社団法人 日本ロボット学会
日本ロボット学会 創立20周年記念式典 会長挨拶 平成14年10月


創立20周年記念学術講演会開催にあたって


(社)日本ロボット学会会長  江尻  正 員            

 日本ロボット学会会長の江尻でございます。一言ご挨拶申し上げます。

 当学会は設立以来、お蔭様で20年目を迎え、ここに創立20周年記念学術講演会を無事開催できる運びとなりました。これもひとえに、ご来賓の皆様方をはじめ、関連諸学会・諸団体からの日頃の暖かいご支援の賜物と、ここに深く感謝申し上げます。また今回はとくに大阪大学殿から、会場のご提供をはじめとして数多くの便宜を図っていただきました。ここに、日本ロボット学会を代表して、厚くお礼申し上げます。

 当学会は、当初約800名の賛同者を得て、1983年1月に設立されました。以来会員数は、時によって増減しながらも少しずつ着実に伸びておりまして、本年7月時点で、学会の歴史始まって以来初めて4000名を突破しました。この間当学会は、ロボットに関する学術研究のみならず、自動化に関する広範な技術開発にも積極的に関与し、応用技術の育成と産業の発展にも大きく貢献してまいりました。今では世界的にもユニークな専門学会として、確固たる地歩を固めるにいたっております。これもひとえに先輩諸氏ならびに会員の皆様の、これまでに至る並々ならぬご努力の賜物であり、ここに深甚の謝意と敬意を表します。

 この創立20周年にあたり、当学会では幾つかの記念事業を行ってまいりました。

 まず第1は、学会誌の20周年記念号の発行であります。お気づきと思いますが創立20周年記念のロゴを制定して、今年一年間、学会誌の表紙を飾り、記念号として発行してきております。また、欧文誌でももうすぐ記念号を発行予定で進めております。

 記念事業の第2は、「日本のロボット研究の歩み」というDVD-ROMの発行であります。これは会誌編集委員会を中心とした多くの方々のご努力により初めて実現できた力作であります。過日、会員の皆様に配布いたしましたのでご承知と思いますが、このDVD-ROMには、当学会会員が国内外で発表された著名な論文、約140編を収録しております。当時の装置写真や実験風景のビデオなども含まれていて、我が国のロボット技術開発の歴史を物語る有意義な内容となっておりますので、今後の研究開発に是非ご活用頂きますようお願いいたします。

 記念事業の第3は、今回のこの創立20周年記念学術講演会であります。全体で約600件ほどの研究成果が発表されます。また、今回、創立20周年を記念する幾つかのイベントも計画していただきました。時節柄ささやかな企画に留めざるを得ない側面もありましたが、会員の皆様にとって有意義で、かつ思い出に残るものとなりますよう期待しております。

 とくにこの記念式典では、新たに2名の名誉会員と12名のフェロー会員をのちほどご紹介させていただく予定です。このフェロー制度は、創立20周年を記念して新しく制定したものであります。今回名誉会員とフェローに就任される方々は皆、日本のロボット学の先駆者であると同時に、当学会20年の歴史を築かれた貢献者でもあります。

 記念式典に続くこのあとの記念講演会では、立花隆先生と瀬名秀明先生によるご講演を予定しております。私ども参加者にとって新たな視野を開く絶好の機会になるものと期待されます。お二人の先生には、当学会のために貴重な時間を割いていただきました。厚くお礼申し上げます。

 以上、20周年記念事業の概要についてご報告いたしました。この創立20周年を一つの契機として、今後も日本のロボティクスが周囲の熱い期待に応え、社会に夢と感動を与え続けられるよう努力していきたいものです。また、日本のロボティクスが、世界に冠たる先進技術として、引き続きその地位を維持拡大して行けるように、当学会としても次の新たな20年に向け最大限の努力を傾注していきたいと考えます。また、そのために本学術講演会が、会員の皆様の情報交換と切磋琢磨の場として機能し、学術の発展のみならず、産業の革新、新産業の創造へと大きく展開できる契機となるよう期待しております。ロボット学の将来のキーワードは、基幹科学技術としてのロボット学の新展開とそれによる社会の自動化・知能化の実現であり、究極的には安心社会の実現であると考えております。この方向に向けて会員の皆様の益々のご研鑚をお願いし、また当学会の活動に対するご支援を切にお願い申し上げます。

 最後になりましたが、本学術講演会の白井良明組織委員長、新井健生実行委員長、三浦純プログラム委員長を初めとする各委員会の皆様方のご労苦に心から感謝申し上げます。また、本学術講演会でご講演・ご発表いただくすべての方々に、主催者と参加者を代表して厚くお礼申し上げますとともに、ご参集いただきました皆様のご協力により、本学術講演会が成功裡に終了でき、かつ所期の成果が得られますよう心から祈念して、創立20周年に際しての私の挨拶といたします。