日刊工業新聞 記事(第1面)
1983年(昭和58年)1月29日 掲載

「ロボット学会」が発足
会長に藤井電機大学教授
会員も800人越す



 わが国のロボットの研究と普及を促進する目的から全国の大学、国公立研究機関、産業界の研究者が中心となって進めていた「日本ロボット学会」の設立総会が、二十八日年後一時から東京・九段下の日刊工業ホールで開かれ、正式にスタートした。設立総会には会長に選出された東京電機大学教授の藤井澄二氏のほか、関連学会や団体から電気学会会長の佐波正一氏(東京芝浦電気社長)、日本産業用ボット工業会会長の清水照久氏(富士電機製造副社長)ら関係者約四百五十名が出席した。(2、20面に関連記事)

 設立総会は、まず同学会設立発起人を代表して中野栄二機械技術研究所生産工学部ロボット工学課長が学会設立に至る経過報告を行ったあと、第一期役員を選出した。会長には藤井氏、副会長には京都大学教授の花房秀郎、ファナック社長の稲葉清右衛門、早稲田大学教授の加藤一郎、東京工業大学教授の森政弘の四氏を正式に選出した。

 次いで、藤井会長が「ロボットの望ましい発達のためには、様々な観点からの研究が必要であり、そのためにはいろいろな分野の研究者が協力して作りあげる総合的な科学としてのロボット学の研究の推進が必要である。この意味からロボットに関心を持つ各種の専門分野の方々が、この日本ロボット学会という共通の場に結集して、研究発表や意見交換によって相互に啓発していくことは誠に意義深い。関連学会と密接に協力しつつ、私たちの夢を広げてロボット学の健全な発展に大きく寄与したい」と、初代会長としての抱負を述べた。

 このあと定款・規約、予算の承認のほか、@学会誌の発行(年四回)、A学術講演会(年一回)、B研究会、講習会、見学会の開催などを内容とする事業計画を満場一致で了承した。

 引き続いて、日本機械学会の高村正一副会長(東芝機械開発本部長)、電気学会の佐波会長、計測自動制御学会の久保敦副会長(島津製作所取締役プロセス計測事業部長)、精機学会の竹山秀彦会長(東京農工大学教授)、バイオメカニズム学会の土屋和夫会長(名古屋労災義肢センター所長)、自動制御協会の野田克彦会長(松下電器産業技術本部システム研究開発センター所長)、日本産業用ロボット工業会の清水会長ら、関連学会や団体の代表がそれぞれ祝辞を述べた。

 ロボットは将来、オフィスや日常生活の場にも進出することが予想されるため、同学会では単に工学的な面だけの研究にとどまらず心理的、社会・経済的側面からの研究を前面に押し出し、人間と機械との共存を目指すための学問研究機関として設立したもの。すでに正会員七百十六名。学生会員四十五名、賛助会員六十六社を数えていたが、その後も参加希望者は着実にふえ、総会当日の申し込み者も含めて八百名を越えた。

 設立総会と前後して開かれた講演会では「ロボットの将来とそれに期待するもの」(辻三郎大阪大学教授)、わが国におけるロボットの果たす役割」(上原明通通産省産業機械課長補佐)、「アダプティブなハンド」(花房秀郎京都大学教授)、「目と器用な手」(白井良明電子技術総合研究所資格情報研究室長、高瀬国克同所システム制御研究室主任研究管)、「世界のロボット研究 ― 過去、現在、未来」(加藤一郎氏)、「生物に学んだロポット」(梅谷陽二東京工業大学教授、、広瀬茂男同大助教授)、「ロボットと福祉」(中野栄二氏、舘ワ機械技術研究所システム部主任研究官)、「マイクロマニピュレータ−と環境理解ロボット」(松島晧三筑波大学教授、金山裕同大教授)、「ロボットの産業界への利用動向」(江尻正員日立製作所中央研究所主管研究員)の九つの講演が行われた。

 なお、担当理事も次のように決まった。

 ▽庶務=谷内田正彦大阪大学助教授、油田信一筑波大学講師 ▽財務=木下源一郎中央大学教授、杉本旭労働省産業安全研究所機械研究部労働技官) ▽企画=中野栄二氏、柿倉正義電子技術総合研究所情報制御研究室長 ▽会誌=金山裕氏、舘ワ氏▽事業=白井良明氏、広瀬茂男氏
 また、学会事務局は当面、日本産業用ロボット工業会内(東京都港区芝公園三―五ノ八、電話〇三(434)八二一一、内線四五〇)に置く。