクワガタ(勝手和名:Dorcua parallelipipedus)♂
今さら天気が回復したところで、もう午後6時。ちょっと遅いよぉ
ノイバラの花に付く、いつもの黒いハナカミキリ(Stenurella nigra)
同じくノイバラ上の小型マルガタハナカミキリ(Pachytodes cerambyciformis)のペア
そろそろ引き揚げようと、車に戻る道。往生際が悪く、そこで虫をいろいろと拾う
まずは、マルトゲムシ(Byrrhus pilula)。手に取ると、こうして丸まってしまう
次いで、歩行性ハムシ(Timarcha goettingensis)の今度は♂が歩いているのを発見
こんなコメツキムシ(Agriotes lineatus)も路上で採れた
極め付けは、このベニコメツキ近縁種(Denticollis linearis)。車に乗り込んだら、何と本個体が知らないうちに手に付いていた
6月4日 Bois de Boulogne (Paris)
今日は「虫」の日。パリ在住4年目にして、夜行性のはずのパラレリが白昼日が差している場所を堂々と歩いているのを初めて目撃した
6月5日 Bois de Boulogne (Paris)
白いハナグモが獲物を捕らえたところ
もう一丁。ん? 親グモの背中に子グモ?
トラ!
トラ!
カツオ!
6月6日 Bois de Boulogne (Paris)
アザミの花が咲き始め、カミキリモドキ2種が集まっていた
アザミの花に専門に付くゴボウゾウムシの一種(Larinus planus)
今年よく目に付くナミテントウ。ここのところ幼虫が多いが、成虫に羽化するものも増えてきた
パリ周辺では、今季初めてのタマムシとの出会い。ナガタマムシ(未同定)が訪花しているのは珍しい。たまたまだろうか?
6月7日 Paris/Foret de Marly (20km west of Paris)
雨混じりの曇天で気温が低い土曜日。パリ市庁舎の広場では、大画面で全仏オープン女子決勝戦を放映していた
みんな一生懸命見ている。画面観戦用に、クレイ・コートと同じ色の敷物を敷いているところが、芸が細かい
しかし、虫と縁がない一日も勿体ない。夜になって車で30分のブナの森に出撃。大木の枝が見事に折れていた
ブナの倒木には虫の影は非常に少なく期待外れ。カミキリはゴマフカミキリ(Mesosa nebulosa)がたった1頭
気温は16度で、低すぎることはないと思うのだが。画像は、ブナの倒木の樹皮の下にいた、ヒメヒラタムシ(Uleiota planata)
ブナの半枯れの大木を登っていくパラレリコクワガタ
諦めて帰る途中、別の場所のブナの倒木を「ダメ元」でチェックしに行くと、初めて出会う小さなカミキリがいた
ヒゲナガコバネカミキリの一種(Glaphyra umbellatarum ?)。比較的稀れな種類のようだ。よもやこんな夜間に出会えるとは
生体画像をもう一枚
6月8日 Foret de Rambouillet (40km west of Paris)
午後から天気が回復するというので、妻とともにランブイエの森へ。画像は、今まで見た中で一番のプラタナス並木
先日失敗したネクイハムシの生態写真を撮るために湿地帯に短時間だけ寄った
ところが、今日は1頭しか見つからず、しかも動いていたので結局今日も失敗
その1頭(Donacia clavipes)。もうシーズンも終わりなのだろうか
先日と同様のコメツキムシ(Selatosomus latus)も1頭だけ採った
妻が一緒なため、採集時間が取れない。モンフォール・アモリー村の高台からの眺め
その高台で見つけた、花に付くカッコウムシ(Trichodes alvearius)
ちょっと可愛らしい感じの、カフェ・レストランと食品店
そのカフェ・レストランで暫く全仏オープン男子決勝をテレビ観戦
再び湿地へ行ってネクイハムシの生態写真に再挑戦。ところが、あいにく1頭も見つからず
かろうじて湿地性のハムシ(Phyllobrotica quadrimaculata)を採集
湿地では、この水色のイトトンボ(Coenagrion puella)が至る所で見られる
6月9日 Foret de Fontainebleau (50km south of Paris)
夏のような陽気となり、昼過ぎから半日休暇を取ってフォンテーヌブローの森へ
現地に着いたのが午後の遅めだったせいか、ノイバラの花にはカミキリが少ない。ツヤケシハナ近縁種(Anastrangalia dubia)♀
いつものキンイロハナムグリ(Cetonia aurata)
オレンジ色の小さなジャノメチョウ(同定はいずれ)
初夏から盛夏にかけて最も普通に見られる、ヤツボシハナカミキリ近縁種(Leptura maculata)
このコガネムシ(Phylloperta horticola)は相変わらず多く見られる
ブナの倒木のキノコに付く小さなオオキノコムシ(Tritoma bipustulata)
その倒木の上で見つけたホソカタムシの一種(Bitoma crenata)。これも四つ紋である
黒い艶消しのこのハナカミキリ(Corymbia scutellata)も比較的よく見かける
ツヤケシハナカミキリ近縁種(Anastrangalia dubia)の♂。♂は♀と違って個体による色彩変異がない
ブナとナラの森の風景
ヒゲナガゾウムシの一種(Platyrhinus resinosus)の顔
これはキソコマベニハナカミキリ(Stenuralla melanura)の♂
既に夕方だが日が長く、真夏のような雲が出ている
森の中の新鮮な材置き場。ほとんどがブナ材である
何と、コルリクワガタ(Platycerus caraboides)♂が材に留まっていた
同じくブナ材にいた、コメツキダマシの一種(同定はいずれ)
これは色が違うが、別種だろうか・・・
まだ日は高いが、夕飯に間に合うように帰らなくては
6月9日 Orsay (15km south of Paris)
今季初めての、ミヤマ狙いの街灯廻りへ。残念ながら、いつもの不動産店が白色灯を消していた
それでもパラレリ(Dorcus parallelipipedus)♂が飛んで来ていた。今夜は20度以上あり、有望である
住宅街の様子。ここは、どの街灯にもミヤマが飛んでくる可能性がある
実績のある街灯では見つからなかったが、少し足を延ばした場所の歩道で、小さながら今季初ミヤマ(Lucanus cervus)の♂
最後に寄った、街の中央の公園にある記念館の白色灯
あれ? ミヤマの♀がもう出ているのか?
・・・と思って近づいたら、何とカブトムシだった(ヨーロッパサイカブト:Oryctes nasicornis)
今晩の成果は、3種が1頭ずつ
サイカブトは嬉しい初採集であった
今季初のミヤマも記念撮影
6月10日 Foret de Marly (20km west of Paris)
今日も午後遅くから休暇(余っている有給休暇の消化義務あり)を取って、近場の森へ。伐採材にトラカミキリ(Clytus arietis)
朽ちた倒木の上に、パラレリ♀(Dorcus parallelipipedus)
ブナの粗朶に何かが止まっている。初めはテントウムシの幼虫かと思ったが・・・
ネジロカミキリ近縁種(Pogonocherus hispidulus)であった
いつものブナの半枯れ・倒木ポイントでは、ちょうど花が咲いていて虫たちを誘っている
フタコブルリハナと同属の中型のハナカミキリ(Stenochorus meridianus)が飛来。パリ近郊では初採集
ムツボシのハナカミキリ(Anoplodera sexguttata)も来た。昨日フォンテーヌブローの森で探しても見つからなかったというのに
夕方なのに、期待できる集客率だ
ムツボシのハナカミキリは次々と飛来する
ブナの太い半枯れに目を転じると、黒い艶消しのハナカミキリ(Corymbia scutellata)
これはいつものキンイロハナムグリ(Cetonia aurata)と思うが、大きめの個体だったので採集
このヤツボシハナカミキリ近縁種(Leptura maculata)もついでに採集
小型のマルガタハナカミキリ(Pachytodes cerambyciformis)も飛んで来た
さて、およそ1時間半頑張ったが、そろそろ帰らなくては
先日の夜にヒゲナガコバネカミキリを見つけた、森の中に放置されたブナの伐採木
ヒゲナガゾウムシの一種(Platystomos albinus)が付いていた
これはコメツキダマシの一種だろうか(同定はいずれ)
今日は国鉄のストの関係で、至る所で道路が渋滞だった
6月10日 Orsay (15km south of Paris)
今夜も気温が20度を優に上回っているので、連日の夜回りへ。不動産店の白色は相変わらず点灯していない
ところが、その店の前の歩道に、なにやら黒い影が・・・
近づいてみると・・・(上の画像とともに、採集後に採集シーンを再現したヤラセ画像である)
ミヤマクワガタ♂(Lucanus cervus)(これは自然な状況での画像)。パリ近郊としては、比較的大きな個体だ
正確に測っていないが、おそらく58mmほど。自己採集中、最大個体となった
さらに公園の記念館ポイントへ
窓扉の裏側に、黒い影・・・
望遠で撮影したところ。やはり間違いないだろう
竿を延ばして突付いてみると、たまらず落下
左後ろ脚の先が少し欠けているのが惜しいが、物差しを当てると59mm。さらに自己記録の更新である
6月13日 Foret de Fontainebleau (50km south of Paris)/Bois de Boulogne (Paris)
クワガタ採集の友人きー氏が仕事のついででフランスに立ち寄られた。パリ郊外の町へ出迎えに行く
そのままフォンテーヌブローの森へ採集に。ノイバラの花は咲きそろってきたが・・・
キンイロハナムグリ(Cetonia aurata)くらいしかいない
シジミチョウかと思ったら、コヒョウモンモドキ(Mellicta dejone)のようだ
場所を変えて、ブナの森の中のギャップ(倒木などでできた空間)へ。しかし、ここも虫は少ない
あいにく曇りがちの天気で、気温は低い。それでもブナの森は気持ちが良い
ブナの森のこのような場所を渡り歩く
サルノコシカケの仲間のキノコには、いつものゴミダマ(Bolitophagus reticulatus)が交尾中
きー氏が足元のキノコを蹴っ飛ばすと、見事にオサムシが(Carabus violaceus purpurascens)躍り出てきた
サルノコシカケの上を這い回る小さなハネカクシの一種(Sepedophilus testaceus
何かは分からない動物の糞に付く、センチコガネ(Anoplotrupes stercorosus)
太い朽ち木に付いていたパラレリ(Dorcus parallelipipedus)の♀
ブナの幼木の葉の上にいたツツハムシの一種(Cryptocephalus bipunctatus)
きー氏にコルリをお見せしようと試しにコルリ材を割ってみるものの、この時期はもちろん幼虫しか見つからない
キソコマベニハナカミキリ(Stenurella melanura)の雌雄
ヤツボシハナカミキリ近縁種(Leptura (Rutpela) maculata)
虫があまり見られないまま、この森の最後のポイントとして、今週初めにコルリクワガタを見つけた材置き場を選んだ
すると、きー氏が首尾よくコルリクワガタ(Platycerus caraboides)を発見。6月中旬というのに何という引きの強さだろう
パリに戻って、夕食は小さなビストロ
小さくとも味は評判の店で、きー氏にも満足してもらえただろうか
暗くなるのを待って、ミヤマクワガタの街灯採集ポイントへ。気温が低い(15℃くらい)のが気がかり
ところが、ミヤマ(Lucanus cervus)♀が飛んでいてくれた。きー氏はやはり引きが強いのだろう
最後は、パリに戻って深夜のブローニュの森へ。画像はクチキムシの一種(Pryonichus ater)
太いナラの幹には、ヨーロッパヤマカミキリ(Cerambyx cerdo)の姿も見えている
ここではパラレリの♂を採集して、長い一日を終えた
6月14日 Foret de Rambouillet (40km west of Paris)
パリ訪問中のきー氏との二日目の採集である。今日はランブイエの森へ。道端の花をじっと観察するきー氏
この日もあいにく気温は低く、最初に湿地を訪れたが、さしたる成果なし。このテントウムシは自己初採集(同定はいずれ)
森の中のオープン・レストランで、昼食
子羊の腿肉に舌鼓を打つきー氏
青く繊細な美しさのイトトンボ(Coenagrion puella)
昼食後から本格的な採集へ。明るい林道を歩くきー氏
ミツカドセンチコガネ(Typhaeus typhoeus)は、残念ながら既に亡骸であった
日が差してくると、ハナカミキリたちの動きが活発化する。小型マルガタハナカミキリ(Pachytodes cerambyciformis)
葉の上にはハムシもちらほらと見られる(Phyllobrotica quadrimaculata)
ヒメヒラタタマムシをパリ近郊で初めて見つけた。黒っぽいヒメヒラタタマ(Anthaxia sepulchralis ?)はやはり黄色い花に付く
キソコマベニハナカミキリ( Stenurella melanura )のペア
小さいが美しいカミキリモドキ(Chrysanthia viridissima)。花の上でよく見られる普通種である
ヤツボシハナカミキリ近縁種(Leptura (Rutpela) maculata)のペア
場所を移すと、乗馬の一段に出会った
自分が当地でこれまで見た中で最高のナラ樹液ポイント。モンスズメバチが来ていたが、残念ながらクワガタの姿はない
根元の土の中から、エンマムシ(同定はいずれ)
そして、パラレリ♀(Dorcus parallelipipedus)を掘り出した
日差しはあるが、気温は相変わらず今ひとつ。材あり樹液ありの絶好の場所と思われるのに、虫がいない
ようやく材の上でトラカミキリの一種(Clytus arietis)を発見
がっかりして車に戻ろうとしたところ、きー氏がふと馬糞を見つける
きー氏はセンチコガネを、自分はマグソコガネを採集(同定はいずれ)
ナラの大木が堂々と根を張っている
ノイバラを訪れたトラハナムグリ(Trichius fasciatus)
もう19時近くなったので、まずは森の中の村のカフェで休憩。ずいぶんと目立つ車が駐車していた
その村で駐車した場所付近にて
夕食は別の村の、先日妻と全仏オープン男子決勝をTV観戦させてもらったビストロへ
夕食後は、暗くなるのを待つために、ちょっとした遺跡訪問。高台からの眺めが素晴らしいが、きー氏は虫探しに余念がない
いつもの街灯ポイントへ行くも、気温が13℃まで下がってしまっては粘りようがない。何とか見つけた小さなパラレリ♂