― 随想 ― 技 術 の 散 歩 道 10数年前の最初の公開時に書いた「まえがき」です。私にとっては この「まえがき」自体もまた、懐かしい思い出です。 まえがき 武蔵野の面影が残る東京国分寺の地で、一技術者として「研究」という名の旅に出たのが昭和34年。以来50年が過ぎました。実に長い「辺境の旅」でしたが、その旅もいよいよ終盤を迎えることとなりました。道中、底無しの沼でもがき苦しんだことも、また、大きな荷物を背負い、流れに逆らって川を渡らねばならなかったこともありました。でも、その沼がどのような広がりをもつのか、その川がどこへ流れようとしているのか、時間と空間を超えて想いを馳せることに最も爽快な「旅の魅力」を感じるようになりました。 そのような辺境の旅人の一人である私が、旅の合間に綴ってきたのがこの随想集です。ある国際会議が縁でお付き合いが始まった株式会社 新技術コミュニケーションズ 社長 松下 要氏からの依頼により、同社発行の月刊技術誌「O plus E」に、平成9年8月号から平成12年5月号に至る足掛け4年、計34ヶ月の間、「技術の散歩道」というタイトルで連載してきたものです。 それから9年の歳月が流れ、今回、日立返仁会の要請でこの随想集の内容が再度陽の目を見ることになりました。2010年の日立創業100周年に向けて、日立返仁会でも記念事業を進めており、その一環としてこの随想集を返仁会のホームページからも見られるようにしようという企画でした。これを機に、誤謬の修正などを行うとともに、ここに公開しようと計画した次第です。 執筆した当時から世の中は大きく進展していて、中にはすでに古い内容も含まれてはいますが、その時代の技術の散歩道の風景をあらわす良い資料となっていると思われます。当時の時代背景に思いを馳せながら、どうぞご覧下さい。 この随想執筆のきっかけを作っていただいた前出の松下 要氏は、詩集「津金讃歌」を出版された一年半後の平成20年12月、78歳でこの世を去られました。人の世の慣わしとはいえ、淋しい限りです。自分が興された会社を惜しげもなく後進に託され、山梨の片田舎に居を転じて、ブルーベリーの栽培に精を出される傍ら、多くの写真と多くの詩を残されました。まさに旅人というのに相応しい人でした。私もまた、新たな気持で、残された旅を楽しみたいと考えているところです 平成21年3月 つくばみらい市の自宅にて 江尻正員
― 随想 ― 技 術 の 散 歩 道 10数年前の最初の公開時に書いた「まえがき」です。私にとっては この「まえがき」自体もまた、懐かしい思い出です。
まえがき 武蔵野の面影が残る東京国分寺の地で、一技術者として「研究」という名の旅に出たのが昭和34年。以来50年が過ぎました。実に長い「辺境の旅」でしたが、その旅もいよいよ終盤を迎えることとなりました。道中、底無しの沼でもがき苦しんだことも、また、大きな荷物を背負い、流れに逆らって川を渡らねばならなかったこともありました。でも、その沼がどのような広がりをもつのか、その川がどこへ流れようとしているのか、時間と空間を超えて想いを馳せることに最も爽快な「旅の魅力」を感じるようになりました。 そのような辺境の旅人の一人である私が、旅の合間に綴ってきたのがこの随想集です。ある国際会議が縁でお付き合いが始まった株式会社 新技術コミュニケーションズ 社長 松下 要氏からの依頼により、同社発行の月刊技術誌「O plus E」に、平成9年8月号から平成12年5月号に至る足掛け4年、計34ヶ月の間、「技術の散歩道」というタイトルで連載してきたものです。 それから9年の歳月が流れ、今回、日立返仁会の要請でこの随想集の内容が再度陽の目を見ることになりました。2010年の日立創業100周年に向けて、日立返仁会でも記念事業を進めており、その一環としてこの随想集を返仁会のホームページからも見られるようにしようという企画でした。これを機に、誤謬の修正などを行うとともに、ここに公開しようと計画した次第です。 執筆した当時から世の中は大きく進展していて、中にはすでに古い内容も含まれてはいますが、その時代の技術の散歩道の風景をあらわす良い資料となっていると思われます。当時の時代背景に思いを馳せながら、どうぞご覧下さい。 この随想執筆のきっかけを作っていただいた前出の松下 要氏は、詩集「津金讃歌」を出版された一年半後の平成20年12月、78歳でこの世を去られました。人の世の慣わしとはいえ、淋しい限りです。自分が興された会社を惜しげもなく後進に託され、山梨の片田舎に居を転じて、ブルーベリーの栽培に精を出される傍ら、多くの写真と多くの詩を残されました。まさに旅人というのに相応しい人でした。私もまた、新たな気持で、残された旅を楽しみたいと考えているところです
平成21年3月 つくばみらい市の自宅にて 江尻正員