社団法人 日本ロボット学会
会長就任挨拶 日本ロボット学会会誌 平成13年4号に掲載
会長就任のご挨拶
(社)日本ロボット学会会長 江尻 正 員
21世紀最初のこの節目の時期に、伝統ある(社)日本ロボット学会の会長を務めさせていただくことになりました。浅学の身ではありますが、前会長 木下源一郎先生のあとを受け、会員の皆様とともに、新世紀にふさわしい新たなロボット学の進展に向けて始動したいと思います。
幸いにも過日の選挙により、吉川恒夫先生(京都大学)、杉本 旭先生(北九州市立大学)の両副会長をはじめとする強力な新理事が誕生し、昨年度からの重任理事と併せて学会運営の新しい布陣が整いました。また、会員の代表としての新評議員も選任され、学会の諸活動や将来の進むべき方向について審議いただく体制も整いました。すでに各種委員会などで継続してご活躍いただいている委員の皆様や事務局の方々とともに、連携して本学会を盛り上げ、本学会が会員の皆様にとってさらに有意義なものとなるよう努力していく所存です。
従来、日本のロボット技術は、多くの先達のご努力により世界に冠たる技術として発展し、生産技術の中核として産業の発展にも大きく貢献してきました。しかしながら残念なことに、昨今の経済疲弊に起因してか、このところ技術の進歩と実用化の進展の面で多少の閉塞感があることも否定できない事実でした。この現状を打破するかのように、日本独自の技術として長年にわたり各方面で開拓・育成されてきた2足歩行技術が、昨年来かなり製品規模に近づき、また各種の対話学習型ペットロボットも実現されて、一般の方々も巻き込んで大きな話題となってきました。これらは21世紀型の新しい産業を予感させるものでもあり、今後もさらに、環境・医療・福祉・防犯・防災・情報・交通・流通・生産など多方面にわたり、革新的なロボット技術の開拓とそれによる新産業の創造が期待されます。日本ロボット学会としても、会員の皆様のロボット学への挑戦とその応用展開へのご努力に対し、心からの声援を送らせていただくとともに、会員間の活発な議論の場の提供などを通じて、我が国ロボット技術の将来像の策定にも先導的な貢献が出来ればと願っております。
本年は、恒例の学術講演会が東京大学を会場にして開催されます。会員の皆様の積極的なご参加をお願いいたします。また、ロボット創造国際競技大会(ロボフェスタ)をはじめとする幾つかのロボット競技会も計画されていて、ロボットへの関心が益々高まるものと期待されます。本学会としても、ロボット学の裾野を広げ、次代を担う若手技術者を育成・奨励する意味からも、積極的にこれらを支援したいと考えています。また来年には、本学会は創立20周年を迎えます。まだ学会規模の点で大々的な祝賀行事をやるほどの実力はありませんが、一つの節目ともなりますので、ささやかながらも心に残る記念の行事を考えていただくよう、本年度にその準備委員会を発足させる予定です。この他にも、学会誌、欧文誌の充実や、国際化に向けた検討も本年度の大きな課題と考えております。
最後になりましたが、ロボットが先端技術として社会に感動を与え続けるとともに、夢だけに終わらない現実の有用技術としても大成して行き、結果として活力ある安心社会の実現が可能となるよう、会員の皆様のご健闘を心から祈念し、また、学会運営に対してのさらなるご協力をお願いして会長就任のご挨拶といたします。