5月16日 Bois de Boulogne (Paris)
今年もこの宝石のような小さな甲虫が・・・
花の上を舞うような季節になった・・・
モモブトカミキリモドキ(Odemera nobilis)♂
5月17日 Foret de Rambouillet (40km west of Paris)
ランブイエの森に午後から出遅れ気味に出かける。久しぶりの材置き場
春先の定番の、赤いカミキリムシ(Pyrrhidium sanguineum)
トカゲ(カナヘビ?)が2頭、材の隙間から顔を出した
同じ材置き場にあった、いろいろな樹種の混じった粗朶
その粗朶から、ネジロカミキリ近縁種(Pogonocherus hispidus)を2頭採集。この種は今季初採集であった
場所を移動すると、森の中の道端の花に、黒い小さなハナカミキリを発見(Leptura nigra)。これも今季初採集
センチコガネの仲間は相変わらず活発に新鮮な集まるが・・・
マグソコガネ(Aphodius sp.)はめっきり減ったように思う。季節進行のゆえなのか
そうこうしているうちに、森の中の開けた場所にある材置き場に着く
ところが、表面的には虫影は非常に薄い。気温はそれほど低くないし、雨が降って乾燥もしていないのだが
ブナの半枯れの木の根元に落ちていたサルノコシカケには、クワガタゴミダマ(Bolitophagus reticulatus)が多く付いていた
同じキノコに付いていた、海岸の岩に貼り付く平たい貝(ヒザラガイなど)のような甲虫
そのアップ画像。コクヌストの仲間のようだ(Thymalus limbatus ?)
この材置き場は今日は結局のところ期待外れ。お洒落な柄のカッコウムシ(Clerus mutillarius)がカミキリムシを捕食中
ナラの木の傷つけられた箇所から樹液が染み出て、モンスズメバチが集まっている。日本の夏の里山を想起させる
にわかに天気が悪くなって、退散
5月18日 Foret de Marly (20km west of Paris)
気温が低いが、午後遅くに出撃。時間もないので車で25分のマルリの森へ行き、いつものポイントへ
虫は少なそうだ。ブナの太い落ち枝に付いていたゴマフカミキリ(Mesosa nebulosa)
ブナの倒木の上で見つけた、小さな細長い甲虫。コクヌストの一種らしい(Nemosoma elongatum)
上翅にスジの模様の入ったコメツキムシ(Athous vittatus)
朱色が鮮やかなアカハネムシ(Pyrochroa coccinea)は、春によく見られる甲虫の一つ
最高気温が15度ということであれば、見られる虫は少ないが、センチコガネは相変わらず活発だ
この甲虫もブナの倒木の上で見かけるが、同定できない・・・
これはベニコメツキの一種(Denticollis linearis)。自分の好きなコメツキの一つである
そのアップ画像
虫が少なそうなので、早めに退散。その途中のこんな場所で、試しに材起こしをやってみた
すると、材の下でパラレリ♂(Dorcus parallelipipedus)が潜んでいた。25mm超の虫は、今の自分には随分と大きく見える
同じように材の下で見つけた、クロヒラタシデムシ(Phosphuga atrata)
大きな材置き場にも回ってみたが、アリモドキカッコウムシと画像のマグソコガネ(Aphodius sp.)しか見つからなかった
伐採材の上で遊ぶ子供たち
5月19日 Bois de Boulogne (Paris)
引き続き気温が低いが、昼休みの散策。悠々と移動する大きなカタツムリ(エスカルゴ?)
チビハナカミキリ(Grammoptera ruficornis)の生態画像をパチリ
これはホクチチビハナカミキリ(Alosterna tabacicolor)
このコガネムシは今季初採集(Phylloperta horticola)
ハナノミの一種(同定はいずれ)
毎年一度は撮影している白いハナグモ
5月22日 Aix en Provence (Provence, 800km south of Paris)
一日休暇を取って、南仏へ日帰り採集。国鉄のストで予約していたTGVが運行中止となり予定が狂ったが、何とか目的地に到着
今回のレンタカーは、フィアット・パンダ。久しぶりのマニュアル運転は、なかなか楽しい
赤いポピーが至る所で咲き乱れている
最初に出会った、大きめのクチキムシ(Omophlus sp.)。一日を通じて多くの個体を見かけたが、何の種か同定できていない
赤に青い縞でおなじみのカッコウムシ(Trichodes alvearius)。この種は北フランスにも多い
鮮やかな赤のジョウカイモドキ(Anthocomus rufus)。こういう虫に出会うと、南仏に来たことを実感する
さて、今日の目的は荒れ地を歩き回るというカミキリムシの仲間(ヒサゴカミキリ=ドルカディオン)
毛むくじゃらのヒルタハナムグリ(Tropinota hirta)も、南仏らしい虫の一つだ
フネスタハナムグリ(Oxytyrea funesta)は、来たフランスでも普通に見られる
こんな虫が荒れ地の上をバタバタと飛び回っている
タマムシの一種(Acmaeoderella flavofasciata)。南仏はタマムシの種が多様である
黒っぽいヒメヒラタタマムシ(Anthaxia sp. 同定はいずれ)は、黄色の花につくことが多い
大型の美麗ヒラタタマムシ(Anthaxia hungarica)に撮影後に逃げられる。南仏の虫は動きが活発で、生態画像を撮るのが難しい
普通種のハナカミキリの一種(Stenurella bifasciata)が交尾中。パリ周辺の同種の個体より大きいように感じる
これは黒いハナカミキリ(Stenurella nigra)で、やはりパリ近郊でも普通に見られる
荒れ地で数多く見られた、ナガツツハムシ(Lachnaia tristigma)。♂は歩行中の自分にまとわり付くように飛ぶ
ツチハンミョウ(Hycleus polymorphus)が花に付いているのも、南仏ならではの光景である
さて、荒れ地を歩けども、目的のヒサゴカミキリは見当たらない。場所が悪いのか、時期が遅すぎるのか・・・
石の下に隠れているのではないかと石起こしを試みるが、見つかるのは大型のムカデや、無数のアリばかり
石の裏に付いているカマキリの卵。乾燥した気候のためだろう
ふと見つけた動物の糞から、エンマコガネを2種3頭採集(同定はいずれ)
場所を変えて、荒れ地探索を続けていく。南仏に多く見られる、石灰岩の山
マツの低木が群生。赤いヒメヒラタタマムシを採集するも、虫の気配に乏しい
さらに荒れ地の探索を続ける・・・
何と、石を起こすと小さなサソリに出くわした
時折花に目を転じると、こんな綺麗な模様のカメムシが見つかる
今日一番の、花のポイント
ここでもこのクチキムシが多く見られた
このクチキムシは、今が旬なのだろう
丁寧に見ていくと、カミキリムシも見つかる。このトラカミキリ(Chlorophorus figuratus)は、昨年も南仏で1頭だけ採集した
このハナカミキリ(Anoplodera rufipes)は、初採集。図鑑によれば、フランスでは少ない種らしい
メタル・グリーンに輝くこのカミキリ(Callimus angulatus)も、初採集。カミキリモドキと間違えて見過ごすところだった
夕方が近づいてきて、残りの採集時間の少なさに焦りを感じ始める
最後に辿り着いた場所。好ポイントと思われたが・・・
こういうクモがいるのだから、これに似たヒサゴカミキリの仲間もいてもおかしくないのだけれど・・・
結局ここでは、石の下からこのゴミムシダマシ(Philan gibbus ?)のみ採集
残念ながら、これにて時間切れ。結局、目的のものは見つからなかったが、これも仕方ないこと
ああ、疲れた。喉の渇きを潤す生ビール
ストのため、もともとの予定より1時間早い便に乗ることとなった。さて、帰ろう。
車内のビュッフェでワインを買って飲むと、パリまで意識を失ってしまった
5月24日 A la maison (Paris)
この週末のパリは天気が悪そうだ。そこで、22日の採集個体の整理。これはカミキリムシ
タマムシ、コメツキ、エンマコガネ、カッコウムシ、ハムシ等々
ゴミダマ、ツチハンミョウ、カミキリモドキに、?
最後に、ハナムグリ4種
5月25日 Foret de Marly (20km west of Paris)
今日はテニス全仏オープンの初日。ひょんなことからチケットを入手したので、妻と初めて行ってきた
絶好の採集日和と溜め息をつきながら観戦していたのは、不謹慎だろうか。画像は世界ランキング7位の James Blake (USA)
というわけで、夕方になってから車で30分の近場の森に出撃
森に入ると直ぐに、クリの伐採木の上にモモブトカミキリの一種(Leiopus femoratus)をペアで発見
小さな個体ながら触角がたいへん長い
そして、いつもの定点観測ポイントへ
虫の影が薄いので、ブナの倒木を入念にチャックすると、太い枝の裏に甲虫の姿が・・・
ブラボー、密かに探し求めていたナガクチキムシであった(Melandrya caraboides)。小さな個体は青味がかる。後脚が欠けてしまったのは残念
サルノコシカケ・トラップ(サルノコシカケを幹から剥いで根元に放置したもの)には、クワガタゴミダマ(Bolitophagus retuculatus)がごっちゃり
ブナの幹の上のサルノコシカケには、紋のある流線型の小さなハネカクシ(Sepedophilius bipunctatus ?)
再びブナの倒木をチェックすると、カメムシの幼体が見つかった
太いブナの幹をセンチコガネがひたすら登っていく。何故?
しばらくすると、ふとブナの倒木の上にネジロカミキリ近縁種(Pogonocherus hispidulus)が来ていた
この種は夕方に活動するのだろうか。いずれにしても、不十分ながら生態画像が追加できて良かった
森での滞在時間はおよそ1時間。さて、夕飯に間に合うように帰ろう
5月28日 Bois de Boulogne (Paris)
仕事が一段落したので、今日の昼休みはゆっくりとブローニュの森を散策。緑がだいぶ濃くなった
トラハナムグリ(Trichius rosaceus)はゆっくりと活動中の個体数を増やしているところだ
他方、年によって虫の発生状況が違うように感じる。モモブトカミキリモドキ(Odemera nobilis)は今年は発生数が少ない
逆に、ナミテントウ(Harmonia axydiris)は今年は多く見られ、その代わりナナホシテントウを不思議なほど見かけない
このトラカミキリ(Clytus arietis)は普通種だが、ブローニュの森では毎年さほど見かけることはない
チビハナカミキリ(Grammoptera ruficornis)はこの時期は常連種の一つだ
アカスジカメムシ(Graphosoma italicum)も初夏から盛夏にかけてよく見られる虫である
ヨモギハムシ近縁種(Chrysolina oricalcia)は、春先から活動を始めており、活動期間が比較的長いようだ
これは日本にない甲虫の仲間(Drilus flavescens)。見つけたのは一昨年来これで2度目だ。ベニボタルに近い種らしい
小さなコメツキムシ。珍しい種ではけっしてないと思うが、同定できていない
このコメツキムシたちはそれぞれ花に来ていたが、似ているようで違う。同種の雌雄だろうか
5月29日 Foret de Rambouillet (40km west of Paris)
午後半休を取ってランブイエの森の沼地へ。ところが、生憎の雨模様
それでもところどころで虫は見つかる。黄色い花の定番の黒いハナカミキリ(Stenurella nigra)
ネクイハムシでもいないものかと探してみたが、見つかったのはルリ色のトビハムシ(Altica lythri ?)
こんなシギゾウムシ(Curculio elephas ?)が葉の上に止まっていた
草原の草の上で見つけた、目を引く模様をしたゴミムシ(Diachromus germanus)
雨が上がらないまま、場所を移動。森の中の材置き場へ
四つ紋のデキノコムシ(Scaphidium quadrimaculatum)。越冬中以外のところを見たのは初めてだ
ヒゲナガゾウムシの一種(Platystomos albinus)の♀の茶色っぽい個体が古いブナ材で産卵していた
葉の上で別の小さなヒゲナガゾウムシ(Anthribus nebulosus)を見つけた。初採集
シラカバが中心の材置き場だが、なかなか期待ほどの成果が上がらない・・・
今日はパラレリ(Dorcus parallelipipedus)♂が材の隙間から這い出てきただけ。雨宿りでもしていたのだろうか
新鮮な動物の糞に来ていた、四つ紋のシデムシ(Nicrophorus vespilloides ?)。ツノグロモンシデムシと同種だろうか
太い伐採材の切り口に止まっていた、これまた四つ紋のケシキスイ(Glischrochilus hortensis)。初採集
セリ科の花の上に、マルガタハナカミキリ小型版(Pechytodes cerambyciformis)。今季初見
これはいつものホクチチビハナカミキリ(Alosterna tabacicolor)
コガネムシ(Phylloperta horticola)がヤナギの幼木の上に付いていた
雨は上がったが、雲は相変わらず厚く日差しは出ない。気温は20度くらいか
別の場所のブナの立枯れに、粗目の黒いハナカミキリ(Corymbia scutellata)♀が産卵に来ていた。今季初見
足元のシダの上に、鮮やかな赤のアカハネムシ(Pyrochroa coccinea)
帰りに伐採地を新たに見つけたが、虫影は不思議と全くなかった
5月31日 Foret de Fontainebleau (50km south of Paris)
妻が買い物をしている間に、ちょっと遠出をしてフォンテーヌブローの森へ
天気が冴えず、虫は少ない。いつものコガネムシ(Phylloperta horticola)だけは至る所で見られる
同じコガネムシの色彩変異個体
ノイバラの花に付くキソコマベニハナカミキリ(Stenurella melanura)
毎度おなじみ、ホクチチビハナカミキリ(Alosterna tabacicolor)
シラカンバのキノコを剥がすと、四つ紋のゴミムシダマシ(Diaperis boleti)
ムネアカジュウジコメツキ(勝手和名:Selasotomus cruciatus)の特大個体(15mm)が草に付いていた
これは、今時分に多く見られるアワフキムシの一種(Cercopis vulnerata)
ノイバラの花上に、トラハナムグリ(Trichius rosaceus)
森の中に新鮮な材置き場を見つけたが、どういうわけか虫影はなかった
前出のコガネムシのペア?
ブナの葉はすっかり深緑色になってしまった。季節の進行を感じる
サビキコリ(Agrypnus murinus)が地面の上を歩いていた
上翅に縦スジにない、ヴェルナリスセンチコガネ(Trypocopris vernalis)
ブナやナラの倒木・立枯れエリアへ
ナラの倒木上に付く、ヒゲナガゾウムシ(Platyrhinus resinosus)
頭部の形が面白い小さな甲虫がキノコに付いていた(同定はいずれ)
探していたオオキノコムシ(Tritoma bipustulata)が首尾よく見つかった
今日は40代最後の日。帰路の途中、赤いポピーが綺麗だった